第5章 書き方の形式

その1 本文の書き方

1.p147 1.行替え・行移し

年少向けの絵本の点訳について、原本に
「そうか!
げんかんから
はいれば いいんだ」
ブル くんは、
いそいで いえの なかへ
はいっていきました。

このように、1文が6行にわたって書かれている場合、点訳も原文通りに6行にするべきでしょうか。その場合、2行目からは行頭一マス目から書いていいでしょうか。

【A】

絵本の場合は、原本では絵とのバランスなどで、1文でも短く行を替えて書いてあったりしますが、点字では、できるだけ自然な行移し、行替えを行います。
その場合、原本の絵本と行の配置が異なっても、特に断る必要はありません。

■■「ソーカ!■■ゲンカンカラ■ハイレバ■イインダ」
■■プル■クンワ、■イソイデ■イエノ■ナカエ■ハイッテ■
イキマシタ。

となります。

2.p147 1.行替え・行移し

行替え、行移しについてご教示お願いします。
今、校正中の本の中で登場人物の一人の心の内を(~)を使って書かれている本があります。
原本では(~)の書き出し位置は行頭です。点訳者は原本に忠実に点訳を行頭から点訳しています。「と」などの助詞が来た時には行頭からの点訳ができると「てびき」に書かれていますが(~)の文章も同じように扱ってよいのでしょうか。又、「てびき」には「原文の意図や目的によって特に必要な場合は、行替えして一マス目から書くことが出来る」と書かれています。これはどのような場合なのでしょうか?
今回の本はこのようにかかれています。

大きな声であいさつされる。
(チョイス?)
上野先生は、顔をしかめる。
(ああいうあいさつはいらないね)
上野先生は腹のなかで考える。
(なんにも中味がない。ただ形だけのあい
さつをして満足している)
上野先生は、こわれかかったベンチに腰
をおろして、ぼんやりグランドを見つめて
いた。

【A】

ご質問の原文では、(~)の部分は、行替えして3マス目から書きます。
「原文の意図や目的によって特に必要な場合は、行替えして一マス目から書くことができる」に該当する例はほとんど思い当たりませんが、たとえば、戯曲の台本等で、話者の始まり位置が分かりやすい様に、一マス目から書き始める場合などもあり、「絶対にない」とは言い切れないので、書き添えたところです。

3.p147 1.行替え・行移し

文学書ですが、原本の会話文の挿入形式が以下の3種類あります。
(1)文が行の途中で終わって、次の行頭から会話文が始まる
(2)文の途中に会話文が続けて挿入されている
(3)文章が行末まであり、次の行の行頭から会話文が始まっている

(3)の場合、点訳して文章が途中で終わった時は、会話文は行替えするべきでしょうか、続けるべきでしょうか。原本で、会話文の挿入形式が定まっていないので、どちらを選ぶべきか迷っています。
なお、(1)も(3)も行頭のカギの位置は同じです。

【A】

会話文のカギカッコが原本の行頭から始まっている場合は、原本のカギカッコの位置で判断することになります。
(1)は、文が行の途中で終わって、行替えして第1カギを書くことになりますから、第1カギは3マス目から書きます。
(2)は、文の途中(行の途中)に会話文があるので、前をマスあけして、第1カギを書きます。
(3)は、前の行末の句点で、段落が変わるところであれば、次行3マス目から第1カギを書きますが、まだ同じ段落が続いている場合も考えられますので、原文のカギカッコの位置で判断します。
ご質問の原本では(1)と(3)のカギカッコの位置が同じと言うことですので、行頭3マス目から第1カギを書くのがよいと思います。
なお、「てびき第3版指導者ハンドブック第5章編」p2~p4に原文のカギの位置と行替え・行移しの説明がありますので、用例4を参考にしてください

4.p148 1.行替え・行移し【処理3】

原文中に▽をはさんで、箇条書きのように句点のない文章が三つ、併記してあります。1文めが前文の行移しで書いてあるので、▽を句点と改行で書くと、内容的に整いにくい印象です。▽を句点に換えるのみで、改行しないことはできるのでしょうか。/を二マスに換えるとすることはQ&AのQ118に書かれてあります。

【A】

▽を句点に代えて、行替えしないで書くこともできます。
墨字で用いられていて、直接に対応する点字の記号がない ▽ / ▲ などは、原文でどのように使用されているかを判断して、適切な記号やマスあけに代えるなどして書くことになります。
ですので、▽があったら、必ず句点と改行をセットで用いなければならないというわけではありません。

5.p148 1.行替え・行移し 【処理3】

次の文の▽はどの様に点訳するのがよいのでしょうか。

税の流れを追うといろんなことが見えてきた。兵器ローンの返済が膨らみ、予算が足らなくて補正予算でこっそり補填している▽米国製兵器をいったん買うと、廃棄処分するまでの維持整備費が何兆円とかかる▽・・・▽NSSが米国からの兵器調達を主導し、攻撃型兵器の導入が急速に進んでいる--などだ。

これは、「兵器ローンの~などだ。」までを一つの文と考えて、▽を二マスあけにすればよいですか。それとも▽を句点にしてもよいのでしょうか。

【A】

「兵器ローンの~などだ。」までが一つの文になっていますので、もっともシンプルな処理としては、▽の部分を二マスあけにすることになります。
それでもよいと思いますが、▽と▽の間がそれぞれ文になっていて、しかも中に読点もあるので、二マスあけにしても分かりにくいとも考えられます。
また、二マスあけの部分が行末にきて行移しになると二マスあけか一マスあけかの区別が付きません。
▽は、点字の記号にはありませんので、マスあけのほか、点字の記号に置き換えるという工夫もあります。この場合、それぞれの文をカギ類(第1カギ、または第2カギ)で囲むと分かりやすいと思います。

「兵器ローンの返済が膨らみ、予算が足らなくて補正予算でこっそり補填している」■「米国製兵器をいったん買うと、廃棄処分するまでの維持整備費が何兆円とかかる」■・・・■「NSSが米国からの兵器調達を主導し、攻撃型兵器の導入が急速に進んでいる」■--■などだ。

6.p148 2.行末の扱い 【備考】

「てびき」p148 2.行末の扱い 【備考】にしたがって、数字付き文中注記符から行移しをしました。そのページの一番下の行の行末で、ちょうど単語が終わり、次ページの行頭に数字付きの文中注記符だけが移ります。
用語解説で言葉を説明するときに、点字のページをいれる場合、
⑤⑥数1②③■○○○○(2ページ)と、前のページだけを入れるか、(2~3ページ)とするか、どちらでしょうか

