第4章 記号類の使い方
その1 句読符
1.p98 1.句点
メール文などでは、句点や読点が複数並んでいる場合があります。そのまま続けて書いてよいでしょうか。
【A】
句点や読点は複数重ねて用いることはできませんので、「。。。。。。」「、、、、、、」となっていても、一つだけ書きます。 ただ、これらが点線の意味で用いられている例も見受けられますので、その場合は、文意を考えて、適宜点線に代えるなどします。
2.p98 1.句点
サイト名で使われる「。」の扱いについてお尋ねします。「僕の見た秩序。」というサイトがありますが、「モーニング娘。」と同じように、これを表記するとき「。」は抜くのでしょうか。「。」を書く場合「僕の見た秩序。は走り続ける」という文章は、「。」の後ろ二マスあけになるのでしょうか
【A】
この場合も、「。」は、原則として省略して書いてよいと思います。そして必要な場合は点訳挿入符で句点が付いていることを説明します。
これを省略しないで書く場合、感嘆符や疑問符と異なり、句点には文中の語句に付ける という用法はありませんので、後ろを一マスあけで書くことはできません。しかし、この場合明らかに文の終わりではありませんから、二マスあけることもできません。もし、この「。」をどうしても書かなければならない場合は、全体を第2カギなどで囲んではどうでしょうか。 第2カギを《 》で表してみると、「《ボクノ■ミタ■チツジョ。》ワ■ハシリツヅケル」となります。
3.p98 1.句点
文末に疑問符と句点が続いているものがありました。疑問符と感嘆符が続いている場合はどちらも点訳しますが、疑問符と句点の場合、どのように処理するのでしょうか。初めて見たときは、誤植、本来の用法ではないのでは、と判断して疑問符だけを残し句点は無視しました。再び同様のものが出てきましたので不安になっての質問です。
(例)「お連れ?。お連れは誰でもよい。」
【A】
日本語の一般的な書法では、「疑問符 ・感嘆符は基本的に文章の終止を表すため、その後ろに句点は用いない」とされています。点字では、疑問符と句点、感嘆符と句点は続けて用いることはしませんので、疑問符だけを書きます。
4.p98 1.句点
次のような文章で第1カギの中に句点の記号をそのまま書くことはできますか。
俺と彼女の恋愛は円満ではなかったにせよ、着実な「。」を打つことができた。
ちなみに、同じ本の中で「一同が会した黄昏は、青春のエピローグである金属バットの快音を響かせながら、静かに句点を打った。」という文章もあります。
【A】
第1カギの中に句点だけを書くことは、できないことではありませんが、一般の読み物の中では、読みやすさも考えて、「クテン」「ピリオド」「マル」などと言葉で書いた方が自然に読めると思います。文脈から言葉を選んでください。
5.p98 1.句点
本のタイトルに句点がついています。
『ケータイ小説。』
このような場合、「モーニング娘。」と同じように省略してよいのか、タイトルの場合は句点は省略しないのかどちらでしょうか。
【A】
「モーニング娘。」は人名に分類される固有名詞ですが、本のタイトルには、語句もありますが、文の場合もあります。
また、句点は、疑問符や感嘆符とは異なり、必ず文末に付き、後ろは必ず二マスあけになります。
このようなことから、本のタイトルの場合は、句点を用いる場合も、省略する場合もありますし、本のタイトルが文中に用いられている場合は、カギで囲むなど工夫が必要な場合もあります。
『ケータイ小説。』は、文ではありませんので、省略してよいと思います。
6.p98 1.句点
Jr.。
英単語の省略記号(ピリオド?)と句点が続きます。
どのように点訳すればよいですか?
