第4章 記号類の使い方(3)

その3 線類

1.p113 1.棒線・点線

補足説明と思われる棒線の前後のマスあけについて、カギで囲まれた会話文の間にあります。

「もうお分かりでしょう」―彼女の言葉には、不安にさせるものがあった―「わたしの関心は精神的な面なのです。(以下略)」

この文の後は改行して次の段落が始まります。
カギと棒線の間、棒線とカギの間は記号間の優先順位から両方とも一マスあけでよいでしょうか?

【A】

前後を棒線で囲んで、カッコ類と同じように、前の語句の説明をしています。この場合は、一つの文の中に含まれていると見なして、棒線の両側は一マスあけます。
「もうお分かりでしょう」■―■彼女の言葉には、不安にさせるものがあった■―■「わたしの関心は精神的な面なのです。

2.p113 1.棒線・点線

水木しげる 1922生-2015没
この場合の棒線は波線にするべきでしょうか。棒線を使うと意味が変わりますか。
写真の説明 = 筆者撮影の場合は、棒線にしてもよいでしょうか。

【A】

生没年の場合は、波線を用います。
「1922生-2015没」 数1922■ウマレ③⑥③⑥数2015■ボツ
「てびき」p114 「3.波線」の用例「東京-大阪」に波線を用いています。このことからも、範囲を表す場合は、棒線を波線に代えて点訳します。
写真の説明が終わって、その後ろに「=筆者撮影」と書いてある場合でしょうか。
棒線を用いても間違いではないと思いますが、文脈によって、二マスあけにする場合もあると思います。
棒線やイコールは墨字では種々の場面で用いられます。殆どの場合は、棒線をそのまま用いられますが、文脈にあった点訳をすることが必要になります。

3.p113 1.棒線・点線

一つの文に二つの棒線が使用されており、棒線と棒線の間の文がその前の文の説明であるときは、棒線の前後が一マスあけになるのは理解しています。しかし、一つの文に一つの棒線が使われており、その棒線の前で文章が終わっているとも考えられる場合は、「てびき」p152の「③句読点を用いない文での切れ目」から、棒線の前後で二マスあけになるでしょうか。下記に例を示します。
1.博物館に陳列されていても不思議では無い精巧さで、完成度の差は大人と子供 ― 自分ではなかなかの腕だと思っていたマチルダは、すっかり鼻をへし折られてしまった。
2.日が高く昇った頃に、通りの向かいに住むヴェンゴス老人を起こしに行く ― しかし建物の正面玄関のカギはかかっている上に、呼び鈴を押しても応答はない。

このように、一つの文章が二つの文とも解釈できますが迷います。

【A】

1.2.の例は、共に棒線の前後は一マスあけになります。
棒線の前後が二マスあけになるかどうかの判断が必要になるのは、棒線が他の記号類と続いている時になります。
すなわち、疑問符、感嘆符、カギ類、カッコ類などに続いて棒線がある場合です。
前後に記号類がない場合は、「てびき」p113 1.(2)にあるように、棒線の前後ろは一マスあけになります。

4.p113 1.棒線・点線

新聞の記事です。
視覚障害がある山崎克枝さん(53)=京都府八幡市=は岡山県倉敷市に住んでいた~。
この文章中の=はどのように点訳したらよいですか?
棒線で点訳をしようと思いますが、二つある = をどちらも棒線に置き換えてよいですか。「京都府八幡市」の前後に棒線があると、棒線で囲むことになり、棒線の役割として疑問が残ります。どのように点訳をしたらよいですか。

【A】

墨字の棒線には、補助的説明の語句を文中に挟んで、カッコと同じような役割を持たせる場合があります。ご質問の文はそのような使い方になっています。
ご質問の場合は、第1カッコで囲んで良いと思います。
年齢のカッコと続くので、一マスあけにします。
山崎■克枝■さん(53)■(京都府■八幡市)は■岡山県倉敷市に~

このような墨字の記号の用法については、「区切り符号のつかひ方」が参考になります。「てびき3版 指導者ハンドブック第4章編」の巻末にありますので、ご覧ください。「(4)ナカセン」が棒線に当たります。その七、の用法です。
墨字記号の説明ですので、それを点字にどう置き換えるかを点字記号の用法に従って判断することになります。