【A】

この点については、規則はありませんので、分かりやすい方で書くことになると思います。ご質問の場合、用語解説に、記号だけでなく記号の付いた語も入るので、(2ページ)だけでもよいと思います。
ただ、このような文中注記符の付け方は、できれば、避けた方がよいのではないでしょうか?
「てびき」p148 2.【備考】は「行末があきすぎる場合などに~できる」であって、2.の本則やp149【処理】もあわせて判断することが必要です。
前のページの最下行が、たとえば行の半分くらいあいても、文中注記符だけを次ページに移動するよりも読みやすいと思います。

7.p148 2.行末の扱い 【備考】

Q&Aコーナーの質問で、文中注記符のみが次ページになるのはお勧めできないとありました。ページが変わらず次行についても やはり同じと考えてよろしいでしょうか。自動改行に任せた方が良いでしょうか。

【A】

数字付きの文中注記符の前で行移しできるようになったのは、「てびき4版」からで、それ以前はできませんでした。
これが可能になったのは、一つの語に複数の文中注記符が付くことも多くあり、行の半分以上もあいてしまう場合があるからです。
ですから、文中注記符の前で行移しをするのは一つの語に複数の文中注記符が付いて、極端に行末があいてしまう場合などに限った方がよいと思います。
次ページに移るのは、さらに避けた方がよいと思います。

8.p148 2.行末の扱い 【備考】

行末の扱いに関する質問です。
例えば「200~400メートルの」の場合、7マスあれば「200~」まで入りますが、この程度で行移ししますか?
また「の」が入らないと14マスあきます。「行末があきすぎる場合」とは具体的に何マスぐらいでしょうか。

【A】

「行末があきすぎる場合」は具体的に示していませんので、各施設・団体で決めていただいていいのですが、「てびき」や「ハンドブック」「Q&A」の点字版では、およそ10マス程度あく場合、「てびき」p148【備考】(1)(2)のところで、行移しを行っていますので目安となるかもしれません。
ただ、機械的に考えずに、たとえば、行末7マスでも「200~」までその行に入れれば、1行少なくなって、見出し行がうまく入るなどがあれば、全体を見て柔軟に対応してよいと思います。

9.p148 2.行末の扱い 【備考】

以前は、行頭に助詞「ワ」が来るとわかりにくいのでよくないとのことでしたが、今はどのような決まりがありますか?
例えば、外国語引用符の後に助詞「ワ」が続いたとき、「ワ」だけが次の行の行頭に移ってもよいでしょうか?

【A】

第3版までは、「てびき」p148【備考】の、行末があきすぎる場合に行移しができる箇所に、助詞も含めていましたので、「ワ」だけが行頭に来ることは避けるという注意がありましたが、第4版では行移しできる条件から助詞を省いていますので、この文言はなくなりました。
このように便宜的な行移し以外の、分かち書きや記号の前後のマスあけの規則に従って点訳した箇所では、「ワ」だけが次の行の行頭になっても、規則に準じて書きます。
外国語引用符を閉じた後、「ワ」だけが次の行の一マス目に来てもかまいません。

10.p148 2.行末の扱い 【備考】

1500_オクユーロカラで1500_まで前行に入る場合、「てびき」の行末の扱いで「長い数字に続く長い単位の前」とありますが、どこまでを長いと判断すればよいでしょうか。ちなみに前行は12マスあいています。

【A】

「てびき」では行末があきすぎる場合、行移しできる箇所を、p148【備考】に示していますが、お勧めしているのは、(1)(2)と、(4)のISBNなどです。
ご質問の場合、「オク」は単位ではありませんし、「ユーロ」は長い単位とは言えませんので、途中で行移ししないで、すべてを次行に移した方がよいと思います。
どこから長い単位と言えるのかは、示すことができませんが、たとえば「平方センチメートル」「マイクロシーベルト」などカナで書く単位は10マス以上になる場合もありますので、そのために前の行が半分以上もあくような場合は、単位の前で行移しすることもやむを得ないかもしれません。

11.p149 3.行あけ 【処理】

原本に、1行あけの箇所と、米印(※)3個付いた行あけがある場合、どのように処理したら良いでしょうか。因みに※印行あけの後の文は、場面が変わっていますが両方とも一行あけでよろしいでしょうか?

【A】

1行あけの所も、※が3個付いた行あけも、点訳ではともに1行あけで構いません。
1行あくことによって、読み手が場面転換や、時間の流れなど、判断できますので、※が付いているかどうかによって特に区別する必要はありません。
※の行で本文が終わるなど、行あけとは異なる意味がある場合は、区切り線を用いてページ替えをしたり、仕切りのための線を用いたりする場合もあるかもしれません。

12.p149 3.行あけ

行あけについて質問します。
分冊した箇所が原本で1行あけになっています。前の巻の最終行を1行あけるのか、次巻の1行目をあけるのか、どちらでしょうか。

【A】

前の巻の最終行の後も、次巻の1行目も、あけてもその意図は通じにくいと思います。
巻を代えたことで、流れの中断や場面の切り替えなどにつながっていますので、この1行あけに関しては無視せざるを得ないと思います。

13.p149 4.挿入文の書き方

挿入文の前後の行あけについてお尋ねします。 原本に1行あけがあれば、迷わず次ページ1行目でも行あけを残していますが、原本には挿入文の前後に行あけがなくて、点訳では、挿入文の終わりを区別するために1行あけたときに、その1行あけが次ページの1行目に来た場合は、もともと原本にはない行あけなので、行あけを省略してもいいでしょうか。 それとも、行あけは1行目でも残すほうがよいのでしょうか。

【A】

挿入文の終わりを区別するために1行あけたのですから、次ページの1行目に来た場合も、行あけをしないと区別がつかないのではないでしょうか。 次ページの1行目にきても、行あけします。

14.p149 4.挿入文の書き方 【処理】

挿入文全体を二マス下げて書くと、前後の本文と区別がしにくい場合や点訳上不都合が生じる場合は、原文と異なっても前や後ろを行あけするなどの工夫をして書くことができる、とありますが、具体的にどのような場合に不都合が生じるのでしょうか?

