第5章 書き方の形式(5)
その5 ルビやマークなどの書き方
1.p191 1.ルビの付いた言葉の書き方
翻訳物で、漢字に外国語のルビがついているのですが、次に同じ言葉が出た時は、ルビがついていません。p192【処理】に「文脈から判断してルビを書くか元の漢字の読みを書く」とありますが、分かりやすい方でよいということですか?
【A】
漢字に外国語のルビが付いている場合、断定はできませんが、多くの場合、著者がその本では、その漢字をルビのように読んで欲しいという思いが込められていると思います。 ですから、一般的には、ルビを書いた方がよいと思います。ただ、ルビが付いているところだけ、その読みで読ませたい場合もあります(「ハンドブック第5章編」p52 コラム「ルビもいろいろ」参照)ので、「分かりやすい方」ではなく、「文脈」によって判断してください。
2.p191 1.ルビの付いた言葉の書き方
「i-PhoneXs」(アイフォン テンエスと読みます)にルビがついていない場合は、Xをローマ数字で点訳すれば、読む方が「テン」と思って読んでくれると思うのですが、カッコ書きで読み方が必要でしょうか?
また、「docomoXi」と書いてあり、「ドコモ クロッシー」とルビがない時は、カッコ書きで読み方が必要でしょうか。こちらは聞きなじみがないので、必要な気がしますが。
【A】
原文にルビがない場合、原文の表記の通りに書くか、それにカッコで読みを付けるか、読みだけを書くか等、迷いますが、それは、原本のジャンルや表現、文脈などによって判断するしかないと思います。カッコで読みを付けることは親切ですが、墨字の読者もどう読むのかは分からない場合もありますので、該当する語句を点訳することによって分かりにくくなっているのかどうかということも判断のよりどころとなると思います。
原文の通りに点訳した場合、XSは大文字のようですので、引i=大Phone■大X外大S引(外は、英語点字の文字符 ⑤⑥の点です)、「docomo Xi」は、外docomo■外大Xiとなります。
3.p191 1.ルビの付いた言葉の書き方
数字の読み方にルビがある場合の分かち書きについて
・119(いちいちきゅう)
消防の119番通報ですが、『119』にルビがふられていました。このルビは、一続きに書きますか? 「いち/いち/きゅー」と分けて書くのでしょうか?
・「東京2020」に(にーぜろにーぜろ)とルビがあった場合は、どうでしょうか?
【A】
数字を仮名で書く必要がある場合は、拍数や意味のまとまりを考えて書きます。
「119」は、「イチイチキュー」、「東京2020」は「トーキョー■ニーゼロ■ニーゼロ」がよいと思います。
「ハチマル■ニイマル■ウンドー」や「シブヤ■イチマルキュー」などを参考にしてください。
なお、蛇足ですが、「にいぜろにいぜろ」と書かれている場合は、「ニイゼロ■ニイゼロ」と書きます。
4.p191 1.ルビの付いた言葉の書き方
以下のような文では、ルビを先に書いた方がいいのでしょうか、それともルビは後がいいでしょうか。
いきなり質問された。中国語だった。単語の意味は取れなかったが、語尾の語調から質問されたとわかった。「是、是(シー シー)」と頷きながら、天宮は携帯端末を取り出し、音声入力アプリを起動する。
「もう一度言ってくれ(ザイシュウオーイービエン)」
カッコ内はルビです。この場合、「もう一度言ってくれ」は日本語とルビのどちらを先に点訳するのでしょうか。音声入力アプリなのだから日本語が先だと思うのですが見解が分かれています。
【A】
この場合は、音声アプリから聞こえた音声ですから、原音(ルビ)を先に書いた方がよいと思います。
「ザイ■シュウオー■イービエン(モー■数1ド■イッテ■クレ)」となります。
5.p191 1.ルビの付いた言葉の書き方 (1)
『身近なぎもん6年生』という本です。
原本には漢字・アルファベットに全てルビがあります。LEDとかAI・ATMといった言葉にはアルファベットを書き、その後カッコの中に読み方を記しました。その後同じ言葉が出てきたときはアルファベットだけにしました。
血液型とかビタミンといったアルファベット1文字の場合もA(エー)といったように、初めて出てきた時は読み方を記した方がよいでしょうか。小学校高学年向けの書籍ではそこまでする必要はなく、アルファベットだけでよいでしょうか。もし1文字でも読み方を書くとするなら、血液型やビタミンなど項目が違った時は、改めて読み方を記した方が良いでしょうか。