5.p113 1.棒線・点線

『アイヌからみた北海道一五〇年』という本の引用文献の書き方についてです。
新井かおり、二〇〇五年、「台湾原住民族が‥‥」
―――――、二〇一〇年、「自己を省察するための…」
―――――、二〇一四年、「戦後のナラティブ・ターン…」
引用文献が列挙されていて、同じ著者の記事が続く場合、行頭の著者名に棒線が使われています。それぞれの文献は著者名、掲載年、記事名、雑誌名、出版社、引用頁があり、かなり長いです。
分かりやすさを考えて、それぞれの文献ごとに、著者名を書いてもよいでしょうか。
それとも、原本通り3マス目から②⑤②⑤の棒線を使用したほうがよいでしょうか。

【A】

前の著者と同じ場合に、省略して棒線が書かれていますが、点訳する場合は、ここに著者名を入れます。
視覚的には棒線で略されていても前の箇所を容易に確認できますが、点字では触読しているところから指を離して前の記載を参照するのは負担になる場合もありますので、棒線に当たる部分を省略せずに書きます。

【新規】p113 1.棒線・点線

文を棒線で括っている時の点訳方法を教えて下さい。
原本で
移民や冒険者に対する根強い偏見があるらしいデニスは、そうなるに至った大きな事件―冒険者だった父親の死に関する―があったという。
とあります。この時の棒線を点訳者は、原文通りに②⑤②⑤の棒線で点訳しています。原文通りで間違いとは思いませんが棒線で括った文が前の説明と考えて(~)に置き換えても良いですか。校正の範囲外のことですが確認したいと思いました。

【A】

この棒線の用法は確かに説明のカッコと同じですが、墨字の棒線にももともとそのような用法があります。
「点訳のてびき第3版指導者ハンドブック第4章編」の巻末にある「くぎり符号の使ひ方」の「(4)ナカセン」に《七、補助的説明の語句を文中にはさんでカッコでかこむよりも地の文に近く取り扱ひたい場合に用ひる》とあります。
ここから、これは棒線の用法の一つとして、墨字に対応して用いてよい棒線になります。
ですから、原本で使用している棒線をカッコに換えるように校正するのは、行き過ぎになると思います。

6.p113 1.棒線・点線 【備考】

原本の中に挿入文があり、数行書かれた後に1行、行の4分の1程に点線が書かれて有ります。
次行に挿入文の続きがありますが、それは、確認した所、前の文の続きではありませんので、この点線は、中略を意味していると思います。
この場合の点線の書き方は、2の点三つでよいのか、または、二マス単位で長さを増すのか、その場合はどれぐらいなのか、または、点線の後点訳挿入符で中略と書くのか、どの方法がよいでしょうか。

【A】

原文にそって、行頭3マス目から、②の点を3個書き、行替えして、次の文を書いてよいと思います。
②の点が3個あれば点線と分かりますので、原文の内容は伝わると思います。
「てびき」p113【備考】から、②の点を5個にすることもできますが、特殊な書き方で、現在はほとんど行われていない処理なので、あまりお勧めしません。

7.p113 1.棒線・点線 【処理1】

「=」(イコール)は、棒線に置き換えるか、文脈によっては「イコール」と書くとなっています。用例をみると、どちらでもいい、ということなのかなとも思いますが、点訳者の「感性」でしょうか?
以下の場合、どちらがいいと、何か理由付けができるでしょうか?
①赤ちゃんは「いつもの人=パパやママ」のことを「自分にとって大切な人」と認識する
②赤ちゃんに後追いをさせないというのは、保育=保護・養育を、そこで一度やめてしまうこと
③治療は、がんばる=耐える、という意味合いが大きく…

【A】

ここの【処理1】は、「棒線に置き換えるか、《文脈によっては》~」ですので、まずは、棒線に置き換える。それで不都合がある場合に「イコール」と仮名で書くということになります。
その「不都合」が何かといえば
① 原文に、「=」と棒線が混在して使用してあり、すぐ近くの棒線と「=」の区別が付きにくいなどの記号処理上の不具合がある場合
② 会話文や、話し言葉の中で「=」が使われていて、発音して不自然に感じるという表現上の不都合がある場合(「イコール」と発音した方が文脈上自然な場合)が考えられます。
例えば、
① この法則 -- 感情の放出=涙 -- が、適用されるのは~
のような場合や、文中注記符の付いた語と説明の間を棒線でつないだ直後に「=」がある場合などが考えられます。
② 「頑張る=耐えるとは言いきれないよね」と話した。
のように会話の中に出てくる場合は、「イコール」と書いた方が自然です。
挙げられた例は、「イコール」と書いても間違いとは言えませんが、上に書いたような「どうしても」の場合ではないように思いますので、棒線で書いてよいと思います。

