第2章 語の書き表し方(2)

その2 数字

1 数の書き方

1.p31 1.4桁までの数 【備考】

千の位で終わる数の書き方について、お尋ねします。
1.一冊の本で、「5000円」とかかれているところ、「8千枚」とかかれているところとあり、千の位で終わる表記が混在しています。
この場合、「指導者ハンドブック 第2章編」p28、千の位で終わる場合についての記述に合わせて、「5000エン、8000マイ」(もしくは「5セン、8セン」)と書き方を統一したほうがよいでしょうか。
2.「指導者ハンドブック 第2章編」p28の記述は、原本の中で、「千」と「1000」が混在している場合、墨字に合わせて「セン、1000」と混在して書くのではなく、点字では1タイトルの中では「セン」「1000」のどちらかに統一することを推奨する、という解釈でよいでしょうか。
3.一冊の本の中に「2700件」、「3千円」、「4000枚」などとある場合、千で終わる位の表記は「2700」に影響されますか?「3ゼンエン」「4センマイ」と書くことはできますか?
4.3.と重複しますが、本の中に「西暦2000年」と「2千回」とが混在する場合も、西暦の書き方に合わせて「2000カイ」としたほうがよいでしょうか。

【A】

「てびき」p31 1.で「数字は数符を前置して4桁までは一続きに書く」のが、数の書き方の第1原則ですが、慣習的に【備考】の書き方も行われていることから、4版では「仮名で書くことができる」としました。
「千」の付く位で終わる数を「000」と書くか「セン」と書くかは、各施設・団体で方針を決めて、書き方を統一します。
そして、【備考】で、仮名で「セン」と書くことを選択した場合でも、p41 5.【処理】によって、電話番号や西暦などは「000」と書くことになりますし、表の中などでも「000」となります。
ただ、1.【備考】に当てはまるときに、「セン」と書いたり「000」と書いたりするのは避けます。
1.墨字の表記にかかわらず、「000」か「セン」かを統一します。
2.上と重複しますが、どちらかに統一します。
3.墨字の表記には左右されません。「000」と書くことにしていれば「2700」「3000=エン」「4000マイ」、仮名で「セン」と書くことにしていれば「2700」「3ゼンエン」「4センマイ」となります。
4.「千」の付く位で終わる数を「000」と書くか「セン」と書くかに関わらず、西暦2000年は、「数2000ネン」と書きます。そして、「2千回」は、西暦の書き方に左右されることはありません。

2.p31 1.数の書き方 【備考】

私たちの団体では数字と仮名を使い分けています。 数字の並び方に意味があるもの、「3000番」や「西暦2000年」は、数字を用いています。しかし「西暦2000年代」「西暦2000年ごろ」「およそ2000年」は、意見が分かれています。後者三つの「2000」は2000番目を表しているのではありませんので「セン」と仮名で書くことができると思うのですがいかがでしょうか。

【A】

p41 5.電話番号などの項で述べている数字は、その数字の並びに意味があり、000と書いてあっても「千」ではない、という数字を表しています。
西暦2000年は、少し分かりにくいですが、2000年と書けば、2千年間でも2千番目でもなく、西暦の2000年そのものを指し、新聞など墨字でも2000年と書かれています。2000年問題と言えば、西暦2000年の問題を指し、墨字でも「2000年問題」と書きます。ですから「西暦2000年」を指しているのであれば、西暦2000年代でも、西暦2000年頃でも、点字では、「数2000ネン」と書きます。「およそ2000年」は、西暦2000年を指すのか、2000年間を表すのかが分かりませんので、文脈から判断することになると思います。
「百」は語によっては仮名で書く場合もあるわけですが、「百万人」は点字で「数100マンニン」と書き、「およそ百万人」とか「百万人台の人数」となっても、百を仮名で「ヒャク」と書くわけではありません。
同様に、「西暦2000年」と書くのであれば、そこに付随要素を伴っても、書き方は変わらないということになります。

3.p31 2.大きい数

法華経に関する原本に以下のような語が出てきます。数字か、仮名か、分かち書きはどうするか悩んでいます。
原本の表記で書くと、
1.幾百千万億
2.千万億種
3.八万四千の菩薩(「はちまんしせん」と読むようです。
4.百八万億倍
5.七百万二千億年
6.五百千万億
7.百千の仏
8.百千金
9.百千両
10.千万億那由多(「なゆた」も数の単位)

