第3章 分かち書き(4)

その4 方言・古文など

1.p97 1.方言の分かち書き

方言で、「オラに相談してきたんちゃうん?」という文があります。「ちゃうん」は続けて書きますか、区切って書きますか。

【A】

「オラニ■ソーダン■シテ■キタン■チャウン?」となります。
「ちゃう、ちゃうん」は「違う」が省略された言い方で、直訳すると「相談してきたのと違うの」となります。
「~んちゃうん」「~んちゃう」で「~じゃない」というような言い方にもなりますので、「ちゃう」の前で区切って書きます。
点訳フォーラムの語例集で「ちゃう」といれて検索をしてみてください。
ええんちゃう エエン■チャウ 方言(関西)いいんじゃない
出来るんちゃう デキルン■チャウ
出てくるんちゃう デテ■クルン■チャウ 方言(関西)出てくるんじゃない
やせたんちゃう ヤセタン■チャウ 方言(関西)やせたんじゃない
がヒットします。

2.p97 1.方言の分かち書き

「おてもやん」の歌詞のマスあけはどうなりますか。
「げんぱくなすびのいがいがどん」
「後はどうなっと きゃーなろたい。」

【A】

「玄白茄子のいがいがどん」は、見た目の悪い(できの悪い)茄子のようなとげとげした男達のことを表しているとのことで、「どん」は「西郷どん」とおなじ方言のようです。
ここから、ゲンパク■ナスビノ■イガイガドンと書いてよいと思います。
「後はどうなっと きゃーなろたい。」は、「あとはどうにでもなる」という意味とのことです。「きゃあ」は、強調の接頭語とのことです。
アトワ■ドーナット■キャーナロタイ

3.p97 2.古文・漢文の分かち書き

古文の語の分かち書きについて、「てびき」p222で、敬意を表す補助動詞は、前を区切るとありますが、「答え申す、尋ね申す」などは「コタエ□モース、タズネ□モース」と区切るのでしょうか。

【A】

「てびき」p222【備考2】は、教科書・参考書などの学習書で、古文の文法や仕組みを理解することを目的に決められたルールです。
参考書の場合はこのルールに準じて点訳をしてください。
その場合は、コタヘ■マウス、タヅネ■マウスとなります。仮名遣いも古文の仮名遣いになります。
一般書の場合は、「てびき」p23 (8)、ならびにp97[参考]をご覧ください。現代の仮名遣いで点訳する場合は、「コタエモース」「タズネモース」となります。

4.p97 2.古文・漢文の分かち書き

古文を古文表記で点訳するときの「こころ」を含む語についてのマスあけに迷っています。現代語の「こころよわい」「こころにくい」「こころない」は、語例集で続いていますが、古文でも「こころよわく」「こころにくし」「こころなし」などは古語辞典に形容詞として見出し語にありますので一続きに書いてよいと思っています。「こころふかく」「こころふかし」は、どうなりますか。
古語辞典では形容詞として見出し語にあるのですが、判断基準を教えてください。

【A】

「点訳フォーラム」の語例集には、古文で書き表す場合の書き方は掲載していませんが、「心深し」も多くの「古語辞典」で形容詞とされていますので、古文を古文の点字表記で点訳する場合で、「心深し」が形容詞として用いられているときは、一続きに書いてよいと思います。
「日本点字表記法 2018年版」の「第6章古文の書き表し方」では、源氏物語の用例で「心深く」が一続きになっています。
古文では、現代文より形容詞とされる語が多く、そのすべてを一続きに書いてよいかどうか判断に迷う場面が多いのですが、中学・高校生が用いるような古語辞典の多くで形容詞と見なされているかどうかも判断の根拠となると思います。