【A】
最近、いろいろな方に配慮して総ルビを付けた本もよく見るようになりましたが、点訳するときにそのすべてに対応すると読みにくいことも考えられます。
「6年生」という本ですから、すでにアルファベットを学んでいるはずですので、1文字のアルファベットにまで読みを書かなくてもよいと思います。
LED、AIなどになると、読み方を書くことも意味があると思います。
6.p191 1.ルビの付いた言葉の書き方
川柳に一般的と思われるルビが振ってある場合、ルビのみを書くべきかどうか、迷っています。
夢に見る 若かりしころの かの女(ひと)を
スーパー楽し あれこれ かごに 娘(こ)にらむ
それぞれ 女に(ひと)、娘に(こ)とルビがあります。
一般的な文章であればルビだけでよいように思いますが、川柳や歌、歌詞などの場合でも同じと考えてよいでしょうか。
川柳なのでリズムも関係しそうですし、できればルビのみで書きたい気がします。
【A】
短歌・俳句・川柳などは、音数によるリズムが大切な短詩ですので、まずは、ルビだけを書くことをお勧めします。
ほとんどは、それだけでよいと思いますが、漢字の説明が必要な場合は、1句、1首を書き終わった後に、点訳挿入符で、「コワ■ムスメ」などのように書くなどの工夫をして、鑑賞を妨げないようにするのがよいと思います。
7.p191 1.ルビの付いた言葉の書き方 (2)
難読名字で「一尺五寸」に「かまつか」、「八月一日」に「はっさく」、「八十八騎」に「とどろき」とルビがついています。その場合、それぞれルビを先に点訳して括弧内に漢字を書くと思いますが、「一尺五寸」「八月一日」などは、数字を用いるのでしょうか、仮名でしょうか。
「とどろき」の場合、「騎」の説明を点訳挿入符で「キシノ■キ」と入れると、第1カッコの閉じ記号の中に点訳挿入符の閉じ記号が重なり、②③⑤⑥の点が3つ重なってしまいます。「てびき」p133に第1カッコの閉じ記号の後ろに点訳挿入符が重なる場合とその反対の例はあるのですが、中にある場合がなかったので、同様に考えて一マスあけるのか、中の場合は続けていいのか教えてください。
【A】
難読名字に関する原本で、この漢字の説明が必要な場合は、
カマツカ(数1シャク■数5スン)
ハッサク(数8ガツ■ツイタチ)
トドロキ(数88キ)
と書きますが、前後の文脈で、名字の由来などが説明してあれば、漢字の説明は必要ありません。
「キ」が「騎」であることを説明しなければならない場合は、一度カッコを閉じた後、一マスあけて、点訳挿入符で説明することになります。
トドロキ(数88キ)■点挿キバタイノ■「キ」点挿
なお、「キシノ■キ」は、「棋士」「騎士」など漢字が特定しにくいので、「騎馬隊」や「騎馬武者」のように特定しやすい例を用いるとよいと思います。
8.p191 1.ルビの付いた言葉の書き方 (2) 【備考】
「ルビの言葉が一般的であればルビだけを書く」とあるが、一般的かどうかはどのように判断すればよいでしょうか。判断の目安があれば教えてください。
【A】
「生命」「身体」などは、「せいめい」「しんたい」と読むか、「いのち」「からだ」と読むか迷います。その判断に助けを与えるようなルビは、ルビだけを書いてよいと思います。
「理由」に「わけ」、「夫婦」に「めおと・みょうと」、「乳母」に「めのと」とルビが振ってある場合なども、「ワケ(リユー)」「メオト(フーフ)」「メノト(ウバ)」とは書かない方がよいと思います。
「香草」「竪琴」「旅券」「使用者」の場合は、「ハーブ」「ハープ」「パスポート」「ユーザー」に漢字を当てはめたような使い方ですので、ルビだけを書いたほうが自然な言葉です。
アポイント(ヤクソク)、リタイア(タイショク)、リユース(サイリヨー)、リサイクル(サイシゲンカ)などは、ルビの言葉より漢字の方が意味が分かりやすいので、外来語で読ませるに当たって、漢字を示すことで文脈上の意味合いを伝える意図が込められていると考えられますが、ルビだけを書く用例としている「ハーブ」「ハープ」「パスポート」などは漢字よりもルビの言葉の方が一般的で分かりやすくカッコ書きを入れることに、読み取り上メリットがないともいえるのでしょうか。
あまりメリットがなくても原文の書き方を伝えなければならないという考えもあるかもしれませんが、墨字はルビと漢字を同時に読み取れるのに対して、点字ではカッコ内も逐一読まなければならないので、文脈を中断するデメリットもあります。そのあたりも考慮して判断することが必要となります。