【A】
このピリオドと句点は、機能が異なりますが、点字では慣習上、このような場合は②⑤⑥の点を一つだけ書くことにしています。
二つの働きを兼ねさせます。
7.p99 1.句点 【処理1】
1.雑誌
2.漫画
3.絵本
1.の雑誌については~ という文が続きます。
数字についた「.」はピリオドなので英語扱いになるので必ず1マスあけて
1.■ノ■ザッシニ■ツイテワ とするということなのですが
1ノ■ザッシニ■ツイテワ
1。ノ■ザッシニ は使えないですか。
【A】
1。■ノ■ザッシニ■ツイテワ となります。
「1。ノ■ザッシニ」は、ピリオドの後ろをあけていないので明らかな誤りです。
「1ノ■ザッシニ■ツイテワ」は、「1.雑誌」を指しているのかどうかがわかりにくくなりますので、お勧めしていません。
8.p99 1.句点 【処理2】
【処理2】に、Jr.の後ろに第1つなぎ符を用いる例がありますが、「E.T.たち」のような場合も、このように書くと理解してよいでしょうか。
【A】
外字符を用いた語句の最後がピリオドで、その後ろに「たち」などの一続きに書く語がきた場合は、第1つなぎ符を用いて書きます。ただ、一般文章中では、一つの略称の中に使われる省略符としてのピリオドは省略することができます(「てびき」p44【備考4】)ので、まずはピリオドを省略して書くのがよいと思います。
9.p99 2.疑問符・感嘆符
疑問符の後のマスあけについてお尋ねします。
「よく知ってたわね。あたしが古村白水の名前を口にすると、へえ、あんた、クリーニング屋の孫なわけ? なんて言ってくる馬鹿がいるくらいなんだから」という文があります。原本では疑問符のあとに空白があり、その後に「なんて」という助詞がきますが、この場合疑問符のあとのマスあけはどうすればよいのでしょうか。
疑問符の後に助詞があるので一マスあけなのか、疑問符の後空白があるので一旦文章が終わっていると考えて二マスあけにしてよいのでしょうか。
【A】
この場合、疑問符の後二マスあけでよいと思います。
「なんて」には確かに「などと」という意味の助詞もありますが、前の文や語句を全部受けて、文頭に「なんて~」と書く用い方もあります。この場合、「へえ、あんた、クリーニング店の孫なわけ?」という文全体を受けていますので、疑問符で文が終わったと解釈することができると思います。
「てびき」p100の上の[参考]にあるように、疑問符・感嘆符は本来文末に用いる記号ですので、あきらかに文の途中でない限り、後ろを二マスあける方を選択するようにします。
10.p99 2.疑問符・感嘆符
「おもしろそう、やらせて!やらせて!と頼み込み、二人で打ち水遊びをしました。」
この場合の一つ目の感嘆符の後ろは一マスあけですか、二マスあけですか。
【A】
非常に微妙な例ですが、一つ目の感嘆符の後は二マスあけにした方がよいと思います。
疑問符・感嘆符の後ろは、まず二マスあけと考え、「明らかに文中の場合」だけ一マスあけにします。「てびき」p100の上の【参考】に、文中かどうかは疑問符・感嘆符を取って判断するとありますが、この場合、最初の「おもしろそう、やらせて!」のあとが文の途中と言えるかどうか、非常に微妙です。
「明らかな文中」の例として、てびきで挙げているのは、
「あっ!■と■叫んだ。」「その■犬は■しつけが■よい?■ため■・・・」の2例で、このほか、たとえば「一病?■息災」など、複合語の中に使われている場合も一マスあけになると思います。
今回ご質問の例は、以上の例のように明らかな文中とまでは言えないので、「Q&A」Q87の説明にあるように「文末か文中か判断できないのであれば、本来の用法である文末とみなして」二マスあけで点訳した方がよいと思います。
11.p99 2.疑問符・感嘆符
この文の疑問符の後ろは文中と考えて一マスあけでしょうか。点線のあとに疑問符なので、次は新しい文と考えて二マスあけでしょうか。
懐中電灯をつかって本を読んでいる人がいる・・・? と思ったらあなただったの。
【A】
ご質問の文は「と」に続いていますが、前が、点線があって疑問符ですので、この疑問符は文末と考えた方がよいと思います。ですから
イル■・・・?■■ト■オモッタラ
迷うところですが、疑問符は本来文末に付く記号ですので、後ろ二マスあける方を優先して考えた方がよいと思います。
12.p99 2.疑問符・感嘆符
一夫多妻の場合、女性はどうなんだ? という疑問です。
という文があります。
この文の疑問符の後のマスあけはどうすればよいでしょうか。
疑問符の後に空白があります。
このQ&Aに《懐中電灯をつかって本を読んでいる人がいる・・・? と思ったらあなただったの。》の質問に「前に点線があって疑問符なのでこの疑問符は文末と考えた方がよい」という回答があります。疑問符の前に点線はありませんが疑問符の後空白がある場合も、文末と考えることはできますか。
