「質問にお答えします」「点字表記の語例」を有効に活用していただくために(便利な検索のヒント)
地域により事情が異なりますが、新型コロナウイルスに対して、まだまだ警戒を緩められない日々が続いています。
元の日常を取り戻してゆくまでの道のりには、これからも多くの困難があることでしょう。
外出制限の中で今できることを大切にしたいと考えたとき、取り組むべき点訳や校正が手元にあることは幸せだとおっしゃるボランティアの声も多く聞きました。
私自身、点訳が何よりも自分自身を豊かにしてくれるかけがえのないものであることを実感する一人です。
ただし、決してそれだけで完結すべきではなく、読む人のニーズに応えるもの、読む人の信頼を裏切らないものでなくてはなりません。
そのために常に新しい情報を取り入れ、研鑽を怠らないでいたいものです。
「フォーラム」という語には、もともと公共の集会広場の意味がありますが、自由に人が集まることができない状況にあっては、なおさらこの点訳フォーラムの意義が大きいことを感じました。
点字・点訳に関わる誰もが自由にアクセスし、学び合い、つながる場・・・どんなときもそんな「広場」でありたいと思います。
今のところ点訳フォーラムの情報更新は1カ月に1度のペースで行っています。
月末が近づくと、皆様から寄せられた点訳に関する質問とそれに対する回答から、多くの方に参考にしていただきたいものを「質問にお答えします」のコーナーに掲載する準備をします。
つまり1カ月経過すると、新しく追加されたQ&Aをお読みいただけるわけです。
疑問解決の一助として、回答根拠の導き方などにも注意しながらご確認いただければと思います。
点字表記の語例も、質問が寄せられた語、点訳・校正の現場や日常生活で出会った用語のリストを担当者間で検討し、毎月収載語を追加しています。
前回のブログに「咳エチケット」の例を取り上げましたように、必要に応じて表記の見直しを行った結果も併せて反映させます。
点字表記には幅がありますが、『点訳のてびき』の立場から、現時点でもっともお勧めできる表記ということになります。
語例の検索には、部分一致AND検索とOR検索が用意されています。
AND検索では、複数の語を検索ワードにして「すべてを含む語」の検索を行う以外に、以下のような使い方もできます。
たとえば敬称の「様」を含む用例を一覧したい場合、仮名書きの「さま」で検索すると「サマータイム」や「朝未だき」のような意図しない語も入ってきます。
一方、漢字の「様」で検索すると「雨模様」「各人各様」など、やはり必要でない例が混ざってしまいます。
そこで仮名の「さま」と漢字の「様」を「AND検索」にかけることにより、漢字の「様」を「さま」と読むものだけを抽出できます。
読み欄の「さま」と漢字かな交じり表記欄の「様」を同時に含む語がヒットするわけです。
OR検索は、複数の検索ワードを入力し、そのいずれかを含む語を抽出する機能です。
これも工夫次第で、いろいろな場面に活用できます。
「零」と「ゼロ」は、原文が数字で書かれていなくても数符0を用いて書くべき場合があるところが共通しますので、両方一覧してみてもよいでしょう。
「使いやすい」など「やすい」を含む語を検索する際に、「にくい」もセットにすると、扱いが同じであることが確認できます。
「もどき」と「まがい」の、どちらを接尾語として前に続けるべきか確認したい場合も、OR検索なら一度で済んで便利です。
このほか前方一致・後方一致・完全一致の検索もできるようにプログラムを改修していますので、実現すればさらに便利に活用いただけます。
もうしばらくお待ちください。
調べたい語そのものを検索してヒットしない場合は、可能な限り、類推できる検索を工夫してみてください。
たとえば「相対立する」という言葉であれば、「相協力する」「相前後する」などから類推できます。
接頭語の「相」と2字漢語および「する」から構成される成り立ちが共通です。
この場合、漢字「相」と仮名「あい」「する」の3語を掛け合わせてAND検索するのが、参考にしたい語を集めるのによい方法といえるでしょう。
また「右手首」という言葉の切れ続きを判断するために「右」を含む語を一覧するような場合は、的確な類推用例を選び出すことが重要になってきます。
「右」を含む語の検索でヒットするラインナップはずいぶんバラエティに富むのですが、この中に「右手首」の書き方を類推できる用例「右足首」があります。
「右掌」の例もあって、「手首」と「掌」は拍数も、漢語・和語という語種も異なりますが、複合語の中にある「3拍以上の意味のまとまり」という点では、同じ性質を持っています。
ただし、「右」のあと区切って書く「右後ろ足」などの用例を見て、迷うことがあるかもしれません。
和語で2拍の「右」は複合語の中で基本的に続ける性質を持ちますが、「後ろ」「前」など方向を表す言葉と重なり、「右後ろ」ではないことを明らかにするために区切る例です。
このほか「右半分」のように、強く結びついた複合語とは考えにくい語例も含まれています。
用例検索だけに終わらせずに、ぜひとも『てびき』の記述を確認していただきたいところです。
この場合にはp68~p69(点字版第2巻p64~p66)、複合名詞「2拍以下意味のまとまり」および備考が、適切な参照箇所と言えるでしょう。
多く質問を受けるところでもありますので、「点訳に関する質問にお答えします」の複合名詞の箇所にも、関連したQ&Aが掲載されています。
その都度、表記の根拠を確認することを習慣にされると、確実に応用力を身に付けることができると思います。
さらに、医学の専門分野では別の考え方をすることも、複合名詞中の「右」「左」の切れ続きを扱ったQ&Aの中で言及しています。
これを確認するために、再度語例集に戻って、医学用語に含まれる「右」を一覧してみるのもよいでしょう。
こうしてフォーラムの中を移動する際は、各画面の左上に表示されている短い3本の横線(点訳フォーラムという文字の左下)をクリックすると目次メニューが表示され、そこから各ページに飛ぶことができます。
これはトップページなど、最初にどこかのページにアクセスした段階でも同様です。
このように多くのヒントやアドバイスを有効に結びつけながら、広がりのある活用を工夫していただけることを願っています。
最後に、フォーラムから離れますが、もともと暗号用に作られた記号をヒントに考案されたという点字による、暗号を考えてみました。
忙しい業務や難しい点訳の息抜きに、頭の体操としていかがでしょうか。
a)オリモノ⇒マユアサ b)マヨナカ⇒オキソト c)ドミノ⇒ヘカシャ
この暗号では「ツラフホッ」は何を表すでしょうか?(ヒントは「反転」)(K)