9.p191 2.ルビの付いた言葉の書き方 (2) 【処理】
ルビのついた漢字の用例についての質問です。
犯罪小説の点訳をしており、隠語と思われるルビのついた言葉が多く出てきます。
たとえば、拳銃(チャカ)、連絡(ツナギ)、面倒見(ケツモチ)などです。
隠語ではありますが、犯罪小説にはよく見られる言葉ですから、1回目はチャカ(ケンジュー)、ツナギ(レンラク)、ケツモチ(メンドーミ)などとし、2回目以降は、ルビのみを書いています。
質問は、この点訳本が複数巻の場合、ルビと漢字本来の読みを書く処理は、最初に出てきた巻のみでいいのか、それとも巻ごとの1回目に処理をしておく必要があるかどうかです。
【A】
犯罪小説などにはよく見られる隠語のようですし、「ツナギ」などは、(連絡)と書いていなくても想像がつきますので、一度、ツナギ(レンラク)と書けば、後は必要ないと思います。
ただ、初めて見る人には、思い出しにくい言葉もあると思いますので、想像が付きにくいような隠語は、各巻で初出の時に、チャカ(ケンジュー)のように入れるのがよいと思います。
全ての語で統一した処理をしなくてもよいと思います。
10.p192 2.ルビの付いた言葉の書き方 (2) 【処理】
ルビの付いた語の2回目以降の書き方について、「てびき」では「文脈から判断して、ルビを書くか元の漢字の読みを書く」とされています。最初に「アポイント(ヤクソク)」と点訳した場合、2回目以降は「アポイント」としても「ヤクソク」としてもいいのでしょうか。
原文で2回目以降も「約束」と書いてあると「ヤクソク」と点訳しがちですが、言葉の使い方に差がない場合は、「アポイント」と校正した方がいいのでしょうか。
【A】
原本全体の文体や舞台、背景、文脈などによって、どちらにするか判断することになると思います。
漢字に外国語のルビが振ってある場合は、翻訳物かどうか、物語の舞台や人物の設定などを考慮して読みを決めるのがよいと思います。
1箇所だけにルビがある場合は、そこだけ異なったニュアンスで書かれているのかどうかも判断する必要があると思います。
また、日本語であれば、一般的で読みやすい語に、馴染みのない長い原音でルビがある場合も、すべて原音で書いた方がよいのか、判断することが必要になってきます。
11.p191 1.ルビの付いた言葉の書き方 (2) (3)
ルビの書き方について、(2)か(3)かで迷います。
①「GP」に「グランプリ」のルビ
②「GP」に「grandprix」のルビ
③「GP」に「ジーピー」のルビ
④「グランプリ」に「GP」のルビ
⑤「グランプリ」に「grandprix」のルビ
⑥「grandprix」に「グランプリ」のルビ
⑦「grandprix」に「GP」のルビ
とあった場合、ルビを先に書くのかどうかは、どのように考えればよいでしょうか。
また、「てびき」p192の1行目の【処理】は、p191の(2)の場合のみ適用されるのでしょうか。
【A】
「ルビを振る」(ふりがな)の本来の目的は、読者が読めないかもしれない漢字や原語の読み方(発音)を知らせる、またはこの漢字はこう読んでほしいという著者の意図を伝えることです。ですから、原文の文脈でどう読む(発音する)のが適切かを判断し、それを先に書くのがよいと思います。
仮名や略記に原語が付いている場合は、それはほとんどの場合、本来の「ふりがな」の目的ではなくて、言葉の説明ですので、「てびき」p192の(3)にあたると思います。
ご質問の①~⑦について考えてみますと
①③⑥は、「てびき」p191(2)に当たると思いますので、
① グランプリ(GP)
③ ジーピー(GP)
⑥ グランプリ(grandprix)
②⑤は、「てびき」p192(3)に当たりますので
② GP(grandprix)
⑤ グランプリ(grandprix)
と書くのがよいと思います。
④は、その原本で、「GP」と読ませたいのか、「グランプリ」と読ませたいのかによって判断が異なるように思います。「GP」は「グランプリの略語である」との説明であれば(3)に当てはまると思いますし、これ以降「グランプリのことをGPと書く」というような趣旨であれば、(2)に当てはまるように思います。
⑦は、「grandprix」に「GP」のルビがあることをどう解釈するかですが、「grandprix」の略称が「GP」であることの説明であれば、(3)にあてはまると考えられます。