【A】

経典に出てくる一般的な範囲を超えた大きな数字については、以下のような方針で点訳を考えられてはいかがでしょうか。
1.数字の持つ表意性を優先して、基本的には数字で書く。
2.「セン」「ヒャク」は、ぴったりその数字でないことが多いので、殆どは仮名で書く。
3.数字の読み方通りに、大きい位から小さい位に順に書いてある場合は数字の書き方の規則に従ってマスあけする。
4.位が小さい方から大きい方に並んでいる場合は、一続きに書く。
以上の基本的な考え方によって書くと、ご質問の語は次のようになります。
1.幾百千万億   イクヒャクセンマンオク
2.千万億種 センマンオクシュ
3.八万四千の菩薩(「はちまんしせん」) 数8マン■数4センノ■ボサツ
4.百八万億倍    数108マンオクバイ
5.七百万二千億年  数7ヒャクマン■数2センオクネン
6.五百千万億 数5ヒャクセンマンオク
7.百千の仏     ヒャクセンノ■ホトケ
8.百千金      ヒャクセンキン
9.百千両      ヒャクセンリョー
10.千万億那由多(「なゆた」も数の単位)  センマンオクナユタ

4.p32 6.およその数

およその数の表記について質問します。
①越してきたときは築四~五年くらいで新しかったんです。
②せいぜい小学校一~二年のときまでね。悪いことだって判断つくようになると、さすがにできなくなっちゃったから。
③戦争んときも、十五~十六で少年飛行隊に入ろうとして、身体検査で落とされたってこともありました。
原文は範囲記号を使っていますが、話し言葉でもあり、およその数の書きかたでもよいのでしょうか。原文の範囲記号を、範囲記号そのまま、あるいはおよその数とするのは、文脈や発音の予測で決めてよいのでしょうか。
それとも原文の通りの範囲記号を使う方がよいのでしょうか。

【A】

およその数の書き方で書いても間違いではないと思いますが、原文に波線で書いてある場合は、波線を用いて書いた方が、原文のニュアンスも伝えることができると思います。

2 数を含む言葉の書き方

1.p34 1.数字を漢字音で発音する場合 (1) [参考]

「零」と書いてあっても明らかに数字を表している場合、「数0」と書くことが説明されていますが、「ゼロ」も同様でしょうか。 「アルコールゼロ」は、数字と仮名のどちらを使うのがよいでしょうか。また、もし原本が「アルコール0」と数字で表されているときには、そのまま無条件に数字で書いていいのでしょうか?

【A】

「ゼロ、零、レイ、0」は、原文が仮名、漢字、数字に関わらず、順序や数量の意味があるかどうかで、数字で書くか、仮名で書くかを判断します。その上で、読みが「ゼロ」であることをどうしても示したい場合は、「てびき」p40 3.【処理】に倣って、読みをカッコ類で囲んで書くことができます。「アルコールゼロ」は数量的な意味合いだと思いますので、数字を用いてよいでしょう。

2.p34 1.数字を漢字音で発音する場合 (1) [参考]

「原発ゼロ」のときの「ゼロ」の書き方はどうなりますか。語例にある「視界ゼロ」と「やる気ゼロ」の違いはどのように考えればよいのでしょうか。
また、「ベストテン」は原文が仮名書きであれば仮名で書き「ベスト数10」とは点訳しませんが、原文が「ゼロ歳児」でも「数0サイジ」と表記する、その「テン」と「ゼロ」の違いは何でしょうか?

【A】

仮名で「ゼロ」または漢字で「零」と書いてあっても、明らかに数量的な「0」を示す場合は、数字で書くことにしています。明らかに「0」であるかどうかは判断が揺れる場合もありますが、「視界」は何メートルと計ることができますが、「やる気」はどれぐらいか数量的に計ることができませんので、「シカイ■数0」「ヤル■キ■ゼロ」と書き分けています。原発は、1基、2基と数えることができますので「ゲンパツ■数0」と書きます。
「ワン・ツー・スリー・・・セブン、テン」などの数字と異なり、ゼロは、漢語や和語とも違和感なく結びついて使われます。「セブン歳児」などとは言わないのに「ゼロ歳児」「ゼロ負け」などと使われますので、「ゼロ」は他の英語読みの数字とは異なる性質を持つものとして、数量的な意味があるかどうかを判断して書き表すことにしました。
「ゼロ」以外の数字は、和語・漢語・外来語の読み方の区別が明瞭ですが、「0」については、「ゼロ」「レイ」を無意識に両方使っていることからも、他の数字とは異なるところがあるように思われます。このようなことから、『てびき4版』の立場では、「ゼロ」「零」が明らかに数字の0を表すときは数字表記をお勧めしています。