5.p97 2.古文・漢文の分かち書き

小説に出てくるはがきの文面ですが、どの様に点訳したらよいのか教えてください。
カギで囲んだのが小説の原文です。

「そこには漢字だけがずらずらとならんでいた。

子意遠可射
依依見其面
疑子在咫尺 」

漢詩の一部らしいのですが、どのように点訳すればわかりやすいのでしょうか。
漢字一文字ごとにマスあけし、それぞれの漢字を点訳挿入符で説明するのでしょうか。

【A】

漢文は、書き下し文で表すことになりますので、この場合も漢字だけを書いても文意が通じません。少なくとも、点訳挿入符で漢字5文字3行あることを断ります。
このあとの文脈によって、それだけでよい場合もあると思いますし、書き下し文が必要な場合もあると思います。
例として書いてみました。

点挿カンジ■数5ジズツ■数3ギョーノ■カンシ。■■カキクダシブンデ■オヨソノ■イミヲ■シメス。点挿
■■シ(キミ)ノ■ココロ■トオクシテ■イルベシ
■■イイトシテ■ソノ■オモテヲ■ミル
■■ウタガウラクワ■シノ■シセキ(チカク)ニ■アリヤト

6.p97 2.古文・漢文の分かち書き

お経の書き方に関して、何か規則はありますか。
般若心経
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空
度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空
空即是色

【A】

お経でも、基本的な分かち書きのルールに従って書くことになります。
般若心経の冒頭部は、
観自在菩薩  観音菩薩のこと
行深般若波羅蜜多時  深般若波羅蜜多を行ずる時
照見五蘊皆空  五蘊(または、五陰)皆 空なりと照見して
度一切苦厄   一切の苦厄を度した
舎利子  舎利弗(しゃりほつ)のこと
色不異空 空不異色  色は空に異ならず、空は色に異ならず
色即是空 空即是色  色はすなわちこれ空なり、空はすなわちこれ色なり

というような意味ですので、以下のように点訳の一例を示してみます。
五蘊(または、五陰)は、お経のルビが異なる場合もあります。ゴウンまたはゴオンとなります。

カンジザイ■ボサツ■■ギョー■ジン■ハンニャ■ハラミッタ■ジ■■
ショーケン■数5=オン■カイクー■■ド■イッサイ■クヤク■■
シャリシ■■シキ■フイ■クー■■クー■フイ■シキ■■
シキ■ソク■ゼ■クー■■クー■ソク■ゼ■シキ■■

7.p97 2.古文・漢文の分かち書き

「ぎゃていぎゃてい はらぎゃてい はらそうぎゃてい ぼじそわか はんにゃしんぎょう」
これはどう書いたらいいでしょうか。

【A】

「ぎゃていぎゃてい~」は般若心経の一部ですので、意味の区切り目で以下のように点訳することをお勧めします。宗派によっては、途中句点が入っていたり、空白があるところが異なるかも知れませんが、今回の原文の所で区切るのが一般的なようですので、そこを二マスあけにすればよいと思います。
ギャテイ■ギャテイ■■ハラ■ギャテイ■■
ハラ■ソーギャテイ■■ボジ■ソワカ■■ハンニャ■シンギョー

8.p97 2.古文や漢文の分かち書き

般若心経の経文の表記はどうなりますか?
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 空即是色~

【A】

般若心経の全文は以下の通りですが、原文によっては、漢字4文字ずつ空白を入れて書かれていたり、句点が付いていたり、行を替えるところも種々ありますので、そのような点は原文を尊重して書くことになります。また原文に従って、実際に唱えるように長音を入れて点訳する方法もあると思います。読みが少し異なる場合もあるかもしれません。
以下に点訳の一例を示しますが、他の解釈もあるかもしれませんので、参考としてお使いください。

観自在菩薩 行深般若 波羅蜜多時 照見五蘊 皆空 度一切苦厄
舍利子 色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識 亦復如是
舍利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不減  是故空中
無色無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法 無眼界乃至無意識界
無無明亦無無明尽 乃至無老死 亦無老死尽 無苦集滅道
無智亦無得 以無所得故  菩提薩埵 依般若波羅蜜多故 心無罣礙
無罣礙故 無有恐怖 遠離一切顛倒夢想 究竟涅槃  三世諸仏
依般若波羅蜜多故 得阿耨多羅三藐三菩提  故知般若波羅蜜多
是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪 能除一切苦 真実不虚
故説般若波羅蜜多呪 即説呪曰 羯諦羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦
菩提薩婆訶 般若心経