【A】
この文の場合は、疑問符をとって考えてみると、「女性はどうなんだという疑問です」となり、一文として自然ですので、疑問符の後ろは一マスあけがよいように感じます。
現Q&Aの例文は疑問符の後ろ「と思ったらあなただったの」は独立した文になりますが、「という疑問です」だけでは独立した文になっていません。
ですので、一マスあけになります。
13.p99 2.疑問符・感嘆符
『西原理恵子の太腕繁盛記 FXでガチンコ勝負!編』
というタイトルの中の《FXでガチンコ勝負!編》について質問します。
この「編」は 感嘆符がなかったら「ショーブヘン」と続きます。感嘆符がある場合はどうでしょうか。マスあけしてしまうと、意味が違ってくると思うのですが、文中だから一マスあけでしょうか。
「てびき」p100の疑問符のようにつなぎ符を使うことはできないでしょうか。
【A】
第1つなぎ符を用いて書いてよいと思います。
疑問符・感嘆符は、一続きに書き表すべき1語中にも用いられることも多く、そのような場合は、数字の代わりの疑問符以外でも第1つなぎ符を用いて書かざるをえないと思います。
「てびき」p99【処理2】も、ピリオドの後ろに、一続きに書き表すべき語が続いた場合の例になります。
点訳フォーラムの語例集にも「芭蕉幕府隠密?説」があります。
14.p100 2.疑問符 感嘆符 [参考]
疑問符・感嘆符が囲み記号もなく単独で使われている場合、カッコで囲み(ギモンフ)、(カンタンフ)と書く例があります。
???や !!!のように囲み記号がなく複数の疑問符・感嘆符が書かれている場合は、次のような処理の仕方でよいでしょうか。
①第1カッコを使う (ギモンフ■ギモンフ■ギモンフ)
②点訳挿入符を使う 点挿カンタンフ■ミッツ点挿
【A】
はい、①か②の処理をしてください。
15.p100 2.疑問符・感嘆符 [参考]
《囲み記号もなく単独で使われている場合は、記号をそのまま書くことはしないで、ことばで(ギモンフ)・(カンタンフ)と書くか、点訳挿入符で疑問符・感嘆符の記号があることを示すなどの工夫をします。》とあります。
この時、カッコを使うか、点訳挿入符を使うかの違いは何でしょうか。
【A】
疑問符・感嘆符の記号をそのまま文字化していますので、点訳挿入符を使用するまでもなく、第1カッコでよいと判断しています。
《疑問符の記号だけがある》《感嘆符と疑問符が並んでいる》などと点訳者が説明を加えれば、点訳挿入符で書くことになります。
微妙なところですが、点訳挿入符を用いるとマス数も多くなりますので、記号を文字化しただけのような場合は、第1カッコを用いる処理もあると思います。
16.p100 2.疑問符 感嘆符
「シャインオン!キッズ」という団体名がありますが、この場合の感嘆符の後ろのマスあけはどうなりますか?
「そんなことができるのか?きみ」、「それいけ!アンパンマン」、これらの感嘆符や疑問符の後ろはどうでしょうか?
【A】
「シャイン■オン!■キッズ」は、組織名ですので、一マスあけでよいと思います。この組織は感嘆符を付ける場合も、付けない場合もあるようです。「シャインオン!」で文が終わっているわけではありませんので、二マスあけるのは不自然だと思います。
タイトル名にはいろいろなものがあり、文の場合もあります。「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」など、感嘆符の後は二マスあけになります。「それ行け!アンパンマン」も「それ行け!」は文ですので、二マスあけます。「そんなことができるのか?きみ」も疑問符の後ろ二マスあけでよいと思います。「てびき」p100 2.[参考]を参照してください。
17.p100 2.疑問符 感嘆符
「なんでここにいるの? ていうか、なんで車なの」
「大丈夫? って、何度も聞いたよ」
上記の疑問符の後ろのマスあけはどうでしょうか。
【A】
上の例は後ろに、「ていうか」がありますが、これは、今の若者の話し言葉として接続詞的に使用されていると思われますので、前の「~いるの?」で文が終わり、「ていうか、~」で新たな文が始まったと取るのが妥当ではないかと思います。「なんで■ここに■いるの?■■て■いうか、■なんで■車なの」
下の例は、後ろに「って、」が続き、文の途中だと思います。ですから「大丈夫?■って、■何度も■聞いたよ」
18.p100 2.疑問符・感嘆符
疑問符の後のマスあけについて教えてください。
① ~だけど覚えてる?って あほか~
② ~を指している?と、いうか~
①②共に助詞が続いていますが文中か文末か。どのように判断したらいいでしょうか。
また、1字分のスペースに!!!!とありますが、4つ続けて書いてもいいのでしょうか。
縦書きで1行に下のように書いてある場合
!!