【A】

例1では、原文通りに挿入文を二マス下げて書いていますが、挿入段落の最後の行と、本文に戻った最初の行(「イイカゲンニ」以下)がどちらも3マス目で書き出し位置が揃うために、挿入文の終わりと本文の始まりの区別が分かりにくくなります。そのため、原文で挿入文前後に行あけはありませんが、点訳では挿入文の後を行あけしています。
このほか、挿入文が長く、点字で何ページにも及ぶ場合は、ページ数がかさみますし、そのページ全体が下がっていると下げたことが分かりにくくなり、あまり効果がないこともありますので、このような場合は原文と異なっても挿入文を下げずに、前後の行あけだけにする場合もあります。

15.p149 4.挿入文の書き方

他から引用された文の書き方についてお尋ねします。
(1) 他から引用された文ではなく、また本文の流れと異なる文という判断もつかないのですが、つまり挿入文と言えるのかわからないのですが、原文で文全体が下げて書かれている場合は原文通り全てインデント機能を使って、二マス下げて書いてよいのでしょうか。
(2) 文全体が下げて書かれている箇所が長く、点字で8ページ位あります。そういう時は二マス下げて書くことはしないで前後1行あけでよいと聞いたのですが、行あけでよい目安はありますか。
(3) 長い字下がりの文の後、その中の文が2~3行位取り出されてまた字下がりで書かれています。それが何箇所かあります。最初の長文を二マス下げではなく行あけで書いた場合、それに合わせてその後の文も二マス下げは使わない方がよいでしょうか。それともその部分だけでも原本通り下げて書くべきなのでしょうか。
又は長い字下がりの文でも、このような形式であるなら行あけではなく、二マス下げて書いた方がよいのでしょうか。

【A】

(1) 原文で全体に下げて書いてある場合は、何らかの著者の意図があると思われますので、挿入文と同じ扱いにした方がよいと思います。
(2) 点字で1ページすべて二マス下げて書いてあれば、下げて書いた効果はありません。前後1行あけた方がよいと思います。
(3) 厳密なルールがあるわけではありませんが、引用文や挿入文の書き方は、そのタイトルで統一した方が迷いなく読むことができると思いますので、統一した方がよいと思います。

16.p149 4.挿入文の書き方

地の文より下がって書かれている文です。
①興味が起こらない、おもしろくない。
(例)この小説はつまらない。
つまらない映画で、眠くなった。
3行目は、文頭も下げて、前の文に揃えてあります。
この段落の前後は一行あけてありますので、①興味が~ は3マス目から書くとすると、2、3行目はどのように書いたらいいでしょうか。

【A】

3行は、1行目が「つまらない」の語義、2行目と3行目はその用例のようです。
墨字では、視覚的なレイアウトで書かれていますが、点訳では上記のことが分かるように書きます。書き方の例としては、
■■(1)■キョーミガ■オコラナイ
■■(レイ)
■■コノ■ショーセツワ■ツマラナイ。
■■ツマラナイ■エイガデ
または、
■■(1)■キョーミガ■オコラナイ
■■(レイ)■コノ■ショーセツワ■ツマラナイ。■■ツマラナイ■
エイガデ、■ネムク■ナッタ。
などが考えられます。(例)は用例であることが分かっていますので、下の書き方でも十分に文意は通じると思います。

17.p149 4.挿入文の書き方

インデントの使い方がよくわかりません。
本文中で明らかに文体が下がっているところに、インデントをつけると理解していましたが、それが、1行の場合でも付けるのか?インデントをつける、明確な目安を教えてください。

【A】

インデントは、「てびき」の規則で定めるものではなく、点字編集システム(BES・BESX)の便利な機能のひとつです。
引用文などで全体に行頭を下げて点訳するときにインデントを用いると、自動的に文字を下げるので、毎行改行マークを入れる必要がなく、校正などで、行移しの位置がずれてもレイアウトが崩れることがないという便利さがあります。

まず、引用文をどのように点訳するかを先に検討し、引用文全体を二マス下げて点訳すると決定したときに、インデントを用いることになります。

点訳して点字で1行だけの場合は、インデントの便利さはないと思いますし、二マス下げたこと自体が不明確だと思いますので、前後1行あけるなどの処理が必要になってくるかもしれません。
原文で引用文全体が下げて書いてあっても、前後1行あけで処理する場合もありますので、その処理方法によって、インデントを使用するかどうかが決まってきます。
点訳フォーラムのこの前にも他から引用された文の書き方に関連した質問がありますので参考になさってください。

18.p149 挿入文の書き方

挿入文がいくつかあり、行頭二マスインデント処理をし、挿入文の前後は1行あけにしようと思います。ですがなかに見出しのすぐ後に挿入文という章があります。その場合も挿入文の前(つまり見出しの次の行)を1行あけにしてもいいのでしょうか。

【A】

見出しの次の行は、行あけしないルールになっていますので、見出しの直後に行頭二マス下げて書きだし、挿入文が終わったところで、1行あけにすることになります。
1行あいていて、行頭の二マス下げがなくなれば、本文に戻ったことが分かります。
ただし、5マス目からの見出しの直後で挿入文と書き出しの頭が揃う場合は、見出しレベル全体を見直すなど、書き出し位置が揃わないように工夫する必要があります。

19.p149 4.挿入文の書き方

この規則に「なお、挿入文の始まりと終わりが、カギや棒線などで区別されている場合は、原文の通りに書く。」とあります。
「原文のとおりに」は、カギ、棒線のみを指しているのでしょうか。または、レイアウトをそのままに書くということでしょうか。
例えば、本文に戻った時に区別するために1行入れたりしますが、そのことが不要ということを指しているのでしょうか。

【A】

原文に前後の行あけがなければ原文のまま書いてもよいと思います。
挿入文の書き方の原則は、「本文との区別を明らかにする」ことですので、原文が前後の行あけなしでカギや棒線で区別されている場合は、原文の通りに書いて差し支えありません。
ただ、カギを閉じた後に出典が書いてあるなど、レイアウト上読みにくくなる場合は、【処理】の「原文と異なっても前や後ろを行あけするなどの工夫をして書くことができる」に従って、1行あけることもできます。

20.p149 4.挿入文の書き方

エッセイ本の中に、本文に関する著者の補足や注釈が、該当の語句が記載されている段落の直後に2~3文字分段が下がって書かれています。
注記があることを示す※や(注)は使われていません。

(例)
わが父は、親戚からも近所の人間からもだいぶ怖がられていた。理由はここでは語らない。
ここで語らない理由は、私でも原因がわからなかったから。もし読者の方で分かる人がいたら教えて下さい。
父については、過去の記事でも少し触れています。
三人の子らの顔には、如実に恐怖の表情が浮かんだ。父の顔は特に変化もなく、三人の子らを一瞥し、無言で去っていった。