3.p34 1.数字を漢字音で発音する場合 (1) [参考]

「ゼロ」「イチ」の表記について教えてください。
「なんだよ未来って。そんなのゼロじゃん。ゼロより過去の方が強い」
「ゼロよりイチだ!」高らかに拳をつきあげた。
この場合の「ゼロ」と「イチ」です。
語例集には、「カノーセイワ■ゼロデワ■ナイ」があり、仮名ではないかと思うのですが、「数1カラ■セツメイ■スル」「数1カラ■ヤリナオス」など、数えられないものでも数符を使っているようなので、わからなくなってしまいました。

【A】

「イチ、ニ、サン・・・」は、仮名で書いてあっても、「てびき」p37 (7)のルールに従い、数字を用いて書きますが、「ゼロ」の場合は少し異なります。
「ゼロ」は英語「zero」の仮名書きなのですが、「ワン、ツー、スリー」などと異なり、「ゼロ歳児」のように日本語として数的な意味で用いられたり、抽象的、概念的な「やる気ゼロ」「ゼロ成長」などの表現にも用いますので、数字で書く場合にも仮名で書く場合にも広く用いられます。判断に迷う場合も多くなります。
ですが、判断の基準としては、具体的に数的な意味がある場合は数字で「数0」と書き、そうでない場合は仮名で「ゼロ」と書くことになります。

「なんだよ未来って。そんなのゼロじゃん。ゼロより過去の方が強い」の場合は、仮名で「ゼロ」と書いてよいと思います。
「ゼロよりイチだ!」という場合は、「イチ」は数字で「数1」と書くことになりますので対比的な意味もありますし、また「全く無いより1でもある方がよい」という意味でもあると思いますので、数字で「数0」と書く方がよいと思います。

4.p34 1.数を漢字音で発音する場合 【備考】

数字に関する本で、
「3が100個でいくつ?」と聞いたらサンビャクって答えてました。
という文があります。
サンビャクは「300」と思うのですが、その時の「っ」はどのようにすればいいのでしょうか。②の点は数符に続くと小数点になってしまいますが、マスあけしてもいいのでしょうか?

【A】

数字の後ろの②の点に、さらに数字に使われるア行・ラ行の文字が続く場合は、②の点は小数点になりますが、その他の仮名が続く場合は、②の点は促音として読めますので、数300のあとに、続けて②の点と「テ」を書いて構いません。

5.p34 1.数字を漢字音で発音する場合 (2)

用例「3・11大震災(数3数11■ダイシンサイ)」と、p195 3.の「12・31(12月31日の略記)(数12■数31)」の違いは、広く認知されているような日付は続けて書くという考え方でよいのでしょうか。

【A】

2001年9月11日のアメリカのテロ事件を指す「9・11」は、「9・11事件」 でも、単に「9・11」でも、「数9数11」と書いてよいと思います。「3・11」も 同じです。これに対して「9月11日 理事会」などのような場合の略記には、「数9■数11」が最も一般的ですが、そのほかにも p195 3.に示したような書き方があります。月日の略記にはいろいろな方法がありますが、そのなかで、特定の事件、「あのできごと」と言えるものを指す場合や、後ろに「事件」や「震災」などが付いて複合名詞の扱いになる場合には、一続きに書いてよいでしょう。

6.p35 1.数字を漢字音で発音する場合 (3)

用例に「スーヒャッポ」「ナンビャッカイ」があります。判断が難しいときは促音符を用いず、「キ」「ク」「ツ」と書くことがp20(2)にありますが、これには該当しないのでしょうか。

【A】

「ヒャク」を促音にするかどうかは迷いますが、後ろが「か」のときには、「百貨店」「百科事典」「百花繚乱」のように、促音化されている場合が一般的ですので、「ナンビャッカイ」と促音にしました。また「五十歩百歩」などが国語辞典に「ヒャッポ」で掲載されていますので「スーヒャッポ」としました。「NHK日本語発音アクセント新辞典」にも、「百科事典」「百家争鳴」「百花繚乱」「百か日」「百鬼夜行」「百計」などが促音を用いる語として掲載されています。
「NHKことばのハンドブック第2版」の巻末に「数字の発音」があります。「回」「か国」「か所」「巻」「株」「歩」はいずれも「ヒャッ」と発音することが示されています。国語辞典のほかに、これらも参考になると思います。
「数百歩」「何百回」などは、「百歩」「百回」に「数」や「何」が付いたものですので、p20(2)の[参考]で述べていることとは語の構成が異なります。