!!
!!
!!
?!
!!
これは、!!■!!■!! !!■?!■!!とするのでしょうか?
【A】
①②ともに疑問符の後は一マスあけになります。
ともにうしろに助詞が続いていますし、文中と言えると思います。
「てびき」p100の上にある[参考]の最後の一文にあるとおり、疑問符を取ってみると
① ~だけど覚えてるって あほか~
② ~を指していると、いうか~
となり、疑問符が文中にあることが分かると思います。
感嘆符が!!!! と4個並んでいる場合、「てびき」p100の下の[参考]にあるとおり、疑問符・感嘆符は複数続けて書くこともできますので、前の語に続けてマスあけせずに感嘆符を4個書いてもよいと思います。
縦書きに、2個ずつ感嘆符・疑問符が続いている場合、前の語に続いている場合は、マスあけをせずにすべての感嘆符、疑問符を続けて書いてよいと思います。
語に続けて !!!!!!
または、前の語に続けて !!?!!!
となります。
1行に、この感嘆符、疑問符だけが書かれている場合は、[参考]にあるとおり、
記号だけを書くことは避けます。
最も簡略な書き方は
■■(感嘆符)
や
■■(感嘆符と疑問符)
となりますが、
点訳挿入符を用いて詳しく
■■点挿 感嘆符が一文字分に2個ずつ、合計6個 点挿
や、
■■点挿 一文字分に、感嘆符が2個、感嘆符と疑問符、感嘆符が2個 点挿
などと書く書き方もあると思います。
いずれにしても記号だけが並んでいる場合は、記号を言葉に換えて書きます。
19.p100 2.疑問符・感嘆符 [参考]
??「お前の~」
早紀「はい?」
??「~~」
電話での会話が続きます。
囲み記号がない場合、第一カッコ・点訳挿入符を使うとありましたが、第二カギを使ってはいけないでしょうか。
この後、??組 も出てきます。<??>組としたいのですが。
【A】
疑問符だけが単独であった場合は、カッコで囲んだりして工夫する必要がありますが、この場合は他の工夫をした方がよいと思います。
??が、何度も出てきますので、そのたびに疑問符を二つ書くことは避けて、これを「不明」「なぞ」などと読み、断る必要がある場合は、《疑問符二つで表されている人物を「フメイ」とする》などと断り、
フメイ■■「オマエノ■~」
サキ■■「ハイ?」
フメイ■■「~」
のように書き、
??組は、フメイグミと書けばよいと思います。
【新規】p100 3.読点
読点についてお尋ねします。
佐津間地区(佐津間、西佐津間、中佐津間、南佐津間)と原本では読点が使われています。てびきには、読点は墨字の「、」に対応させて用いる。とありますが、点訳者の判断で中点に変えてもよいのでしょうか。中点はマスあけや他の記号に変えたりしますが、読点も他の記号に変えることができますか。
【A】
この読点は用法を間違えているわけではありませんので、原文のまま用いることが原則となります。
中点やスラッシュなどを他の記号に替えるのは、墨字のまま用いると点字では誤りになったり、点字で対応する記号がない場合などです。
墨字と同じ用法で、点字でも用いることができる場合は原文のとおりが原則となります。
読点でも、「てびき」p101の【処理2】~【処理4】やp132~p133のような場合は省略したり、他の記号に替えたりすることはあります。
20.p101 3.読点 【処理2】
その1。・・・・・・。 (・・・・・・ は文章)
その2。・・・・・・。
その3。・・・・・・。
第一。・・・・・・。
第二。・・・・・・。
第三。・・・・・・。
第一、・・・・・・。
第二、・・・・・・。
第三、・・・・・・。
などが、文頭にある場合に、【処理2】は適用できるものなのでしょうか。【処理3】では、数字で表した場合に「②⑤⑥の点 一マスあけ」になり、ヒトツと仮名で書いた場合は読点を用いますので、上記のような場合は原本通り、「句点 二マスあけ」「読点 一マスあけ」だと思っており、【処理2】でいう「仮名」は、ア. イ. ウ. ・・・ イ. ロ. ハ. ・・・ のような場合についてだけと思っていたのですが、「②⑤⑥の点 一マスあけ」で点訳されているのを見て自信がなくなってきました。