このような書き方がされている場合、
点字でも書き出し位置を下げてかくしかないのでしょうか。
本文に10箇所程度、挿入されている文の長さは1~4行程度です。
この他に(注)の印を用いた別の注記が一か所だけあります。
その注記説明は、欄外にあります。
他に思いついた方法は、
(1)枠線を用いて該当の段落の直後に挿入
(2)(注)と同じく、該当の語句の直後に注記符を用いる(凡例で断ります)
(3)該当の段落のあと、第二カッコを用いて書く。
他に何か良い方法はありますか。

【A】

もっとも簡便な方法としては、前後1行あけになると思います。直後に挿入されているので、1行あければ、わかると思います。
この方法で分かりにくい場合は、あまり使用されないかもしれませんが、「てびき」p149【備考】にありますように、第1段落挿入符で囲む方法も有効かもしれません。
原文でも、2~3文字下げて書いてあるだけで、※や(注)などがないわけですので、点訳でも一般の挿入文などと同じ扱いにしてよいと思います。

21.p149 4.挿入文の書き方

物語の中に子供のころの作文が引用されています。題名の書き出しは、何マス目からになるのでしょうか。

【A】

引用文に題名が付いている場合は本文の見出しとの区別が難しいので、「てびき」p151[参考]にあるように、引用文全体を枠線で囲むことができます。
子どもの頃の作文も全体を枠線で囲むとよいと思います。
枠線で囲めば、本文とは独立して題名の書き出し位置を決めることができます。

22.p149 4.挿入文の書き方

挿入文とその出典の書き方についてです。
原本に、非常にたくさんの引用文が出てきます。書かれ方としては前後行あけして行頭字下げし、引用文の次行行末に寄せる形でカッコに囲んで出典が書かれています。
以下二つほど例を書きます。

言うことを否定せずに話を合わせる(改行)
(鳥羽研二著『名医の図解 認知症の安心生活読本』主婦と生活社 2009年)(改行)

経験が人間に生じるのは記憶からである。というのは、同じ事柄についての多くの記憶がやがて一つの経験たるの力をもたらすからである。(改行)
(アリストテレス著『形而上学(上)』出隆訳 岩波文庫 1959年)(改行)

といった感じです。
どの引用文も短いものですが、出典が長いものが多いです。
まず、点訳での引用文の書き方ですが、原本どおりインデントを付ける必要はあるでしょうか。前後行あけをしますし、引用文内部に行あけはありません。最後に( )で出典がありますので、これらの要素だけで地の文との区別はできると判断し、インデントはつけないという判断は可能でしょうか。
加えて、出典の書き方ですが、やはり、原本どおり行末に寄せて書かなければいけないものでしょうか。行末に寄せて書くとなると、行頭10マス以上あけて書きますので、ものによっては4行以上になるものも出てきます。
原本の書かれ方とは違いますが、別の案として
(1)統一して引用文出典は行頭5マス目から書き始め、次行は7マス目から書く
(2)統一して引用文出典は3マス目から書き始め、次行は1マス目から書く
(3)統一して、引用文の書き終わり改行せずに二マスあけて続けて出典を書く

個人的には(3)が行数がかさばらず読みやすいのではないかと思うのですが、原本の書かれ方とは違いますので、やはり不可でしょうか。
また、インデントを付けて挿入文を記載した場合、(1)(2)の方法で出典を書くなら、出典の部分もプラス2マスのインデントを付ける必要があるかと思います。
インデントを付けての挿入にする場合は(2)が行数もかさばらずすっきりするように感じますが、インデントを付ける場合に(1)を採用すると5マス目に持ってくる効果はあまりないようにも感じます。

【A】

お考えのように、前後行あけをして、出典もあるのですから引用文であることは明らかだと思います。
前後行あけし、本文がおわったら、行替えせずに、二マスあけて出典を書くのが、最も分かりやすいと思います。
引用文については、「てびき」p149の一番下の【処理】に原本と異なった書き方の工夫ができることが示されています。出典の書き方も「コラム31」にいくつかの例示がありますが、本文が終わったあと、二マスあけて書くという書き方もあると思います。
インデントを使用した場合の、出典の書き方もお考えの通りです。

23.p149 4.挿入文の書き方

本文の最後に字下げして次のように書かれています。行あけはありません。

分け入っても分け入っても青い山 山頭火(原本では作者名は同じ行に書かれています)

2022年9月9日
淀川を見渡す若山台にて
藪田 貫

(1)山頭火の書き出し位置について
字下げして書かれていますので5マス目から書きますが、この場合2マスあけで原文通り作者名が入ります。が、てびきでは作者名は行を替えて行末近くに書くことを原則とすると書かれていますので、行を替えた方がよいのでしょうか。
(2)行あけについて
この本の他の字下げの文では後ろだけ1行あけにして統一していますが、フォーラムQ&Aでは、文中に引用されている場合は前後行あけしたほうがよいとされています。今回のように最後に書かれている場合も前後1行あけにしたほうがよいのでしょうか。また、日付を書く時は一般的には原本で行あけがあっても行あけせず書きますが、そのことを踏まえると、このような場合どうするのがよいのかわからなくなりました。
(3)最後の「淀川を・・・」の部分の書き出しはどのようにするのがよいのでしょうか。11マス目からでよいでしょうか。

【A】

(1) 原文の通りに、同じ行に二マスあけして サントーカと入れてよいと思います。「てびき」p153に「月の夜や石に出て~」の例と「コラム29」に2例あります。
(2) 俳句1句だけで本文が終わっているので、字下げして5マス目から書いただけで分かると思います。ただ、次行の年月日を同じ5マス目から書くとわかりにくくなりますので、この場合は年月日を上の行から4マス下げて9マス目から書いてはどうでしょうか。
(3) 上の年月日の行とも関連してきますが、「淀川を~」を11マス目から書くと自然に読むことができると思います。

24.p149 4.挿入文の書き方

翻訳本の点訳で行あけに関してお聞きします。
原文で、本文と字体を変えてママとの思い出などが書かれているところがあります。他の所は必ず1行あいているのですが、ここだけはあいていません。
点訳したとき迷った末、1行あけたのですが、校正では、あけないで原文のままとありました。「てびき」にも原文通りが基本とあります。ただ、十分に留意して判断して訂正するかを決めるともあります。次の文が続いていても判断できるかだとは、思いますが、よくわからなくなってしまいました。

【A】

視覚的に字体を変えているので、原文では行あけをしていないのだと思います。
「てびき」p149「4.挿入文の書き方」の(2)にありますように、活字の大きさや字体の変更だけで文が挿入されている場合は、点字では前後1行あけたりできますので、字体が変更されている部分は前後を1行あけてよいと思います。