8.p113 1.棒線・点線 【処理1】

「女性たちも働くこと(=良いこと)」
この点訳をするとき、カッコ内の=は省略してもよいでしょうか。
昔の資料に「語の後ろに続けるカッコは、前の語の説明なので、カッコ内のイコールは省略してよい」とあった、という話をききました。

【A】

省略しなければならないということではありませんが、カッコが前の語の説明である場合は、多くの場合省略しても構いません。
前の語の説明(言い換え)と、イコール(すなわち)と同じ意味合いであり、記号を二つ重ねて書く紛らわしさを省く意味で、お勧めしています。
ただ、ご質問の文の場合、前の語だけでなく、「女性たちも働くこと」が「イコール よいこと」と言っていますので、「=」を仮名で「イコール」と書く方が分かりやすいかもしれません。文脈で判断してください。

9.p113 1.棒線・点線 【処理2】

点線の後ろに促音が単独で書かれている場合「点線」とことわっていますが、棒線の場合も同じ処理にするのでしょうか?

【A】

棒線も基本的に同じと考えてください。

10.p113 1.棒線・点線 【処理2】

点線についてしか書かれていませんが、棒線も同様でしょうか。[参考]でも、棒線が加わっています。
実際このような墨字の表現は増えていますが、
「なにしてるんですか、面会時間は……っ、きゃあっ、犬!?」
といった文章では「……っ」の部分に間と驚きが表されていると思うので、「面会時間はっ……」にすることはできないかと。文章によっては、原本通りでいいでしょうか?

【A】

確かに微妙な感じがしますが、点線のあとに促音符だけを書くことはできませんので、この場合、促音符を省略しても、「きゃあっ」で雰囲気が伝わると思いますから、前の促音符は省略してもよいと思います。

11.p113 1.棒線・点線 【処理2】

原文が
そ・・・うか
そ・・・うかな
と書いてある場合、どのように点訳すればよいでしょうか。

【A】

長音符は語頭に書くことはできませんので、原文の通りに、「ソ■・・・■ーカ」と書くことはできません。
この場合、原文の表現とは少し異なりますが、「ソー■・・・■カ」「ソー■・・・カナ」と書くのがよいと思います。「そ」と言い始めてからあいだに、余韻、間(ま)があることが伝わるのではないかと思います。
【処理2】の促音符の例と同じような考え方になります。

12.p114 1.棒線・点線 【処理2】[参考]

点線や棒線の後ろに促音が単独で続く場合について、第4版に準拠するとどのようになりますか。
①「・・・っ」→「・・・■っ」
②「―っ!?」→「――■っ!?」
③「っ」→「っ」
④「・・・っ―」→「・・・■っ■――」 棒線は入れる
⑤「・・・っー」→「・・・■っ」 長音は入れない
⑥「・・・って」→「・・・■って」
「っ・・・」「っ――」と 促音を省略した「・・・」「――」とでは、ニュアンスが違うと思います。確かに発音を書くことは難しいですが、促音を省略して点線・棒線のみにしてしまうと、「言葉に詰まっている様子」「微かな舌打ち」「一瞬の間があって沈黙」などのニュアンスが伝わらなくなってしまうと思います。
点訳者の判断で「っ■・・・」「っ■――」と点訳できないでしょうか。

【A】

ここは、「てびき」編集委員会でずいぶん検討したところです。そして、促音符だけを書くことは、表記上書くことができないだけでなく、触読で促音として読み取れないという委員の意見が強く、現在の参考(p114)の表現になりました。ですから、補う場合は点訳挿入符で補ってください。
4版に準拠すれば、①~⑤は促音符を用いないで書きます。⑥は、上の書き方の通りです。

13.p114 1.棒線・点線 「参考」

促音符についての質問です。文脈や発音を考慮して、位置を変更したり、省略したりすることがありますが、「促音」「長音」の順に点訳は可能ですか。
(例)ダイダイダイダイダイダイダイッ~キライ!
(例)ちっ~とも可愛くない

【A】

促音符、長音符の順では発音することが難しいですので、長音符と促音符の順序を入れ替えた方がよいと思います。
p114の「参考」に、発音や点字としての読み取りやすさを考えて書くとありますが、ご質問の場合もこれに当てはまると思います。