7. p36 1.数字を漢字音で発音する場合 (5)

次男と三男を「二三男」という場合、「数2数3ナン」と書いてよいでしょうか。あるいはおよその数ではないので、「数2■数3ナン」と書くのでしょうか。

【A】

「二三男」と書いても、「ジサンナン」と読む場合は、「次三男」と同じように「ジ数3ナン」と書きます。「2」を「ニ」ではなく「ジ」と読む場合は仮名になります。国語辞典には、「次男」の意味での「二男」には、「ニナン」という読み方はないようです。

8. p36 1.数字を漢字音で発音する場合 (5)

点訳ナビゲーターにある「地獄八景亡者戯(ジゴク■バッケイ■モージャノ■タワムレ)」について、マスあけの根拠と、「八」を数字で書かない理由をお尋ねします。

【A】

「8」は、連濁でなくても「ば、ばち、ばっ」と読みます。「一か八か」(いちかばちか)もありますし、室町時代の倭寇の船は「八幡船」(ばはんせん)、倭寇は「八幡人」(ばはんじん)です。落語の演目も「地獄八景(じごくばっけい)亡者戯」と読みます。「8」を「はち」ではなく「ば、ばち、ばっ」と読むので、「てびき」p36(5)により、仮名で書きます。「七転八倒」も「ばっとう」と読みますが、連濁ではないので、「シチテン■バットー(シッテン■バットー)」と書きます。

9. p36 1.数字を漢字音で発音する場合 (5)

「おじいさんの年齢は、えーと、八十ウウウウウ八だったかな」という場合はどのように点訳したらいいですか。

【A】

「88歳」をのばして発音しているので、「イイチ■ニイ■サアン」と同じように考えます。全体を仮名で書き「ハチジュウウウウーハチ」となります。
ただ、これでは「88」という一つの数字として分かりにくいと思われる場合は、後ろに、カッコで囲んで、(数88)と補ってもよいと思います。
「ハチジュウウウウーハチ(数88)ダッタカナ」となります。

10.p36 1.数字を漢字音で発音する場合 (5)

環状8号線と環状7号線の短縮の「環八」「環七」の点字表記は「かんぱち」「かん7」になっていますが、どうして、環八はかなで、環七は数字なのですか?どちらも同じと思うのですが。

【A】

「カン7」は、「なな」と読んでも「てびき」p39 (2)のルールにより、数字で書きますが、「カンパチ」は、p36 (5)のルールによって仮名で書きます。
「サンパチジュー」「ニッパチワ■ヒマダ」などと同じになります。

11.p36 1.数字を漢字音で発音する場合 (5)

100まで数えながらトレーニングしている状況で
・・・98、99、
「100っ!」
数字の100のあとの②の点は読み取れるでしょうか。感嘆符があるので促音を省略してもよいでしょうか。「てびき」p36(5)のように仮名で表記する方が無難でしょうか。
また、「よっ!日本1っ」のような原本表記もあります。
「ヨッ!■■ニホン数1②」と書いて読みとれるでしょうか。

【A】

「100っ!」は、そのまま書いて誤読することはありませんので、「数100 促音符 感嘆符」を続けて書いてよいと思います。
数字そのものの読みが変化しているわけではありませんので、p36(5)には該当しません。
「よっ!日本1っ」も、「ヨッ!■■ニホン数1②」で問題ありません。

12. p36 1.数字を漢字音で発音する場合 (6)

「一億一心!」、「進め一億火の玉だ!」、「一億総動員!」という場合の「一億」は、おおよその日本の人口ということから日本人全員のたとえだと思いますが、数字の意味が薄れたというわけではないので、数字で書いてよいですか。また、「一心」は多くの人の心が一つになるという意味ですが、一心同体と同様に仮名で書いていいのでしょうか?「一心」を数字で書くことはありますか?