25.p149 4.挿入文の書き方 【処理】

古代歴史書の本文中に解釈の違いを記した引用文が時々出てきます。p.250中10か所位です。各引用文は、著者名もあり、全文1文字さげて 前後一行あけて5~10行位書かれています。
私はインデント処理をした方が分かりやすいと思いますが、意見が分かれます。

【A】

ご質問の場合、原文が前後1行あいている上に1文字下げて書いてあるということですので、原文の通りに点訳書でも前後1行あけて、さらにインデント処理をしてもよいと思います。
ただ、著者名が最後に付いているのでしょうか、そうでしたら、最後行末近くに出典を書くことになりますし、原文で5~10行あるとすると点字で次ページにいくこともありますので、インデントの効果は無いと思います。
あくまで原文通りにするか、インデントの効果はないものとして、前後1行あけだけにするか、どちらを選択してもよいと思います。

26.p151 4.挿入文の書き方 [参考]

見出しがある挿入文については、「枠線で囲むこともできる」とありますが、掲示板や新聞記事とは違うので枠線で囲むのには抵抗があります。枠線で囲まないで書くことは可能でしょうか。挿入文を二マス下げで書く場合、枠線を使わないで書くとしたら、挿入文の見出しは何マス目から書けばよいでしょうか。原本は、挿入文の見出しはカギ類などで囲まれておらず、挿入文本文の字下げと同じ位置から書かれています。地の文の見出し、また挿入文本文と区別するために、見出しを第1カギで囲んで5マス目から書くのはどうでしょうか。
〈原本〉
六百字の見解が掲載されていた。

読み方は自由でも…あらすじと解釈は区別を

私の自伝的小説『少女を埋める』には、主人公の~~

地の文の見出しは、7マスと5マス目から。六百字~は地の文。1行あけ・字下げして挿入文の見出し。さらに一行空けで挿入文本文となっています。

数600字の■見解が■掲載■されて■いた。
(1行あけ)
■■■■「読み方は■自由でも■…■あらすじと■
■■解釈は■区別を」
■■■■私の■自伝的■小説■『少女を■埋める』には(後略)

【A】

引用文に見出しが付いている場合は本文の見出しと区別できるように、何らかの工夫が必要になります。枠線で囲めば明らかですが、全体に二マス下げて書けば、見出しで区別が付かなくても本文が下がっていますので、引用文であることが分かってよいかもしれません。
ご質問の、《読み方は自由でも…あらすじと解釈は区別を》が見出しと言えるかどうか分からないのですが、・・・ 見出しでしょうか?
注意書きのようなものではないですか?
下の引用文を読むための注意書きのような文でしたら、全体を第1カッコで囲んで3マス目(二マス下げた場合は5マス目)から書いてはいかがでしょうか。

27.p152 5.箇条書き

箇条書きのあと普通の本文に戻る場合に、箇条書きが終わったことが分かりにくい場合には、原本にはない1行あけを入れることは可能でしょうか?

【A】

墨字原文で、箇条書きの冒頭に黒丸をつけたり、書体や文字の大きさを変えたりするなど、何か視覚的な工夫がされている場合は、点字では1行あけに代えて書いてよいと思いますが、墨字原文にも何も処理がなされていない場合は、読みすすめば理解できると考え、墨字原文の通りにするのが一般的な方法ではないかと思います。ただ、点字であるためにさらに分かりにくいと思われる場合は、点訳の工夫の範囲で1行あけることもやむを得ないかもしれません。

28.p152 5.箇条書き

本文中に、行頭に中点や、丸を付けて箇条書きになっている箇所が何か所かあります。個別の項目を、分かりやすくするために、行頭に番号付けをすることは可能でしょうか。

【A】

一般的には、「てびき」p104 ⑤やp152 5.に従って、行頭の中点や丸は省略して、箇条書きの文だけを段落を付けて書きますが、それでは数が多くてわかりにくい、箇条の中に段落があるなどの理由があれば、点訳挿入符で、《各箇条に1.2.・・・の番号を付ける。》などと断って番号を付加する場合があります。
なお、原文によっては、もともと原文に付いている番号と区別するために、a.b.・・・にするなど、工夫が必要な場合もあります。

29.p152 5.箇条書き

箇条書きに付いている○についての扱いを教えて下さい。
その日の日記にこう書いた。
≪○ 工藤宣伝部長が何のために自分を呼んだか分からない・・・。
〇 工藤部長の話はもっぱら自分の自慢話に終始した・・・
はじめ、『キャメラミン』をどう売るかについて考えた・・・
〇 浅野さん・・・≫
山カギの中に13個の〇付での文章があります。

このような場合 ≪は第2カギにし、○は省略すると思いますが、 〇付の文章が長く段落や第1カギが有ると 〇有り(箇条書き)と区別がつかなくなってしまいますが どのようにしたらよろしいでしょうか?

【A】

日記の内容が≪~≫で囲まれていますが、この囲み記号を省略して、前後1行あけにすると、○の付いた文章をすべて3マス目から書き出すことができます。それでも、分かりにくいようでしたら、点訳挿入符で断って、a.b.c.などを初めに付けて書くと分かりやすくすることができます。

30.p152 5.箇条書き

原本では、ベスト10が①から⑩まで羅列され、そのうちのいくつかが白抜き数字になっています。後の文章に「白抜き数字は …」と説明が書かれています。点訳書凡例で断り、白抜き数字を第1カギで囲んで書いてもいいでしょうか。第2カッコを使用することも考えましたが、マス数が多くなるのでどうしたものかと検討中です。点訳書では、①からの数字は第1カッコで囲んで書いてあります。また、原本では①~⑩までは箇条書きではなく続けて書かれています。

【A】

箇条書きではなく、続けて書いてあるとすれば、数字を囲むカッコを第1カッコと第2カッコに区別して、「白抜き数字は~」の部分を、「⑤②③⑤⑥メメ②③⑤⑥②で囲んだ数字は~」のように書いたらいかがでしょうか。第2カッコは第1カッコと区別すべきカッコが必要な場合に用いる記号ですので、マス数が増えてもこの場合は最も有効となります。
①~⑩が箇条書きになっている場合は、1位~10位まで統一した書き方で書き、その上で、白抜き数字の番号の前に星印を付けるのが最も分かりやすいのではないかと思います。
2位と5位が白抜き数字になっている場合は
■■(1)
■■③⑤③⑤■(2)
■■(3)
■■(4)
■■③⑤③⑤■(5)
■■(6)
のようになります。
そして、「白抜き数字は~」の部分を、「星印が付いている数字は~」のようにすればよいと思います。