【A】
【処理2】は、見出しや箇条書きの場面について述べられています。
見出しや、箇条書きの順序を表し、数字だけの場合と同じ働きをしている場合は、②⑤⑥は、ピリオドと考えて一マスあけにします。
■■ソノ■数1.■
■■ソノ■数2.■
■■ソノ■数3.■
■■ダイ数1.■
■■ダイ数2.■
■■ダイ数3.■
となります。
問い1.問い2.問題1、問題2などの場合も、
■■トイ■数1.■
■■トイ■数2.■
モンダイ■数1.■
モンダイ■数2.■
となります。
一、二、その1、などと読点で書いてある場合も順序を示す見出しであれば、ピリオドに置き換えることを基本としますが、第一、第二、の場合、見出しであっても、読点の働きととらえられる場合は、読点をそのまま用いるのが自然な場合も多いと思います。
21.p101 4.中点
Dos攻撃(Denial of Service attack・ドス攻撃)
のように、カッコの中に英語と日本語訳が中点で並んで書かれている場合の中点は、どうしたらよいでしょうか。
【A】
用法としては、二つの語句が並記されていますので、中点を使用してよいと思います。ただ、外国語引用符と並びますので、読みやすさを考慮して、中点を省略して二マスあけにするという書き方をしてもよいでしょう。
22.p101 4.中点
中点のことで質問があります。
指導者ハンドブックのコラムに、一般に中点は名詞の並列に用いる、とありますが、最近は色々なところで使われており、その度に悩みます。
以下、中点はどう点訳したら良いでしょうか。
1 集中力を保つ・高めることは簡単だ。
2 「うまい・甘い」と感じる。
3 自分でできる・学校でできる対策
4 5年間・3万人を調査した。
5 「ゆっくり・穏やかに・息を続けて」呼吸する。
よろしくお願いいたします。
【A】
中点は、基本的には名詞の語の並列に用いる記号です。が、近年、墨字の表記が非常に乱れていますので、点訳に際して悩む場面が多くなっていることは確かです。
ただ、名詞以外の動詞や形容詞の語の並列でも、または「自分でできる」のようないくつかの文節からなる語句でも、原本に並列の用法で用いられている場合は、他の記号に置き換えることも難しいのですし、二マスあけも分かりにくいので、中点を用いるしかないと思います。
1~5のなかで4.は一マスあけがよいと思いますが、ほかは中点を用いるしかないと思います。
自分で点字・墨字の文章を書く場合は正しい中点の用い方に注意して
くださいという意味でのコラムです。点訳挿入符内の説明や点訳書凡例を書く
場合には、記号類は正しく用いるようにしたいと思います。
23.p101 4.中点
p68【備考2】には「接頭語や造語要素がマスあけを含む複合語全体にかかる場合には、接頭語や造語要素の後ろを区切って書く」とありますが、この「マスあけを含む複合語」には中点も含まれますか。
例えば「市内小中学校の全児童・生徒らが」「要支援・介護の認定を受けた」です。「全」は「全児童・全生徒」と「児童・生徒」にかかり、「要」は「要支援・要介護」と「支援・介護」にかかっていますので「ゼン」「ヨー」の後ろで切ってよいでしょうか。
「小中学校」は一語で書き表わしますが、「小・中学校」となるとてびきP102②「小・中学生」の例から中点を使って書いています。つまり、てびきP103備考の「本来一続きに書く語」でも「同格・並列」に当たる場合は中点を使用するという解釈でよろしいですか。
もし原本の文章に「小・中学校」と「小中学校」が混在している場合でも原本通り中点を使ったり使わなかったり、原本の表記に合わせればよいでしょうか。
【A】
中点は対等な関係で並ぶ語句の区切り目に用いますので、「要支援・介護」「全児童・生徒」の場合は、「支援・介護」「児童・生徒」が中点を用いる部分になります。中点を用いる場合は、前の「要・全」は区切って書くことになります。
ヨー■シエン・■カイゴ ゼン■ジドー・■セイト