14.p114 2.矢印

矢印の前のマスあけについて質問します。
少年科学もので、句点を使わない説明文があります。
植物は雨や曇りの日は、あまり蒸散しない →
この「シナイ」と → の間は、二マスあけでしょうか。
「てびき」p152 6.(2)③の句読点を用いない文での文の切れ目になるでしょうか。読点はあります。

【A】

シナイ と → の間は、一マスあけになります。
矢印の前後は、一マスあけです。
ただ、例外は、これらの記号の前に句点がある場合とカギ類の閉じ記号で、句点を省略した(p132 「参考」)場合で、記号間の優先順位に関するところです。
矢印の前に、記号が無い場合は、文の終わりかどうかを考える必要はなく、一マスあけになります。

15.p114 2.矢印類

子供用の本です。色々な職業に就くための進路が図になっています。
実線の矢印と点線の矢印が出てきます。
点線の矢印はどう打てばよいでしょうか。

【A】

実際の図がないので分からないのですが、実線の矢印と点線の矢印を言葉に代える、または矢印をそのまま用いないで、番号を付けるなどの工夫をするとよいと思います。
たとえば、
申請書提出 → 1次選抜 → 2次選抜 → 面接 → 合否通知
などのように、矢印で繋がっているとき、点訳挿入符で、数字の番号順に進むことを断って、
1.申請書提出
2.1次選抜
3.2次選抜
4.面接
5.合否通知
などのように書くと、矢印を用いるより順序が分かりやすい場合もあります。
または、実線矢印も点線矢印も同じ矢印を用いても前後の文脈で分かる場合もあると思います。
実線の矢印に対して、通常と異なる変則的な流れが点線矢印で示されているような場合は、その流れ全体をカッコに囲んで書くなどの処理も考えられると思います。

16.p114 2.矢印類

流れを示す矢印(→)の付け方について質問します。
以前回答をいただいたことなのですが、矢印が流れを示す場合には、矢印から行替えして書くようにとのことでした。つまり、下記のようにするようにと。
■■外部のできごとが精神状態に影響する
■■→■気分が落ち込み希望を失う
■■→■思い込み■棒線■「しかたがない。■■どうにもならない」
■■→■引きこもりたくなる■■活動しなくなる
■■→■何も変わらない
■■点挿ハジメノ■ジョータイニ■モドリ、■クリカエス点挿
このように点訳したのですが、会の中で、→ は後ろの方がよいという意見があり、意見が分かれました。どのように考えればよいでしょうか。

【A】

矢印は、その先の語や文に繋がるわけですから、矢印とその先の語や文とは行を替えない方が分かりやすいのは、墨字でも同じです。
例えば、「てびき3版Q&A」Q98や、「Q&A第2集」Q102などは墨字の例ですが、次行行頭に矢印があった方が分かりやすいことがわかっていただけると思います。触読でも同じことが言えます。

17.p114 3.波線

波線(範囲記号)の使い方について、「てびき」には、数量・時間・場所などの範囲を表すとあります。例えば個人の時期の経過を表すことはできるでしょうか。

(原文)
私が舞台で人を沸かせることを初めて体験したのは、チャップリンズというコント・コンビをやっていたときのことでね。一旦、整理して書いておくと、小豆島~三木のり平師匠~神様・高倉健さん~東映~商業演劇~カジノ~坂本九さん~チャップリンズ~コント・レオナルド、ってなるわけだけどさ。

この「~」を波線(範囲記号)を使うことはできるでしょうか。あるいは何の記号を使うのが適切でしょうか。

【A】

このような場合も、時間的な範囲を表していますので、波線を用いることができます。
ですが、マスあけを含む語の間に波線が8箇所も続くと読みにくくなります。ここは時間的に一方向の流れを示していますので、「~」の部分を右向き矢印で点訳するとすっきりすると思います。

18.p114 3.波線

東京・大阪間  東京ーー大阪間  東京~大阪間 それぞれ中点 棒線 波線と使い分けるのでしょうか。全て波線(③⑥③⑥)に統一するのは間違いでしょうか。

【A】

中点は、二つの語の並列に用いますので、「東京・大阪間」は,中点を波線に代えます。また、「てびき」p114の「波線」の用例に「東京--大阪」を波線で点訳する例が載っています。
ですから、東京・大阪間、東京ーー大阪間、東京~大阪間はすべて波線で点訳するのが適切な点訳方法となります。