【A】

「一億」については、お考えの通りと思います。「一億総グルメ」なども同じような用法です。
「一心」は一般的な使い方としては、仮名で書きます。ただ、仏教用語として「一心三観」という語がありますが、この場合の「一心」は唯一絶対の心を表し、「三観」を同時に備え持つことの意味のようです。このような場合は数字で書いた方がよいと思います。また、ネットで見てみると、ある学校の目標として「一心三力」というのがあって、「一心」は、「心情」、「三力」は、「学力」「体力」「気力」を示すとあります。この場合は、数字がよいと思いますので、「一心」はすべて「イッシン」と書くとは言い切れないと思います。

13.p36 1.数字を漢字音で発音する場合 (6)

「第一介助者」の語ですが、この「第一」は数字ですか、仮名ですか。

【A】

「第一」は原則として数字で書きます。ダイ数1■カイジョシャ、ダイ数1■インショー、ダイ数1■ソーシャ、ダイ数1■シード、アンゼン■ダイ数1などとなります。
「第一」で仮名になるのは
1.「第一金がない」のように「そもそも」「なによりも」と言い換えられるとき
2.「第一病院」「第一交通」などの病院名や会社名などの固有名詞
この二つです。
点訳フォーラムの点字表記の語例集でもご確認ください。
このように数字と仮名を書き分ける言葉については、「てびき」p36の「参考」もお読みください。

14.p36 1.数字を漢字音で発音する場合 (6)

「1番」の書き方についての質問です。
私がこの世で1番、 愛した人たちだった。
この世で1番、 大切な息子でしてねえ。
これらの文章ですが、「1番」の後に読点があるのでここは数符を使う「1番」でしょうか。もし、読点がなければ最も愛した人たちと言う意味で「イチバン」とするのでしょうか。

【A】

いずれの場合も「イチバン」と仮名で書いてよいと思います。
「一番」を仮名で書くのは、「もっとも」に置き換えられる場合、すなわち副詞の用法の時ですので、
私がこの世で1番愛した人たちだった。
この世で1番大切な息子でしてねえ。
の場合は、迷いなく仮名で「イチバン」となります。
また、後ろに読点があっても、副詞の後ろに読点が来ることもありますので、仮名で書いてよいと思います。
私がこの世で1番、 愛した人たちだった。
この世で1番、 大切な息子でしてねえ。
こちらも、共に、仮名で「イチバン」となります。
「一番」の後ろが句点の場合は、うしろに修飾する動詞や形容詞などがありませんので、数字になります。また、「一番」の後ろが感嘆符や疑問符の場合は、文末であれば「一番」を数字で書き、文中であれば読点と同じように、「一番」が副詞の用法であれば仮名で書き、それ以外は数字で書くことになります。

15.p36 1.数字を漢字音で発音する場合 (6)[参考]

「一番」が「もっとも」の時にカナで書くのは理解できるのですが、校正者によって判断が異なったりするので、どこに注意したらよいでしょうか。

【A】

「一番」を仮名で書くのは、「最も」に《置き換えられるとき》です。「最も」
の意味の時ではありません。
ですから、
a.彼はクラスで一番成績が良い。
b.彼の成績はクラスで一番だ。
c.彼はクラスで一番の成績だ。
上記a.b.c.のなかで、仮名で書くのはa.だけです。
a.は「もっとも」に置き換えて「もっとも成績が良い」ということができます。b.は「クラスでもっともだ」とは言いませんし、c.は「もっともの成績だ」とは言いませんので数字で書きます。「てびき」p36の[参考]にも記載がありますので、ご覧ください。

16.p36 1.数字を漢字音で発音する場合 (6)

「一手」の書き方で仮名か数字か意見が分かれました。
①本署に行きたきゃ、監察官になるのも一手だ。
②ヒットアンドアウェイを繰り返し…反撃の一手をぶちこもうとするも、風に流され届かない。

【A】

「一手」は、将棋や碁の「一手、二手」は数字で書きますが、その外は、「たった一つの方法」や「すべてを扱う。独占的に扱う」というような意味で「一手、二手」とは言わないので、仮名で書くことにしています。
ただ、点訳フォーラムの語例集に「次の一手」があり、「注記」に「碁や将棋以外の場面で言う場合も含む」と入れています。これは、「次の」に続くことで、碁や将棋以外でも一手、二手と続くことが想定されるので、「次の一手」は数字で書くと判断しました。
①、②とも、仮名で書いてよいと思います。

17.p39 2.数字を和語読みする場合 (1)

何度も見直すが間違いない。一文字たりとも違っていない。
「文字」は漢語なので、数1モジと読むほうがよいのでしょうか。ヒトモジと読むこともできるでしょうか。

【A】

「文字」は漢語ですので、「いちもじ、にもじ」ともいいますが、古今集にも見られるほど古くから使われている語で、「ひともじ、ふたもじ」と読む方が自然な場合が多いと思います。
この場合も「ひともじたりとも~」と読む方があっていると思います。

