点字を楽しむレクリエーションのご紹介

                            2023年7月1日

昔、遠足のバスの中とか、親睦会などで、単純なゲームに興じた思い出があります。
コロナ禍でそんな機会もすっかり奪われてしまったかもしれませんが、少しずつ戻ってくるとよいですね。
点訳サークルや点字を学ぶ人の集まり、ユーザーとボランティア交流の場など、点字を知る人同士が皆で楽しめる遊びを考えてみました。

《面白点字しりとり》
誰でも経験のある「しりとり」のアレンジ版。シンプルなだけに、工夫次第でいろいろなパターンが楽しめます。
人が集まる場に限らず、一人で取り組む頭の体操にもなりますし、日頃パソコン画面の仮名表示を見慣れているかたには、点字の形を思い描くトレーニングにもなりますよ!
せっかくの点字しりとりですから、一般のしりとりと違って、最後の音でなく、最後のマスの文字を引き継ぐルールにしたいと思います。
とくに特殊音で終わった場合など、文字の形を正しく把握して次の言葉を考えます。ファの次はハ、チェの次はテ、という具合。
同様に、数字の1の次はアで始まる言葉、「オバQ」のようにアルファベットQの次は、テで始まる言葉というふうに、数字やアルファベットを含む言葉も意識的に取り交ぜると、点字しりとりならではの楽しさがあると思います。
数符を含む語は、もちろん点字表記で数字を用いるものに限ります。「ニホン数1」の次はアで始めますが、「マンガイチ」の次はチで始めます。
「ガッコウ」でなく「ガッコー」と点字表記に従うルールですが、長音で終わる言葉はNGになります。「ン」と同じように、長音で始まる語はありませんので。語の途中の長音ならばOKです。

●まずは「点字で何マス」とマス数を限定
墨字の文字数と異なることは言うまでもありませんし、5マスであれば「シカ■イシ」、7マスであれば「ミート■ソース」のようにマスあけも一マスとカウントしてのマス数です。
何マスぐらいが一番思いつきやすいでしょうか?

●マスあけなしで8マス以上限定
(例)カブシキガイシャ⇒サッキョクシャメイ⇒イリオモテジマ⇒マドガラスフキ⇒キタキューシューシ⇒シチョーソンミンゼイ⇒イスラムキョーコク⇒クナシリトーオキ⇒キビダンゴ⇒コンビニエンス⇒スポーツマンシップ⇒フジノミヤエキ⇒キリタンポナベ⇒ヘッピリゴシ⇒シンオチャノミズ

シャ(4の点+サ)の後がサで始まる語になるのは、最後のマスの文字を引き継ぐルールによります。
実際やってみると、7マス以上ではさほど苦労しませんが、8マス以上となると考え込む場面が多くなりました。
マスあけがないことがルールですので、表記の確認も怠らずに。

●鏡文字リレー
(例)フォーラム⇒ヘリポート⇒シマウマ⇒ホタテガイ⇒ディスタンス⇒ネコ⇒タツマキ⇒ヨノナカ⇒ヤンチャ⇒ココア⇒シュミ⇒モンピ⇒数1ケンヤ⇒カニ⇒デュエット

最後の文字をそのまま引き継ぐのでなく、最後の文字を左右対称形にしたものが最初のマスに来る言葉を考えます。
鏡文字というと、タとコ、テとセのようなものをすぐに思い浮かべますが、鏡文字が前置点になる場合もあります。
イの鏡文字は4・5の点なので、ギャ・ギュ・ギョなど拗濁音で始まるものを、ナの鏡文字は4・6の点なので、ピャ・ピュ・ピョで始まるものを、ヒの鏡文字は数符なので数字で始まるものを、という具合。
「チャ」で終わったら、4の点と「タ」だから、次は「コ」というふうに、すぐに反応するためには、点字の形がスムーズに思い浮かべられる必要があります。
「ニ」で終わる言葉で攻められると、かなり苦しいですね。

●5の点禁止
(例)アイウエオ⇒オヤコ⇒コナユキ⇒キナコ⇒コノハ⇒ハワイ⇒イナカ⇒カケフ⇒フエ⇒エコ■ヒイキ⇒キッカケ⇒ケヤキ⇒キヌ⇒ヌケアナ⇒ナカノエキ

5の点を一切含まない文字のみとなると、なかなかむずかしいものです。
次々に言葉を思い浮かべては、これも駄目、あれも駄目と苦労します。
清音のみの範囲では1の点、3の点、4の点禁止の方が使える文字が少なくなりますが、5の点禁止は濁音・長音が一切使えないという制約から、難度が上がるのだと思います。
長く続けることを目指してみてください。

このようにいろいろなバリエーションが考えられますが、さて、次のしりとりはどんなルールによるものでしょうか?
5の点禁止のように考え込むことなく、リズミカルにポンポンと続けられます。
このしりとりでは「ン」や長音で終わる語もOKです。