31.p152 5.箇条書き

「1 善人は、フードを粗末に扱う」という文の後ろに同じ意味の「1 Good People Eat with Gusto」と英文があります。
日本語は「数1■■ゼンニンワ~」と番号の後は二マスあけとしますが、英文も「外引数1■■Good~」と二マスあけをするのでしょうか。一マスあけでいいのでしょうか。

【A】

英語の点字では文中に二マスあけはありませんし、数字の後一マスあけでも次に大文字符が来れば分かると思いますが、このように箇条書きや番号を表す場合、日本語の点字でもピリオドを付けるかカッコで囲むことをお勧めします。裸の数字は大きな見出し項目には使用しますが、後ろ二マスあけとセットになりますので、箇条書きなどの番号を示すには適していません。原文にピリオドがなくても点字ではピリオドを付けるようにするのがよいと思います。

32.p152 6.二マスあけ

この項に
女はやさしさを、①自分②ペット③子供に向けるために使っている。
というQ&Aがありますが、この①②③が123という裸数字の場合、数字の後は二マスあけになりますか。
1■■ジブン■■2■■ペット■■3■■コドモ…
それとも数字の後がマスあけのある文の場合のみ二マスあけになりますか。次のように語句と文が混ざっている場合はどうなりますか。
1■■ジブン■ジシン■■2■■ペット■■3■■コドモヤ■カゾク…
箇条書きではなく、列記の場合は数字は見出しの扱いではなくなりますか。いつも迷います。

【A】

原文に①②丸囲みの数字が使ってある場合は、外に差し支えがなければ、数字を第1カッコで囲む方法を採りますが、文脈によってそれでは誤解を受ける場合などは、数字のあとにピリオドを付けた形も用います。
原文が、裸数字であっても、このような場合は、数字にピリオドを付けて後ろを一マスあけにするのが分かりやすい点訳の方法です。この場合も、文脈上、不都合がある場合は第1カッコで囲んだ形を用いてもよいのです。
数字を付けて項目が列挙してある場合は、数字の前を必ず二マスあけます。
1.■ジブン■■2.■ペット■■3.■コドモ…
1.■ジブン■ジシン■■2.■ペット■■3.■コドモヤ■カゾク…
となります。

33.p152 6.二マスあけ

作者名と書名、書名と出版社、アーティスト名とLP名などの間は、「」や『』があっても二マスあけがよいでしょうか?
(例)石川淳『黄金伝説』

【A】

作者名と書名、書名と出版社など、異なる要素の羅列の場合は、二マスあけが原則ですが、カギで囲まれている場合は一マスあけでよいとしています。しかし、二マスあけたから間違いというわけではありません。

34.p152 6.二マスあけ

『 』で囲まれた書名の書き方についての質問です。
『岩波国語辞典 第7版』
この場合第7版の前の一マスあけでしょうか、二マスあけでしょうか。
『新装版 昭和史発掘(全九巻)』この場合の新装版の後と( )の前のマスあけが分かりません。

【A】

この場合は、「てびき」p152 「6.二マスあけ」の(2) ①にある「書き流しで別の要素が羅列してある場合」にあたりますので、基本的に二マスあけになります。
『イワナミ■コクゴ■ジテン■■ダイ数7ハン』
カッコがある場合も二マスあけでもよいのですが、カッコがあることによって、別の要素との区切りが分かりますので、一般に一マスあけで処理しています。
『シンソーバン■■ショーワシ■ハックツ■(ゼン■数9カン)』
となります。

35.p152 6.二マスあけ

二マスあけについて、お尋ねします。
寄稿文などで、見出しの次行に寄稿者名(右寄せ)が
「〇〇大学××学部△△科教授 〇川△吉」
と書かれてある場合、「てびき」p152(2)②を根拠に、教授と氏名のあいだは二マスあけとしました。
もし教授と氏名の間に空白がなく、
「〇〇大学××学部△△科教授〇川△吉」
と続けて書かれてあった場合も二マスあけにしたほうがよいでしょうか?
二マスあけで書くとなった場合、上記と同じくマスあけを含む別の要素(肩書と氏名)が読点、中点を用いずに並列されていると判断して、教授の後ろを二マスあけとしてよいでしょうか。
二マスあけの根拠を示す時、いつも「てびき」p152の(2)の①と②で迷うのですが、今回の例は氏名の前に空白がある・なし両方ともに(2)の②で合っていますか?

【A】

見出しの次行に寄稿者名などが書いてある場合は、点字では行末に揃えて書きますので、1行には収まらず、何行かに渡って書くことになります。そのような場合、最後の行に肩書きと氏名(教授■■氏名)と書くのが収まりがよいと思います。
最後の行が、△△科■教授■■氏名となる場合も、マスあけは同じです。「教授」「市長」「会長」などと氏名の間は二マスあけになります。原文に空白があるかどうかには関係なく、二マスあけとなります。

なお、二マスあけの根拠ですが、
(2)②は、
奈良には、東大寺 春日大社 法隆寺などがある。
材料は、鶏肉 サラダ油 塩 こしょう 化学調味料です。
のように、中にマスあけを含む語句が中点・読点を用いずに並列している場合を指しています。
ご質問の、「○○大学××学部△△学科教授○山×子」のような場合は,並列ではなく、異なる要素の羅列になりますので(2)①ということになります。

36.p152 6.二マスあけ (2) ①

「別の要素」というのがよく理解できません。例えば次のような場合マスあけはどうなりますか。小見出し扱いの文言です。
(1)財務省キッズコーナーファイナンスらんど
(2)宇宙科学研究所キッズサイト ウチューンズ
これは①に該当するのかどうかもわかりませんが、「別の要素」とはどういう事を言うのでしょうか。

【A】

(1)(2)ともに、一つの名称ですので、「てびき」p152 (2) ①には当てはまりません。似たような例で、住所、ビル名、階数などが書いてある場合も、一つの住所ですので、番地のあとにビル名も一マスあけで書きます。

「別の要素」とは、p153の1番目と2番目の例のように「投稿締め切り」という見出し的な語句と、年月日と、「当日消印有効」という注意事項が並んでいる場合や、「全視情協事務局」という組織名と電話番号が並んでいる場合のように、種類(要素)の異なる語句が並んでいる場合を指します。
一マスあけでは、要素の変わり目が分からない、読みにくいという所です。
書名、作者名、発行所名などが、中点も読点も囲み記号もなく書かれている場合などがよく遭遇する例になると思います。
一人の人物の、姓名、性別、生年月日、血液型などが、読点も使わずに羅列されている場合もそうです。
このように、多くは、読点を入れたり、囲み記号で囲んだりするところなのに、それらを使わずに羅列されている場合を指します。