19.p114 3.波線

以下の例は、波線を使うことができますか。「カラ」などに置き換えたほうがよいでしょうか。
①紀元前1600~同1028年に (紀元前1600年から紀元前1028年の意)
②第1号、1973年~第529号、2022年
(1973年出版の第1号から2022年出版の第529号までの意)

【A】

波線は範囲の前と後ろがあればつなぐことができますので、前後の項目にマスあけが含まれても波線を使用することはできます。
① キゲンゼン■1600③⑥③⑥ドー■1028ネンと点訳して問題ありません。
②の場合も 第1号、■1973年③⑥③⑥第529号、■2022年と書いてもよいと思いますが、前後の項目に読点があって、誤読の恐れがある場合は、「カラ」としてもよいと思います。

20.p115 3.波線 【処理1】

テレビ番組の案内で、
「毎週木曜12:00~(2話連続、21日は3話連続、全7話、再放送あり)」
とあります。
12:00~の後ろのカッコが続くかひとますあけるかで意見が分かれてしまいました。
どのように点訳したらよろしいでしょうか。

【A】

波線の後ろ一マスあけて、カッコの開き記号を書きます。
波線の後ろとカッコを続けると範囲の終わりがないことが分かりにくいですし、カッコの閉じ記号ではないかと誤読される恐れもありますので、一マスあけて書きます。
また、「てびき」p115【処理1】に、「波線の後ろにそれを受ける語がなく、助詞・助動詞などが続く」ときのルールがありますが、この場合と同じように、波線を「カラ」に変えて、本来続ける説明のカッコを前に続ける書き方もあります。
12:00カラ(数2ワ■レンゾク、~

21.p115 3.波線 【処理2】

原本で、
「~歳からの哲学入門」と聞けば、小学生なら「7歳から」とか、中学生なら・・・
とあります。
この場合第1カギに波線が続くことになります。波線を伏せ字に変えて点訳することはできますか?もしくは点線か棒線に変えるほうがいいのでしょうか?

【A】

この場合の波線は、点字で用いる波線の用法ではありませんので、何かほかの記号類に置き換えることになります。
棒線や点線でもいいのですが、「×歳から」「○歳から」などと伏せ字に置き換えるのが自然ではないかと思います。

22.p115 3.波線 【処理2】

線類の使い方についてお尋ねします。
「もう一度ご説明します。まずは~」という文があります。この場合の「~」は棒線でも点線でもどちらでもよいのでしょうか。
「てびき」には適切な記号に置き換えるとありますが、棒線と点線に意味の違いはあるのでしょうか。
また、「あ、はあ・・・。」といった文もあります。この点線と区別して棒線の方がよいということはありますか。

【A】

棒線と点線は、「てびき」では、その区別を特に規定せず、墨字の棒線・点線にほぼ対応させるとしています。
墨字での棒線、点線の機能は、各新聞社の用語のてびきによると
棒線(ダッシュ)(--で書きます)
① 文中・文末で間を持たせるため
例:1783年--ゴヤ37歳のときだった。
例:真実はどこにあるのだろうか--
② 箇条書きをまとめるとき
例:応募条件は①18歳以上②既婚--など複数ある。
③ インタビューの問いの行頭
例:--今年の目標は?
「もちろん優勝です」
④ 区間・組み合わせ
例:東京-大阪間  巨人-阪神戦
⑤ 挿入
例:藤田さんはそのあいだを--都市と自然の境目を--描いています。
⑥ 引用句を受ける
例:〈苦しいときほど人間が最も人間らしくなるときはない〉--作家・山本周五郎はエッセー「人生の冬自然の冬」でそう書いている。
点線 (リーダー)
① 言葉の省略や無言を表す
例:お年寄りが「喉が痛くて・・・」と言葉をつまらすと
例:「どうした?」「・・・」
となっていますので、墨字の記号を点字に置き換えるときの参考になると思います。
ここから考えると
「もう一度ご説明します。まずは~」
は、言葉の省略ですので、点線が適していると思います。

ただ、点字では墨字に比べて記号の数が少なく、また、レイアウトにも制限がありますので、現実には、あまり厳密に使い分けができない事情もあります。
例えば、墨字のコロンや短いダッシュの代わりに、二マスあけや棒線のほか点線を用いたりする場合もありますし、点字の棒線は、イコールの代わりに用いられることもあり、多用されがちですので、棒線では区別が分かりにくいときに点線を用いたりします。このように、墨字の機能に注意しつつも、点字の特性を考慮して、棒線・点線を適宜使用することになります。