原本の文脈や、原本全体の語の表し方(カナが多いか原語が多いかなど)によっても、判断が異なってくる場合があると思いますので、ルビの目的を考慮しながら書くことになります。
以上のことから、p192の上の【処理】は(2)だけの処理になります。
12.p191 1.ルビの付いた言葉の書き方
p192(3)や「てびき3版指導者ハンドブック5章編」p52③に、ルビが言葉の説明などを示している場合は、ルビをカッコ類で囲んで書くとあります。
用例にある「チョモランマ」や「ゲル」にあるルビは、辞書では各々の言葉の説明内容に記されています。この場合のように、辞書の説明文にルビの言葉の記載があれば(辞書によるかもしれませんが)、ルビが言葉の説明をしていると判断するのでしょうか。ルビが言葉の説明をしているという判断はどのように考えて行えば良いのでしょうか。
また原本に以下があります。カッコ内はルビです。
①造物主の芸術(わざ)の完璧(まったき)を褒め
②造物主の意図(こころ)と計画(もくろみ)を知ること能わず
③わたくしは人の精神(こころ)と、頭脳(あたま)と、言語(ことば)とを愛しています
④思念(おもい)と詞(ことば)とを乳として彼は育った。
⑤おのれのものと他者(ひと)のものとの区別のないささやきが渡っていった。
これらのルビは、言葉の説明もあったり、当て字での読みもあったり、⑤などは本来の読みでなかったり、「こころ」などはおなじ読みでも漢字が異なったりしています。これらはどのように考えたらよいでしょうか。
【A】
ご質問の①~⑤は、「てびき」p191 1.の(1)か(2)か【備考】に当たるかをその都度判断する例になると思います。
筆者はルビのほうの読みを取りたいわけですので、ルビを書いて、必要に応じてカッコで本来の読みを補うことになると思います。
p192(3)の場合は、ルビはあくまでも補足説明で、文脈は本来の地の文の方で繋がっていくことになります。
ご質問の①~⑤は、この本の他の部分でもこのように著者特有の読みが多い本なのでしょうか。聖書などのような場合は、ルビだけを書いても良いと思いますし、そうでない場合も、本全体の用語から判断し、芸術(わざ)、意図(こころ)以外は、ルビだけ書いてよいように思います。
漢字の本来の読みとルビの両方を読ませることを意図したものというよりは、読みを指定する意味合いが強いので、このような場合は、杓子定規に本来の読みを補うと、かえって滑らかに読みにくくなることがあります。墨字の場合は、元の語とルビの両方を同時に読み取りますが、点字の場合は、そのつど、ルビを読み、次にカッコ内の読みを読まなければならないことになりますので、その点も考慮に入れた方がよいと思います。
13.p192 1.ルビの付いた言葉の書き方 (3)
英語にルビが付いている場合についてお尋ね致します。
「てびき」では、仮名に、英語のルビが付いている例だけなので、迷っています。
いじめ防止アプリ 「Stop it」
この「Stop it」に、ストップ イット とカタカナのルビが付いています。
このようなとき
イジメ■ボーシ■アプリ■「ストップ イット(引大stop it引)」
イジメ■ボーシ■アプリ■「引大stop it引(ストップ イット)」
のどちらがよいのでしょうか。
もう一例、下記のLINEに「ライン」とルビがあります。
公式LINE開始
コーシキ■引大大LINE引(ライン)■カイシ
コーシキ■ライン(引大大LINE引)カイシ
どちらでしょうか。
【A】
ご質問の例は、正式名称をアルファベットで書くアプリなどに読みやすいようにカタカナをふったものと思います。
文脈上、先にアルファベットで書いて、読みをカッコで説明するのがよいと思います。アルファベット(外国語)を読むのが支障ない方は、カッコ内を飛ばして読むことになると思います。「てびき」ではp192の(3)にあてはまると思われます。
なお、外国語引用符を閉じた後にカッコ類を書く場合は、その間を一マスあけます。「てびき」p107 (4)を確認してください。
イジメ■ボーシ■アプリ■「引大Stop■it引■(ストップ■イット)」
コーシキ■引大大LINE引■(ライン)■カイシ
となります。
14.p192 1.ルビの付いた言葉の書き方 (3)
次のような文が本にありました。
先日ドイツ人の書いた『Das Integrationsparadox(統合のパラドックス)』という本をよみました。
