点訳ボランティア養成講習会募集雑感

                      2022年11月1日

私が関わっている点訳グループでは、今年度、ボランティア養成講習会の開催を計画し、昨年末より準備を進めてきました。募集→説明会を経て、やっと講習会をスタートすることができました。
受講生は20名、カリキュラムは25回コースで、テキストは『点訳のてびき 第4版』を用いることになりました。当初、「初めての点訳」も検討しましたが、受講者の費用負担や講習終了後の活動などを考えた結果、最終的に「てびき」に落ち着きました。また、課題文についても、当初「点訳指導者ハンドブック」からを検討しましたが、既に絶版となっている「点訳問題集 1、2」が、概ねカリキュラムに対応しているなど使いやすいといった理由でこちらを使うことになりました。そして、課題文添削後の返却時に、正答を手元に置いておくことも大事であるといった認識から、正答を点字プリントし一緒に受講生に渡すことにしています。
カリキュラムでは、今回初めて「点字編集システム」を用いたパソコン講習を、分かち書きの講習の後に2回実施することにしました。さらに、国語辞典の使い方や読み方調査についてもカリキュラムに含めています。

さて、このようにして講習会は始まりましたが、今回は開催に至るまでの、特に募集に際して予想外の事態に遭遇し、その結果これまで経験したことのない苦労をすることになりました。私たちの経験が皆さんの参考になるかもしれないという思いからここで取り上げることとしました。
多くの施設・団体でのボランティア募集では、地元自治体の「広報」にその案内を掲載するのが一般的ではないでしょうか。私のグループでも、前回は「広報」に掲載しました。今回も同様にその予定で募集文案を作成し、担当部署へ依頼をしました。ところが、数年前に掲載基準が「市の主体事業に限る」に変更となったため、掲載してもらうことができなくなりました。私たちの養成講習会が市の事業ではないためです。躓きはここから始まりました。前回の申し込み状況を見ても「広報」の影響力は大きいと実感していたので、予想外の事態に驚きを隠せませんでした。もっと早くに情報収集すべきであった、と反省。
しかし、一刻の猶予も許されません。直ちに次の手を打たなければ、講習そのものの開催が危ぶまれる事態です。緊急に話し合いを持ち、「できることはなんでもやろう」の方針の下、次のような方法で募集をすることにしました。ほとんど初めての経験で、手探りの状態でした。
①地元新聞に掲載
②自ら募集チラシを作成し市内各所に設置
③地元新聞が発行する折り込み誌に掲載
④地域限定に発行の地域新聞に掲載
⑤地元民放局(ラジオ番組)から募集案内
以上をすべて行って、やっと20名の申し込みがありました。前回は「広報」のみで約50名。
①である程度の反応を期待していましたが、1週間しても反応なし。そこで、②のチラシ作成となりました。予算の関係もあって1000枚しか印刷できませんでした。チラシといっても、まずは手に取ってもらえなければ話は始まりません。文案もさることながら、一番目立つ用紙の色は何か、業者と打ち合わせをしながら検討を重ねました。また、市内各所に設置といっても簡単ではありません。主に公共の施設を中心に考えていましたが、設置には施設の活動団体として登録が必要です、とか、設置には市または市教育委員会の後援名義が必要です…、など。できるだけ多く設置したかったので、これらの申請手続きも並行して行いました。このほか、グループの他のメンバーの協力もあって、一部の郵便局、銀行、スーパーなどにも置いてもらうことができました。
しかし、実際チラシから申し込みがあったのは数名程度。1000枚程度ではあまり効果は期待できないのか、やはり万単位、あるいはそれ以上の枚数が必要なのか。そして、どのような文案やデザインであれば人を引き付けられるのか、ここは経験豊富な方に依頼するのがいいのか…、初めてのチラシ作成から課題も見えてきました。ただ、チラシにはお金がかかります。理想と現実を照らしながら、1ボランティアグループとしてできることとできないことの確認もできた気がします。

こうして、やっと説明会→講習会までたどり着くことができました。
本来であれば、講習会にエネルギーを費やすべきところ、思わぬところから募集にほとんどのエネルギーを費やすことになってしまいました。

各施設・団体において「広報」以外の方法で募集をする機会があった際には、私たちの経験が少しでも参考になれば幸いです。 (I)