原文に、点字で用いる中点(「てびき」p101 (1)①②)が用いられている場合は、原本どおりに書くのが原則ですので、原本の表記に合わせてよいと思います。
ただ、原本で、他の表記も含め不統一が目立つ場合や、蔵書用図書ではない、広報誌などでは、表記を検討することもあり得ると思います。
24.p101 4.中点
向田邦子の「あ・うん」というタイトルがあるのですが、この中点はどう処理したらいいでしょうか。「てびき」p102(2)②の誤読を避けるためや語句の切れ目を明らかにするために用いられている中点と考えて、一マスあけにして「あ■うん」と書いてもいいでしょうか。
【A】
「あうん」は「阿吽の呼吸」のように一語としても使用されますが、狛犬や金剛力士像の「あ」像と「うん」像の一対も意味しています。
向田邦子の「あ・うん」は登場人物の二人を「あ」と「うん」とに表しています。その意味では、このタイトルは、対等な関係で並ぶ、中点の用法になっていると思いますので、中点を用いてよいと思います。
物語の中で、一語としての「あうん」の意味に用いられている場合は、一続きに「アウン」と書き、「あ・■うん」と並記されている場合は、「ア・■ウン」と中点を用いることになります。
25.p101 4.中点
1・3・4楽章は中点を使い、マスあけして書き、七・五・三、六・三・三制、五・七・五は中点を使わず、間を詰めて書くのは理解しています。
続けて書く際の説明として、「てびき」では、p34とp102で 「一語中で数字が並んでいる」、「はじめての点訳指導者用マニュアル」p106で「一語の中で数字が並んでいる」とされていますが、この「一語」とは、「点字かどうか関係なく、日本語のルールとして一つの言葉」なのか、「点字では一つとして扱う言葉」なのか、改めて考えたところ詰まってしまいました。
初心者の方に説明する場があり、該当箇所を読み返して、1・3・4楽章はもともと独立した語が複合語になっているのはわかるのですが、七五三ももともと独立した7才、5才、3才が並列で並んでいるではないか、六三三制も6年、3年、3年の並列ではないのかと言われれば返す言葉がなく、理解の浅さを痛感します。
点字で一続きに書く言葉だから、中点があっても一続きに書くという言い方も、点字で一続きに書く言葉が曖昧な段階の方には、循環論になってしまうように思います。
【A】
「1語中」は、日本語の中では、マスあけを含む複合語も1語と言えますが、「てびき」では、3章以降では必要に応じて「一続きに書き表すべき1語中」と表現しています。2章ではまだ「分かち書き」を学んでいないので、「一続きに書き表すべき」と言うことを前提に「1語中」という言葉を用いているところがあります。
「七五三」「六三三制」「五七五」は、一続きに書き表すべき1語中で数字が並んでいる場合にあたります。「二・二六事件」「3・11大震災」は月と日の省略に当たります。
「七五三」「六三三制」「五七五」は、三つの数字が並記されていますので、原文に中点が用いられていれば、点字でも中点を用いてもよいように思われますが、すでに単に7歳と5歳と3歳の並記ではなく、「七五三」という子どもの成長を祝う儀式を意味しますし、「六三三制」も単に6年と3年と3年の並記ではなく、日本の教育制度を表しています。1語としての新たな意味を持っていますので、続けて書きます。
それに対して、「1・3・4楽章」は、1楽章と3楽章と4楽章の並記以上の意味はありません。「2・5楽章」「1・2楽章」でも並記として、原文に中点があれば中点を用いて書きます。
「七・五・三歳は、歯の検診があります」となれば、中点を用いて書きます。
26.p101 4.中点
「育児中のパパ・ママ、プレパパ・ママを対象とした講演会」という文章の中で、プレパパ・ママの書き方はどうなりますか。
【A】
プレパパ、プレママは続けて書きますので、この場合は
「てびき」p102 ②の規則「複合語内部の構成要素が同格で並ぶ区切り目」に当たります。
プレパパ・■ママ
となります。
27.p101 4.中点
「司会・進行は山田さんです」の中点は必要な中点ですか?それとも省けますか?