カンジザイ■ボサツ■■ギョー■ジン■ハンニャ■ハラミッタ■ジ■■
ショーケン■数5=オン■カイクー■■ド■イッサイ■クヤク■■
シャリシ■■シキ■フイ■クー■■クー■フイ■シキ■■
シキ■ソク■ゼ■クー■■クー■ソク■ゼ■シキ■■
ジュ■ソー■ギョー■シキ■■ヤクブ■ニョゼ■■
シャリシ■■ゼ■ショホー■クーソー■■フショー■フメツ■■
フク■フジョー■■フゾー■フゲン■■ゼ■コ■クー■チュー■■
ム■シキ■ム■ジュ■ソー■ギョー■シキ■■
ム■ゲン■ニ■ビ■ゼツ■シン■イ■■
ム■シキ■ショー■コー■ミ■ソク■ホー■■
ム■ゲンカイ■ナイシ■ム■イシキカイ■■
ム■ムミョー■ヤク■ム■ムミョー■ジン■■
ナイシ■ム■ローシ■■ヤク■ム■ローシ■ジン■■
ム■ク■シュー■メツ■ドー■■ム■チ■ヤク■ム■トク■■
イ■ム■ショ■トク■コ■■ボダイ■サッタ■■
エ■ハンニャ■ハラミッタ■コ■■シン■ム■ケイゲ■■
ム■ケイゲ■コ■■ム■ウ■クフ■■
オンリ■イッサイ■テンドー■ムソー■■
クキョー■ネハン■■数3ゼ■ショブツ■■
エ■ハンニャ■ハラミッタ■コ■■
トク■アノク■タラ■数3ミャク■数3ボダイ■■
コ■チ■ハンニャ■ハラミッタ■■ゼ■ダイジンシュ■■
ゼ■ダイミョーシュ■■ゼ■ムジョーシュ■■
ゼ■ムトードーシュ■■ノー■ジョ■イッサイ■ク■■
シンジツ■フコ■■コ■セツ■ハンニャ■ハラミッタ■シュ■■
ソク■セツ■シュ■ワツ■■ギャテイ■ギャテイ■■
ハラ■ギャテイ■■ハラ■ソーギャテイ■■
ボジ■ソワカ■■ハンニャ■シンギョー

【新規】 p97 2.古文・漢文の分かち書き

中山七里著「死にゆく者の祈り」の作中に「四誓偈」の一節があります。経文の点訳方法・マスあけはどのようにしたらよいでしょうか。
——————————————–
我建超世願 必至無上道 斯願不満足 誓不成正覚
がごんちょうせがん ひっしむじょうどう
しがんふまんぞく せいふじょうしょうがく