18. p39 2.数字を和語読みする場合 (2) [参考]

「途中から『ご、ろく、…』と漢字音になる場合は、目安として3から数字で書くようにすればよいでしょう」とありますが 「表記法」p25に「イツシナ(5品)の用例があります。この例からすると、「ミシナ」「ヨシナ」と書いてもよいということでしょうか。

【A】

この[参考]は、人によって読み方がバラバラなので迷う場合の助けとして、判断方法を示したものです。古風な表現では「ヨシナ」「イツシナ」となると思いますが、現在では、漢字音で読んだ方が自然な感じがします。
なお、「表記法」と「てびき」では、用例の示し方が逆になっており、「てびき」 では墨字を点訳した場合の表記が書いてあるのに対し、「表記法」では点字で書いた用例に対して、墨訳が載っています。「表記法」では「五品」を「イツシナ」と書くことを勧めているわけではなく、和語読みした場合には「イツシナ」と書くことを示しています。

19. p39 2.数字を和語読みする場合 (2) [参考]

「ひと、ふた」と数え始めても途中から「ご、ろく、・・・」と漢字音になる場合は、目安として、3から数字で書くようにすればよいでしょう」について、私たちのグループでは、3を「3」と書くか「み」と書くかは『NHKことばのハンドブック』を見て判断していました。ひと、ふたと数え始めて途中から漢字音になる語で「3皿」は「みさら」「3ケタ」は「みけた」と書いていましたが、数字の方がよいのでしょうか。統一すべきなのかそれぞれの判断でよいのか知りたいです。

【A】

[参考]の部分ですし、「目安として、3から数字で書くようにすればよいでしょう」といっていますので、「統一すべき」という強い規則ではありません。
『NHKことばのハンドブック第2版』をみても、(サン)が併記されている語を除けば、200例のうち、「ミ」は「ミイロ、ミカサネ、ミキレ、ミクチ、ミサラ、ミソロイ、ミタバ、ミタビ、ミハシラ、ミハチ、ミフクロ、ミフリ、ミヘヤ、ミマクメ、ミマワリ、ミワン」の16例(「ミコト」を除く)ですので、「3から数字で書くことを目安として」よいと思います。さらに、点字は、音声ではなく文字ですので、数字の表意性を考慮すれば、「3キレ、3クチ、3サラ、3タバ、3ハチ、3フクロ、3ヘヤ」などのほうが、数字の意味を読み取りやすいと言えると思います。「ミイロ、ミタビ」などは、「3ショク、3ド」の和語読みですので、この言い方になります。

20. p40 4.固有名詞の中の数字 【備考】

「劇団四季」は、「ゲキダン■数4キ」と表記しますが、最近点訳した原本に、「一夕会」というのが出てきました。実在したもので読みは「いっせきかい」です。「一朝一夕」を「数1チョー■数1セキ」と表記するから、「数1セキカイ」となりますか?

【A】

数字を含む固有名詞の数字部分は、原則として仮名で書きますので、「一夕会」も「イッセキカイ」でよいと思います。「一朝一夕」はこの四字漢語全体として、「1」に数量的な意味があるので数字で書くことにしています。
墨字で「四季」と書けば、春・夏・秋・冬の四つの季節のことで、数量的な意味合いが明確ですので、点字で表記するときは、数字を用いて「数4キ」と書きます。
「劇団四季」のほか、ヴィヴァルディの「四季」、堀辰雄の「四季」も「四季」と書かれている以上、前述のように「春・夏・秋・冬の四つの季節のこと」で、点字では「数4キ」と書きます。
商品やグループや団体などの名前に既存の言葉が用いられている場合、固有名詞になったことによってその言葉の元の表記が変わるということは、基本的にはありません。ハイドンの「四季」も、路地裏のスナック「四季」もみんな「数4キ」です。ただ例外は人名などに用いられている場合、たとえば森博嗣のミステリーに登場する女性「真賀田四季」は「マガタ■シキ」になります。
「四季」と同じような例としては、たとえば、「三色スミレの会」のような会があれば、「数3シキ■スミレノ■カイ」と書きます。
「一夕会」は、月1回会合を持つ以外に、名称に数量的な特別の由来はないようですので、原則通り仮名で書いてよいと思います。