37.p152 6.二マスあけ

1.『小泉武夫 食のベストエッセイ集』という書名があるのですが、小泉武夫の後は一マスあけでしょうか、二マスあけでしょうか。原本では「小泉武夫」と「食のベストエッセイ集」の間にはスペースがあります。このような書名は数多くあると思いますが、原本でスペースがある場合どのように考えればよいのでしょうか。国会図書館書誌情報では一続きになっています。書名のマスあけの基準のようなものはありますか。
2.「しょうがくしんこくご 二年・下」「こくご 二・下」の「二」の前のマスあけはどうすればよいでしょうか。

【A】

1.原本でスペースがあるかどうかは、点字でのマスあけに直接関係しません。また、国立国会図書館やTRCの書誌では書名の中には原則としてスペースを入れないルールになっています。スペースを入れるのはアルファベットで表す書名や一つの書誌に複数の書名がある場合など特殊な場合のみです。ですから、書誌によって点字でのマスあけを判断することもできません。
あくまでも、書名の中に二マスあけの要素があるかどうかで判断します。「てびき」p152 「6.二マスあけ」に照らして判断することになります。
『小泉武夫 食のベストエッセイ集』は、「小泉武夫」と「食のベストエッセイ集」という別の要素が羅列してあるので、(2) ①に当てはまります。二マスあけがよいと思います。
2.「しょうがくしんこくご」「こくご」などの同じ書名で1年~6年がある場合は、二マスあけてよいと思います。ただ、数学Ⅱ、数学Aなどは、ⅡやAも含めて書名とも考えられます。

38.p152 6.二マスあけ

女はやさしさを、①自分②ペット③子供に向けるために使っている。
ここは、数字の後は語句ですが、文章の個所もあります。語句や文章と数字の間は一マスあけか二マスあけかどちらでしょうか。

【A】

①~ ②~ ③~のように番号を付けて羅列してある場合は、語句であっても数字の前を二マスあけます。
(1)■ジブン■■(2)■ペット■■(3)■コドモニ■ムケル
となります。

39.p152 6.二マスあけ

シリーズ番号などの数字の前の分かち書きについて質問します。
日本■文学■全集■■1
心理学■1
数字を受ける言葉に分かち書きが生じた場合には二マスあけ、分かち書きがない場合は一マスあけと理解していましたがこれでよいでしょうか。

【A】

ご質問の場合は、数字を受ける言葉の分かち書きによるのではなく、シリーズ名(叢書名)とシリーズ番号(叢書番号)の数字は、異なった要素なので二マスあけるという判断によります。
シリーズ名に続けて一マスあけで裸数字が並ぶと、一連のシリーズ名と誤解される恐れがあるというのがその理由です。
書名の「心理学■1」は、判断が難しいところですが、「心理学1」までを書名と考えることが多いようです。「数学ⅡB」「化学Ⅰ」等も全体で書名として一マスあけにしています。
前の語句と裸数字の間のマスあけも、「てびき」p152「6.二マスあけ」(2)の特に①に当てはまるかどうかで判断することになります。
またシリーズ名の書き方などは、「てびき」の例にもあるように、ほとんど定まった書き方になっています。

40.p152 6.二マスあけ (2)

参考文献は、原本によって書き方が異なり、マスあけに迷います。下記のような例はどう考えればよいでしょうか。
1.『広辞苑 第七版』新村出編/岩波書店
2.『よみがえる大王墓 今城塚古墳(シリーズ「遺跡を学ぶ」077)』(森田克行著 新泉社)
3.『『死者の書』の謎 ― 折口信夫とその時代』(鈴木貞美著 作品社)
4.『対話古典シリーズ 万葉集下』(桜井満訳注 旺文社)
5.川和二十六、富田商太(画)『戦国時代100のウソ』鉄人社
6.篠田達明『戦国武将の死生観』新潮社

【A】

参考文献の場合、書名(文献名)、著者(筆者)、出版社(発行元)、発行年などは、「書き流しで異なった要素が羅列されている」場合に相当しますので、「てびき」p152 (2)①に従い、各要素の間は二マスあけになります。
ただ、書名などがカギ類で囲まれている場合は、記号によって判断が付きますので一マスあけでもよいとしています。
要素の間にスラッシュがある場合は、スラッシュを省略して二マスあけにします。また、書名の後に、著者名、発行所名などがカッコで囲まれている場合は、前の書名等の注釈的説明と考え、前に続けて書きます。
これらのことを考慮して判断すると以下のようになります。
1.『広辞苑■第七版』■■新村■出■編■■岩波■書店
2.『よみがえる■大王墓■■今城塚■古墳(シリーズ■「遺跡を■学ぶ」■077)』(森田■克行■著■■新泉社)
3.『『死者の■書』の■謎■―■折口■信夫と■その■時代』(鈴木■貞美■著■■作品社)
4.『対話■古典■シリーズ■■万葉集■下』(桜井■満■訳注■■旺文社)
5.川和■二十六、■富田■商太(画)■■『戦国時代■100の■ウソ』■■鉄人社
6.篠田■達明■■『戦国■武将の■死生観』■■新潮社

なお、1.5.6.の『~』の前後は一マスあけでもよい例になります。
1.2.4.の第七版、077、下などの版次やシリーズ番号などは、標題紙などでは二マスあけの場合もありますが、このように書き流しで羅列してある場合は、誤解の心配がなければ一マスあけでよいと思います。
『~』の中の『~』は、この場合は第2カギになります。

41.p152 6.二マスあけ

前のQ&Aに追加の質問です。
1.『今城塚と三島古墳群―摂津・淀川北岸の真の継体陵(日本の遺跡7)』
2.『別冊太陽 楽しい古墳案内(太陽の地図帖23)』
3.「高槻市立今城塚古代歴史館 常設展示図録(改訂版)」
4.『てくてく歩きⅡ 南紀 熊野 伊勢』

上記の1.~3.のカッコの前は続けていいでしょうか。以前の回答は、
『よみがえる大王墓 今城塚古墳(シリーズ「遺跡を学ぶ」077)
『よみがえる■大王墓■■今城塚■古墳(シリーズ■「遺跡を■学ぶ」■077』でした。
4.は、地名の間は一マスでもいいでしょうか。