【A】フォーラム⇒メジロ⇒レモン⇒3カクケイ⇒エノグ⇒フルーツ⇒テリトリー⇒ヴァイオリン⇒数7数5数3⇒ルーレット⇒モンダイ⇒ニックネーム

【B】フォーラム⇒ツミキ⇒カイコ⇒フィクション⇒TV⇒ニンキモノ⇒ヤマミチ⇒リクエスト⇒ロッカー⇒バイク⇒ピューマ⇒タンポポ

ヒント:【A】は「メ」で終わる語がNG、【B】は「ア」「ワ」で終わる語がNG、と言えばもうお分かりですね。
【A】または【B】とマス数限定を組み合わせてもよいと思います。

《点数限定、言葉探し》
初心者への点字指導では、マグネットボードに点字の形を示すことが多いと思います。
それを使って、マグネットの個数に合う言葉を作ります。
単純ながら、マグネットを過不足なく規定の個数使い切る言葉を探すのは、意外に難しいですよ。
以下は一例ですが、点の数・マス数の組み合わせによって難易度が変化します。
(例)
メの文字を示すマグネットから、二マスで6点の語 ⇒ イス、アミ、ヤシ、レイ、トイ、ヤマ、キク、ヤネ
アイウエオの文字を示すマグネットから、3マスで10点の語 ⇒ ニホン、トケイ、ミカン、スイソ、サソリ、ケース
レイワの文字を示すマグネットから、3マスで7点の語 ⇒ アラシ、ヤカタ、ノック、アーチ、ココア、ユカイ
自分の名前から、マス数を変えずに別の語 ⇒ たとえば、ヒロミ(12点)から、レモン、ナツメ、オモテ、シセン、ホケツ、ヨミチ。アキラ(6点)から、ワイン、アナタ、ラッコ、アジ、カグ、イシャ

《点字で自己紹介》
自己紹介をする人はあらかじめ「出身地」「趣味」「得意なこと」「好きな食べ物」「好きな作家」などについて、点字で一言ずつ回答を作成しておきます。
メンバーには回答を知らせずに、それが点字で何マスかを伝えます。メンバーはその人の回答を予想し、マス数が一致する言葉を一つずつあげていきます。マス数の違う言葉を言うと失格になって、以後答えられません。
自己紹介をする人が点字初心者の場合は、進行する人が分かち書きを確認しておくなど、状況に合わせて工夫してください。
最後に明かされた回答から、その人の一面を知る楽しみも待っています。
新しい方を歓迎する会や、グループの親睦会などでいかがでしょうか。
(例)
出身地:名古屋市(5マス)、他に失格にならない回答例は、東京、鹿児島、札幌、気仙沼、千葉県、福島市、箱根町
趣味:料理(4マス)、他に、散歩、水泳、編み物、スケッチ、旅行、カラオケ、ギター、ダンス
得意なこと:ピアノ■演奏(9マス)、他に、掃除■洗濯、ペン■習字、絵本■読み聞かせ、タロット■占い、日曜■大工、パター■ゴルフ、旅の■計画、すぐ■寝る■こと
好きな食べ物:焼きおにぎり(7マス)、他に、カレー■ライス、カルボナーラ、味噌■ラーメン、サンドイッチ、八宝菜、ホット■ケーキ、あんドーナツ、マスク■メロン
好きな作家:東野■圭吾(10マス)、他に、司馬■遼太郎、宮沢■賢治、川端■康成、カーター■ブラウン、エド■マクベイン

《指点字伝言ゲーム・転写伝言ゲーム》
テーブルや膝の上に両手の甲を上に向けて置き、指を伸ばした状態にします。
隣の人の指を点字を入力するときのキーに見立てて、上からタッチします。たとえば「ニホン」であれば、左手の人差し指・中指・薬指を同時にトン、左手の中指・薬指・右手の人差し指・薬指を同時にトン、左手の薬指・右手の中指・薬指を同時にトン、という具合。このときに言葉を口にしてはいけません。
マスあけのところでは休止を入れるか、スペースキーを押すように親指で軽くタッチするなどの方法を申し合わせておくとよいでしょう。
読み取った文字を隣の人の指に伝えて、リレーしていきます。
短い言葉でも正確に読み取るのは難しいものですが、慣れてきたら、一般の伝言ゲームのようにまとまった文章やメッセージを伝えて、列ごとに正確さと速さを競うと盛り上がります。

このほか、点字で書かれた短文を転写で次の人に伝えていくという伝言ゲームも考えられます。
点訳ボランティアにとっては、点字を見て転写する機会は新鮮かもしれません。各自携帯点字器等を持ち寄って。
文例はメンバーのレベルに合わせて工夫することになりますが、例えばこんな言葉や数字を正しく伝達できるでしょうか?
(例)
・アサガオノ■ハナコトバワ■アオガ■ハカナイ■コイ、■シロガ■カタイ■キズナ、■アカガ■ジョーネツ。
・アムールトラ・■ベンガルトラ・■スマトラトラワ■ネコモク■ネコカ■ヒョーゾクニ■ブンルイ■サレル。
・オオボケ■コボケ■ケイコクデワ、■マヂカニ■セマル■外大V=ジダニノ■ゼッケイヲ■タンノー■デキマス。

いろいろご紹介しましたが、これらをヒントにオリジナルの工夫を加えていただくと、多くの楽しみ方がみつかると思います。
点字をテーマに、楽しいひとときを過ごしてくださいね!  (K)