21.p40 4.固有名詞の中の数字

第一国立銀行の書き方について迷っています。フォーラムには
五十五銀行  55■ギンコー
十六銀行  16■ギンコー
第一勧業銀行  ダイイチ■カンギョー■ギンコー
第一国立銀行  ダイイチ■コクリツ■ギンコー
第一交通  ダイイチ■コーツー
第一ホテル東京  ダイイチ■ホテル■トーキョー
第一富士ホテル  ダイ数1■フジ■ホテル
上記の銀行名などが載っています。
五十五銀行が数55なのに、第一国立銀行は日本で1番目の銀行なので、なぜ「数1」で書いてはだめなのでしょうか。カナで書く場合と数字で書く場合の考え方の違いについて教えてください。また、七十七銀行、八十二銀行、三十三銀行、百十四銀行、十八銀行、富山第一銀行などは数字で書いてよいでしょうか。

【A】

「てびき」p40の固有名詞の中の数字の書き方に従って、仮名で書くことを原則としています。
ただ、旧国立銀行は、設立の順番という意味があるため数字で書くという考え方もあります。「てびき3版Q&A第2集」Q23も参照してください。
「てびき」では、明確に述べていませんので、数字でも仮名でもよいと思いますが、「点訳フォーラム」では、原則を重んじ、できるだけカナで書く方をお勧めしています。
ダイイチ■ギンコー、ダイシ■ギンコーなどです。
ただ、シチジューシチ、ジューロクなどと2桁以上になると、マス数が多くなることと読みにくさもあることから、2桁以上の銀行名は数字で書くことをお勧めしています。
なお、第一勧業銀行、第一国立銀行、第一交通、第一ホテル東京は、「第一」そのものが名称ですが、「第一富士ホテル」は「富士」が名称で、その第1、第2なので、数字で書くことにしています。
以上のことから、点訳フォーラムとしては、七十七銀行、八十二銀行、三十三銀行、百十四銀行、十八銀行は数字で、富山第一銀行は仮名で書くこととしています。

22.p40 4.固有名詞の中の数字 【備考】

鎌倉時代が舞台の本を点訳していて、二条殿という邸宅名がでてきます。
鎌倉時代 二条良実が二条京極の邸宅を「二条殿」と称したのが二条家の家名の由来と京都観光認定のHPにありました。二条城と同じように考えて、数符2ジョードノでいいでしょうか。他の本でも、八条院 三条院 二条院など建物名がでてきます。建物の場合は数符でいいのでしょうか

【A】

京都の1条~9条の地名は数字で書くことになっていますので、そこに由来する建物、建造物名などは、原則として数字を用いて書くこととしています。
人名は仮名で書きますが、通称・尊称などになると、住まいの地名の意識が強いかどうかによって、判断する場合もあります。
二条良実は仮名で「ニジョー」と書きますが、建造物の二条殿は地名の二条とつながりがあるようですので、二条城と同じように数字で書いてよいと思います。数2ジョードノとなります。
八条院、三条院、二条院については、八条院は、建物名ではなく「暲子内親王」の院号、三条院は、三条天皇の退位後の御所ですが、人名としても百人一首に登場します。二条院も二条天皇の院号であると同時に邸宅の通称ともなっているようです。このように人名が基になっている院号やその人ゆかりの住まいの場合は、仮名で書いた方がよいと思います。
ハチジョーイン、サンジョーイン、ニジョーインとなります。

23.p41 4.固有名詞の中の数字 「コラム7」

p191のルビの書き方と合わせてみても、どこを優先させて点訳するか明確な判断がつきません

【A】

この「コラム」の例は、一般的なルビの処理とは少し異なります。数字をどこに書けば、分かりやすいかを考慮することが大切だと思います。
電話番号や「~の日」などは、数字を先に示す必要があるか、語呂合わせのほうに重点が置かれているか、文脈から、どちらを先に書いた方がよいかを判断します。

24.p41 「コラム7」

「8050問題」について、フォーラムの「点字表記の語例」に「数80数50■モンダイ」(注記 ハチまるゴーまるとも読む。)とあります。また、「てびき」の「コラム」には「数80数20■ウンドー」(ハチマル■ニイマル■ウンドー)があります。
80歳と50歳、80歳と20本と数字の意味があるのに、「数80数50」「数80数20」と続けて書くのはなぜでしょうか。また、「ハチマル■ニイマル」と仮名書きになるとマスあけになるのはなぜですか。「点字表記の語例」では「ハチマルゴーマル」とマスあけになっていないようですが。これまで、「8050」「8020」を一語としてとらえ、何の疑問も持たずにきましたが、「数字の意味があるのに・・・」と言われて悩み初めました。