【A】

参考文献として本文の中にカギ類で囲まれて出てくるときや、大きな見出しの終わりや巻末などに多くの文献が列挙されているときの書き方についてのご質問と思います。
そのような場合、書名の後に、著者名、発行所名などがカッコで囲まれて書かれているときは、前の書名等の注釈的説明と考え、前に続けて書くのがよいと思います。
ただ、(改訂版)(新版)(上)(下)などの版次は、版次という異なる要素が書名に含まれると考えて、3.の(改訂版)の前は一マスあけたほうがよいと思います。
1.2.のカッコは前に続けて書きます。
1.『今城塚と■三島■古墳群■--■摂津・■淀川■北岸の■真の■継体陵(日本の■遺跡■■7)』
2.『別冊■太陽■■楽しい■古墳■案内(太陽の■地図帖■■23)』
3.「高槻■市立■今城塚■古代■歴史館■■常設■展示■図録■(改訂版)」
なお、標題紙や奥付に書く場合は、そのルールに従って書きます。

4.は、『てくてく■歩き■Ⅱ■■南紀■熊野■伊勢』と書いてよいと思います。
『てくてく歩きⅡ 南紀白浜 熊野古道 伊勢街道』などとマスあけを含む語の羅列の場合は二マスあけになります。
『てくてく■歩き■Ⅱ■■南紀■白浜■■熊野■古道■■伊勢■街道』

42.p152 6.二マスあけ (2)

出典の2マスあけについての質問です。
~神戸に住まわせてください」と陳情した。(「ユダヤ人は神戸~泣き落とし戦術」 神戸新聞1941年8月27日版)

この場合、神戸新聞と1941年の間は一マス、二マスあけのどちらでしょうか。
「てびき第3版指導者ハンドブック第5章編」p17「出典表示」の4.の「朝日新聞2013年~」では新聞と年月日の間は一マスあけになっていました。
新聞社名と年月日は別の要素と思ったのですがどのように考えたら良いのでしょうか。

【A】

この場合は、新聞社名でなく、掲載誌名を表しています。新聞は日刊ですから〇月〇日版まで特定することで該当記事の記載資料を示します。ですから、日付までが一要素となります。神戸新聞1941年8月27日版までが、一つの要素と考えてよいと思います。
ハンドブックの場合も「2013年6月8日の朝日新聞掲載」までが一つの要素で、そのあとの著者名との間を二マスあけにしています。

43.p152 6.二マスあけ

国木田独歩の『病床録』の中の詩です。本文中に挿入されています。

- 土用七月の波、これを犬吠埼に見る この壮観 未だ忘るる能わず 河を見ても 天地の悠久を知る 斯の水 斯の人 何の時か 亦相会わんや 利根の大流に 潸然として涙をそそぎしことありき -

文の切れ目と思われる箇所で二マス開けをしてもよいのでしょうか。

【A】

詩の中でも二マスあけに相当するところは二マスあけて点訳することになります。
「てびき」p165~p166の「学生時代」のなかにも二マスあけがありますので、参照してください。
ご質問の詩の場合、二マスあけは以下の4箇所ではないかと思います。

- 土用七月の波、これを犬吠埼に見る■■この壮観 未だ忘るる能わず■■河を見ても 天地の悠久を知る■■斯の水 斯の人 何の時か 亦相会わんや■■利根の大流に 潸然として涙をそそぎしことありき -

44.p153「コラム29」

原本の詩の中で、助詞の前で一マス空白になっている箇所の書き方について、作者の意図があるものとして原本の通りマスあけするのでしょうか。または視覚に対するレイアウトとして、助詞は前の語に続くという基本で考えていいのでしょうか。以下に数か所抜粋箇所を書きます。離れた助詞一語で文が終わった場合、続けてしまうとニュアンスが変わるのではという意見も聞かれました。

“別の世界に渡ってったんじゃろう
とイチョウが云うとった
そりゃあ良かった とわしゃ思うたよ”

“それが人生での俺の仕事だって
思いこんじまう
そういう時期がありますよ ね”

“勝手にどんどん速くなるんだ
それも毎日更にどんどん な”

【A】

詩などで、原文に1文字分の空白がある場合の判断について、「てびき」では、p153「コラム29」で説明していますが、ここでは、点字で本来マスあけするところで、一マスあけか二マスあけかの判断について主に書かれています。
今回のご質問は、前の語句と続けて書くか、一マスあけ、あるいは二マスあけるかですので、それぞれに文脈から判断することが必要になると思います。
最初の“そりゃあ良かった とわしゃ思うたよ”は、
「そりゃあ良かった」と、わしゃ思うたよ
とカギで囲むところをカギが省略された形で、「わしが思った」のは、「そりゃあ良かったと」ではなく「そりゃ良かった」までですので、「と」の前で一マスあけた方がよいと思います。
ソリャア■ヨカッタ■ト■ワシャ■オモータヨ
となります。
2番目と3番目の「ね」「な」は助詞とも取れますが、相手に念を押す感動詞とも取れます。
“そういう時期がありますよね”ではなく、“そういう時期がありますよ、ね(そうでしょう)”
“それも毎日更にどんどんな”ではなく、“それも毎日更にどんどん、な(そうだろう)”
と受け取ることができると思います。
そのように考えると、「ね」「な」の前で二マスあけるのが自然ではないでしょうか。
ソー■イウ■ジキガ■アリマスヨ■■ネ
ソレモ■マイニチ■サラニ■ドンドン■■ナ
このように、それぞれに、1文字空白の意図を文脈から判断して書くのがよいと思います。

45.p153「コラム29」

詩の例3「問い」についての質問です。この詩の2行目の「いったい何をしているのだろう わたくしは」の「わたくしは」の前が1字分あいています。詩における1字分の空白は作者が意図的にあけたもので、ここは二マスあけた方がよいようにも思えます。
「コラム29」に「原文に1字分の空白があったとしても、そこを機械的に二マスあける必要はありません。・・・一マスあけを原則として文脈上必要なときにだけ二マスあけるようにします。」とありますが、文脈上必要な時とはどのような場合なのでしょうか。

【A】

文脈上、二マスあけが必要になるのは、「てびき」p152の「6.二マスあけ」に当てはまる場合になります。
詩でも、句点を用いないで、明らかに文末の場合や、中にマスあけを含む語句が並列されている場合は、「6.二マスあけ」(2)の②や③に該当しますので二マスあけます。
「てびき」の詩の例では【例5】学生時代の「テニス■コート■■キャンプ■ファイヤー■■ナツカシイ■ヒビワ■カエラズ」があてはまります。
「問い」のように倒置法が用いられているような場合は、文末とは言えませんので一マスあけになります。