【A】
「司会と進行は山田さんです」と解釈すれば、「シカイ・■シンコー」と書いても間違いではないように思いますが、「司会進行」は実際には「司会者として進行するのは」という意味合いを指すと思いますので、そう解釈すると「シカイ■シンコー」になります。
微妙な言葉で、日本語として曖昧な表現です。
点訳フォーラムとしては、シカイ■シンコーと中点を用いない方がよいと思いますが、中点を用いても間違いとは言えないと思います。
28.p102 4.中点 (2)
法人名に含まれる中点について質問させていただきます。原本情報の点訳に際して、法人名に中点が含まれるものがありました。同法人について国税庁の法人番号公表サイトで確認すると、商号又は名称に中点が含まれていることから、商号登記の時点で中点が含まれていると考えられます。
こういった場合の中点は
・「固有名詞の表記の一部」と考えて書く
・「誤読を避けるためや語句の切れ目を明らかにするために用いられている中点」(てびきp102)と考えて省略する
のいずれの方が適切でしょうか。
【A】
固有名詞であっても、中点の規則に従って点訳します。
「小林青果物仲卸・小売商店」のように並列で用いられている場合は中点を用いますが、「アット・ホーム株式会社」のように語句の切れ目に用いられていれば、その中点は省略して点訳します。そこに中点があることを知らせる必要がある場合には、中点を省略して点訳した上で、点訳挿入符で、(墨字表記では○○と○○の間に中点がある)と断るか、中点を入れて点訳して、点訳挿入符で(中点は原文通り)と断るか、いずれかの方法をとればいいと思います。
29.p101 4.中点
中点の処理について質問です。本のタイトルが『佐賀・九州の南方開拓者たち』山崎功著です。以下、5つの中点の処理はどのようにしたらよろしいでしょうか。
タイトル 佐賀・九州の南方開拓者たち
①近代日本・九州と「南洋」進出「先駆」
②南洋を切り開いた豪傑・副島八十六
③明治の豪傑・南洋探検家
④インド・アジアの現在と日本のアジア主義
見出しの項目はてびき104ページ(2)④「標題紙などで」の「などで」に当てはめるとこの場合は二マスあけでいいのでしょうか。もし、タイトル、①~④が文中に書かれていた場合はマスアケは違うのでしょうか。
【A】
タイトル「佐賀・九州の南方開拓者たち」は、九州の中の「佐賀」という位置づけではなく、「佐賀」と「九州(福岡・長崎などを含む)」の「南方開拓者たち」という意味のようですので、中点を用いると思います。
①近代日本・九州と「南洋」進出「先駆」
⇒ 近代日本と九州は並列ではなく、近代日本という時代の~という意味になると思いますし、さらに「近代日本」はマスあけを含みますので、「近代日本■■九州~」
②南洋を切り開いた豪傑・副島八十六
⇒豪傑■■副島八十六
③明治の豪傑・南洋探検家
⇒明治の豪傑であり、南洋探検家ということでしょうか?