【A】

1語中で数字が並んでいる場合は、「てびき」p34 (2)のルールによって、続けて書きます。七五三、六三三制などもそれぞれの数字に「七歳、五歳、三歳」「6年、3年、3年」などの意味がありますが、1語として続けて書きます。ここから「数80数50」「数80数20」としました。
これを「はちまるにいまるうんどう」と読むと、3拍以上の意味のまとまりが二つ以上ありますので「てびき」p67 1.のルールで区切って書きます。
なお、「点字表記の語例」の注記は、カタカナとひらがな交じりで書いていますので、点字表記を表しているのではなく、「ハチまるゴーまる」と読むことを示しています。点字では「ハチマル■ゴーマル」となります。

25.p41 「コラム7」

「一○○○」とか「一一○○」などの軍隊の時間の読み方はどう点訳すればよいでしょうか。「ヒトマルマルマル」、「ヒトヒトマルマル」と読むのはわかるのですが、一語ずつ区切るか続けるか、本来の時間を書くべきか、書くとしたらどちらを先に書くか悩んでいます。

【A】

「ヒトマルマルマル」、「ヒトヒトマルマル」は数字ひとつずつ区切って書くのがよいと思います。
「ヒト■マル■マル■マル」、「ヒト■ヒト■マル■マル」となります。
どのように点訳するかは、原文の書き方や前後の文脈で異なってくると思いますが、「一○○○」「一一○○」と書いてあって、前後の内容から、軍隊の時刻の読みであることが分かるのであれば、そのまま、「ヒト■マル■マル■マル」、「ヒト■ヒト■マル■マル」とだけ書いてよいと思います。

3 ローマ数字の書き方

1.p42 【処理】

「てびき」p42の【処理】や、p76の【処理】に「ローマ数字を用いる必要がほとんどないと思われる場合は、数字に代えて点訳することができる」とあります。
原本通りにローマ数字を使わないで、数字に代えて処理をする理由を教えてください。
また、「Ⅰ」を「アイ」という場合は別ですが、ほとんどの場合、点字では、ローマ数字は数符を用いた数字に代えられるように思いますが、ローマ数字を数字に代えないほうがよいのは、どのような場合でしょうか?
以下のような場合はどうしたらよいでしょうか?
①『全訂 判例先例相続法』 Ⅰ~Ⅴ  (書名)
②『東南アジア史Ⅰ 大陸部』 山川出版社(書名)
③飛鳥Ⅱ(クルーズ客船の名)
④血液凝固因子の中で第Ⅷ因子または第Ⅸ因子に異常
⑤イギリス女王  Queen ElizabethⅡ

【A】

ローマ数字は、多くの場合大文字のアルファベットで書きますので、点字の場合、数字で書けば二マスあるいは3マスで書き表せるところを、Ⅰは3マス、Ⅱは5マス、Ⅲは6マス必要になります。また、ⅤやⅩ、L、Cとなると、数字かどうかの区別も分かりにくく、正確に読むことも大変です。
最近の例ですが、コロナに関する市長からのメッセージのように先が見えない文書に番号をつける場合、初めは、視覚的なイメージからローマ数字でⅠ、Ⅱ、Ⅲと付けても、ⅩⅦ、ⅩⅧとなるとローマ数字では、墨字でも読むのも大変ですし、点字では7~8マスも必要になります。
このように、ローマ数字は視覚的イメージに訴える使い方が多いので、単に番号が分かればよい場合には、点字では数符を用いた数字で書いた方がよいというのが、この【処理】の趣旨です。ただ、点訳の場合、固有名詞の場合やローマ数字の書き方が定着しているもの、書名で、単に巻次ではなくタイトル名に入っている場合、「数Ⅱb」のように内容に関係する場合などには、ローマ数字をそのまま使用した方がよいと思います。
ただ、固有名詞かどうか迷う場合も多く、以前よりは原本通りにローマ数字を用いる書き方が多くなったように思います。
ご質問にあった以下の場合、①、④は数符を用いて数字で書いてよいと思います。
②は迷いますが、書名ととらえてローマ数字で書いた方がいいように思います。

①『全訂 判例先例相続法』 Ⅰ~Ⅴ   数字
②『東南アジア史Ⅰ 大陸部』 山川出版社  ローマ数字
③飛鳥Ⅱ  ローマ数字
④血液凝固因子の中で第Ⅷ因子または第Ⅸ因子に異常  数字
⑤イギリス女王  Queen ElizabethⅡ  ローマ数字