お知らせ

 

藤野克己さんが、2月28日に逝去されました。つつしんで哀悼の意を表します。

藤野さんは、「サピエ」の礎となった「てんやく広場」の発足当時から関わられ、「ないーぶネット」「サピエ」を通して、その安定的な継続に力を注いでこられました。全国視覚障害者情報提供施設協会(全視情協)の事務局長としても長く務めてこられました。
近年は、特定非営利活動法人日本点字普及協会の理事長として、凸面点字器の開発・普及、Lサイズ点字の普及、中途視覚障害者への点字学習指導法研修会の開催などで、点字の普及・啓発活動に精力的に取り組んで来られました。なかでも、凸面点字器の開発は長年の夢を実現されて、これからさらに普及活動に取り組もうと意欲をもっておられました。

なにより、私たち点訳者のテキストである「点訳のてびき」の初版発行から、中心的なメンバーとして関わってこられました。1970年代後半、全国で表記がバラバラだった点訳規則の標準化が必要であることを痛感され、全国共通の点訳テキストを用いたボランティア養成講習会が行われることを目指して、点字担当の職員の方々と共に「点訳のてびき」の編集・発行に取り組まれたと伺っています。
第3版では、点訳の担い手である点訳ボランティアの声も「てびき」の編集に取り入れるべきであるとの思いから、点訳ボランティアが2名編集委員として「てびき」の編集に加わることになりました。日本点字委員会や点字出版部会の代表の方も加わり、「点訳のてびき」が幅広い視点から編集されるようになったのです。この方針は第4版にも引き継がれています。
藤野さんは「決めるまでは大いに議論し、決めたらみんなで守りましょう」といつもおっしゃっていました。そして「てびき」の普及のためなら全国どこへでも行かれ、「てびき」の解説とともに質問に答えてくださいました。どのような質問にも丁寧に納得のいくまで説明してくださった藤野さんの姿は多くの方の心に残っていると思います。
藤野さんの講演を聴かれた方は、おだやかな口ぶりながらも、「てびき」の精神を熱心に信念を持って語られる藤野さんを忘れることはないでしょう。

点訳フォーラムのメンバーも藤野さんに多くのことを教えていただきました。その財産を大切に守り、これからも「点訳のてびき」の普及に取り組んでいくつもりです。