我於無量劫 不為大施主 普済諸貧苦 誓不成正覚
が お むりょうこう  ふ い だいせしゅ
ふ さいしょびんぐ せいふじょうしょうがく

我至成仏道 名声超十方 究竟靡不聞 誓不成正覚
がしじょうぶつどう みょうしょうちょうじっぽう
くきょうみしょうもん せいふじょうしょうがく

離欲深正念 浄慧修梵行 志求無上道 為諸天人師
りよくじんしょうねん じょうえしゅぼんぎょう
しぐむじょうどう いしょてんにんし

神力演大光 普照無際土 消除三垢冥 広済衆厄難
じんりきえんだいこう  ふしょうむさいど
しょうじょさんくみょう  こうさいしゅやくなん

開彼智慧眼 滅此昏盲闇 閉塞諸悪道 通達善趣門
かいひちえげん めっしこんもうあん
へいそくしょあくどう つうだつぜんじゅもん

功祚成満足 威曜朗十方 日月収重暉 天光隠不現
く そじょうまんぞく  いようろうじっぽう
にちがつしゅうじゅうき  てんこうおんぷげん

為衆開法蔵 広施功徳宝 常於大衆中 説法師子吼
いしゅかいほうぞう  こうせ く どくほう
じょうおだいしゅじゅう  せっぽうし し く

供養一切仏 具足衆徳本 願慧悉成満 得為三界雄
くよういっさいぶつ  ぐ そくく どくほん
がんねしつじょうまん  とくいさんがいおう

如仏無礙智 通達靡不照 願我功慧力 等此最勝尊
にょぶつむ げ ち  つうだつみふしょう
がんがく え りき  とうしさいしょうそん

斯願若剋果 大千応感動 虚空諸天人 当雨珍妙華
しがんにゃっこっか  だいせんおうかんどう
こくうしょてんにん とううちんみょうけ

南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏
なむあみだぶつ なむあみだぶつ なむあみだぶつ

【A】

浄土宗の公式ホームページ(https://jodo.or.jp/)の和訳・現代語訳を参考に以下のように考えました。なお数カ所、読みの異なるところがありましたが、漢字から判断して書きました。
お経の3行目の「究竟靡不聞」は「 究竟靡所聞」のようです。ただ、ふりがなは間違っていませんでしたので、そのまま書きました。
原本をネット上で試し読みしてみますと、2~3行ずつ、お経として唱えていますので、書き下し文にするのではなく、このまま点訳するのがよいと思います。

我建超世願 必至無上道 斯願不満足 誓不成正覚
ガ■ゴン■チョー■セガン■■ヒッシ■ムジョードー■■
シガン■フマンゾク■■セイ■フジョー■ショーガク

我於無量劫 不為大施主 普済諸貧苦 誓不成正覚
ガ■オ■ムリョーコー■■フ■イ■ダイセシュ■■
フ■サイ■ショビング■■セイ■フジョー■ショーガク

我至成仏道 名声超十方 究竟靡不聞 誓不成正覚
ガ■シ■ジョー■ブツドー■■ミョーショー■チョージッポー■■
クキョー■ミショーモン■■セイ■フジョー■ショーガク

離欲深正念 浄慧修梵行 志求無上道 為諸天人師
リヨク■ジンショーネン■■ジョーエ■シュ■ボンギョー■■
シグ■ムジョードー■■イ■ショテンニンシ

神力演大光 普照無際土 消除三垢冥 広済衆厄難
ジンリキ■エン■ダイコー■■フショー■ムサイド■■
ショージョ■数3クミョー■■コーサイ■シュ■ヤクナン

開彼智慧眼 滅此昏盲闇 閉塞諸悪道 通達善趣門
カイ■ヒ■チエゲン■■メッシ■コンモーアン■■
ヘイソク■ショアクドー■■ツーダツ■ゼンジュモン

功祚成満足 威曜朗十方 日月収重暉 天光隠不現
ク■ソ■ジョー■マンゾク■■イヨー■ロー■ジッポー■■
ニチガク■シュー■ジューキ■■テンコー■オンプゲン

為衆開法蔵 広施功徳宝 常於大衆中 説法師子吼
イ■シュ■カイ■ホーゾー■■コー■セ■クドクホー■■
ジョー■オ■ダイシュジュー■■セッポー■シシク

供養一切仏 具足衆徳本 願慧悉成満 得為三界雄
クヨー■イッサイブツ■■グソク■シュトクホン■■
ガン■ネ■シツ■ジョーマン■■トクイ■数3ガイオー

如仏無礙智 通達靡不照 願我功慧力 等此最勝尊
ニョブツ■ム■ゲチ■■ツーダツ■ミ■フショー■■
ガン■ガ■クエリキ■■トーシ■サイショーソン

斯願若剋果 大千応感動 虚空諸天人 当雨珍妙華
シガン■ニャッコッカ■■ダイセン■オー■カンドー■■
コクー■ショテンニン■■トー■ウ■チンミョーゲ

南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏
ナムアミダブツ■ナムアミダブツ■ナムアミダブツ