そうであれば、中点を用いて良いと思います。
④インド・アジアの現在と日本のアジア主義
⇒これも「インドとアジアの現在と~」という意味のようですので、中点を用いて良いと思います。
見出しの項目はてびき104ページ(2)④「標題紙などで」の「などで」に当てはめるとこの場合は二マスあけでいいでしょうか。もし、タイトル、①~④が文中に書かれていた場合はマスアケは違うのでしょうか。
⇒ これについては、「文・佐々木利明」が標題紙にあれば、二マスあけと言い切れますが、本文中に「文・佐々木利明と挿絵・佐藤一郎で発行された絵本です」などのように書かれていた場合、「文」のなかの二マスあけが不自然に感じられますし、このような場合は一マスあけで十分わかるので、一マスあけにすることが多いということを含んでいます。見出しとして取り上げた場合と本文で変わる可能性もあります。
たとえば②が本文で
南洋を切り開いた豪傑・副島八十六が生まれたのは佐賀県~だった。
のようになっていれば、
⇒~豪傑■副島八十六が~
となると思います。
30.p101 4.中点
中点がある語句で、「自治体広報紙・誌の製作」はどのように書けばよいでしょうか。
【A】
中点の用法としては、複合語内部の構成要素が同格で並ぶ区切り目に用いられた中点ですので、用いることになりますが
ジチタイ■コーホーシ⑤■シノ■セイサク
となってしまいます。
広報誌も広報紙も含めての製作という意味ですから
ジチタイ■コーホーシノ■セイサク
と書き、特に「紙」と「誌」の違いを説明する必要がなければ、点訳挿入符も必要ないと思います。この違いが必要なら、原文にも書いてあると思います。
31.p103 4.中点 (2) ④
以下のような見出しにある中点は、どのように考えたらよいでしょうか。
お豆の船 小さい神さまのお話・その1
駆け比べ 小さい神さまのお話・その2
お別れの時 小さい神さまのお話・その3
見出しの後ろに序列があるように思うのですが、てびきp152 二マスあけ(1)⑤「見出しに含まれる段階・序列を含む言葉や文字と見出しの間」を用いることができるのでしょうか。
【A】
中点の部分は、二マスあけになります。
この中点は、p103 (2) ④ の「次のような場合は、中点を適切な記号やマスあけに代える」に当てはまります。ここの用例には全く同じ用法はでていませんが、中点はあらゆる場面に便利に用いられますので、適切な記号やマスあけに代えることが必要になります。そしてp152「二マスあけ」の項目では、(2)の⑤に当てはまります。
ご質問の中にある、p152 (1) ⑤は「第1章 ○○」「第2節 ○○」の、第1章、第2節の後ろを二マスあけることを指していますので、この場合には当てはまりません。
32.p103 4.中点 (2) ③
「クラシ■ノート」「ホット■ジョーホー」の例のように、墨字に1字ずつ中点が入っていても続けて書くのは、長音・促音を単独で使えないからと理解してよいでしょうか?
【A】
おっしゃる通り、長音は前の音を伸ばすことを表しますし、促音は前後の音との関係で発音されるつまる音ですので、前後の文字と切り離すのは問題があります。また点字の形も、促音は②の点一つで、前後の語と間をあけてぽつんと書かれると、何の点かも読み取りにくくなります。この場合、区切って発音するわけでもなく、文字を際立たせるなどの意図によるものと思われますので、一マスずつマスあけする方法は不適切です。
33.p103・p104 4.中点 (2)
p103「執筆者・鈴木一雄氏」の一マスあけと、p104「文・佐々木利明」《表題紙》の二マスあけ、p123「講師:阿部一氏」の二マスあけの使い分けの違いはなんでしょうか?
【A】
中点やコロンの前の語が見出し項目的な役割を果たしている場合は、二マスあけするか、棒線・小見出し符(カッコ内のコロンなど、文の途中にある場合は小見出し符を用いられませんが)などを用いるのが分かりやすく、表題紙の例も、同様の考え方で二マスあけをするのが一般的です。「執筆者・鈴木一雄氏」も同様の場面では二マスあけしますが、(2)②では文中に出てくる用例をあげています。文中にある場合は一マスあけの方がスムーズに読めることが多く、とくに「執筆者・○○ 編集者・××」のように並列される場合、中点の箇所を二マスあけると、前後のかたまりとの切れ目が分かりにくくなることもありますので、原則として一マスあけにします。
34.p103 4.中点 (2) ④
空き家バンクの物件概要にはこう記されていた。
土地面積「ー」
地目「ー」
建物の構造「ー」
建築「ー」
設備「水道・公営 排水・汲み取り 電気・東京電力 ガス・プロパン」
上記の設備の後のカッコの中のマスあけですが、この場合の中点は使わないと思いますので「スイドー■■コーエイ■■ハイスイ■■クミトリ■■デンキ■■トーキョー■デンリョク■■ガス■■プロパン」でよいでしょうか。
【A】
すべて二マスあけになると前後の関係が分かりにくくなりますので、中点の代わりに棒線を用い、各項目の区切りに読点を補うなどの工夫が必要になると思います。 「スイドー■--■コーエイ、■ハイスイ■--■クミトリ、■デンキ■ーー■トーキョー■デンリョク、■ガス■--■プロパン」
少し長くなりますが、各項目は分かりやすくなると思います。