(Das Integ~の上に、ダス インテグラチオーンパラドックス とルビがついています。)
この項のQ&Aでは、アプリ名なので先に外国語を書くとありますが、上は、ドイツ語の本のタイトルです(著者はドイツ語の本を読んでいます)。この場合、ドイツ語を先に書いてから、ルビをカッコ内に書くべきか、普通の場合のように、ルビ(ドイツ語)と書くべきか、悩んでいます。
日本の雑誌などでも、雑誌名が外国語のアルファベットで、ルビがついているものもあります。考え方などもあわせて教えていただけると嬉しいです。
【A】
余り馴染みのないドイツ語に読みやすいようにルビを振ったのだと思いますので、この場合は、「てびき」p191【処理】と同様の考え方で、ルビを先に書くのが親切だと思います。
『ダス■インテグラチオーン■パラドックス(引大Das■大Integrationsparadox引■トーゴーノ■パラドックス)』と、ドイツ語と日本語は一つのカッコの中にまとめて書いてよいと思います。
原語にルビが振ってある場合は、原語を読みにくい(読めない)人への配慮ですので、多くはルビの方を先に書いた方がよいと思いますが、多くの人に馴染みのある一般的な英語や、Q&Aにあるアプリ名などは、ルビをカッコで囲んでそこは飛ばし読みもできるようにした方がよいと思います。
15.p192 1.ルビが付いた言葉の書き方 (3)
中国語の原音のルビについて質問します。
図書は中国に駐在の経験のある人のエッセイです。漢字の音読みのルビはひらがなで、中国語の原音読みのルビはカタカナで振られています。
高級幹部に「カオチーカンブ」、不慌不忙には「プーファンプーマン」のルビがあります。中国語原音のルビは切れ目なく一続きに書くのでしょうか。
日本語にもある漢字の文言、高級幹部はカッコつきで(こーきゅー■かんぶ)と入れることはできるでしょうか。
また、漢字が7、8文字が一続きに書かれた文章、あるいは格言の記述があり、一字ずつに原音のルビがあります。この原音ルビは全体を一続きに書くのでしょうか。
【A】
中国語のルビも仮名で書かれた外国語ですので、「てびき」p26「外来語・外国語の書き方」【処理4】に従った上で、語のまとまりごとに区切って書きます。
「カオチー■カンブ」(高級幹部)、「プーファン■プーマン」(不慌不忙)のように、漢語からなる複合語の切れ続きに準して、それぞれ対応する原音の部分を区切って書くのが読みやすいと思います。
文脈によって、
1.原音ルビを先に書いてカッコ内に日本語の音読みを添える
2.日本語の音読みを先に書いてカッコ内に原音ルビを添える
3.原音ルビだけを点訳する
のいずれかを選択することになります。
「高級幹部」の例は1.か2.が良いと思いますし、「不慌不忙」のように漢字の音読みから語の意味が伝わりにくい場合や、日本では見ないような漢字が使われている場合、「ニーハオ」のように中国音が私たちにもなじみ深い場合などは、3.の処理をし、必要な場合のみ、晴眼者が漢字からイメージできる意味合いを点訳挿入符内に補ってはいかがでしょうか。
(例)プーファン■プーマン((アワテズ■イソガズ)) など
だいたいの意味は文脈から推察できることも多いので、説明は必要最小限にします。
漢字7・8文字から成る格言も、原音ルビを漢字一文字ずつに区切るのではなく、てびきp70(3)に準じて漢語としての意味のまとまりを考え、原音ルビもそれに対応した区切り方をすることが原則になると思います。
16.p192 1.ルビが付いた言葉の書き方 (3)
中国文学の点訳中で、ルビの取り扱いで悩んでいます。
原音読みのルビがありますが、全て大文字のカタカナ表記です。
1.「点訳フォーラムQ&Aのまとめ2」のp192の回答に
文脈によって、
1.原音ルビを先に書いてカッコ内に日本語の音読みを添える
2.日本語の音読みを先に書いてカッコ内に原音ルビを添える
3.原音ルビだけを点訳する
のいずれかを選択することになります。
とありますが、一冊の本の中でこの三つの方法が混在してもよいのでしょうか。
2.大国防にダアグオフアン、金城にヂンチヨン、長安街にチヤンアンヂエのような表記で小文字とも思われる場合や、明らかに判断できない場合もあります。
毛沢東にマオズオドン、広東にグアンドン、水蛇腰にシユイシヨヤオ、府右街にフーヨウジエのルビがあります。どのように書けばよいでしょうか。
【A】
1.中国語の場合、現地音のままでなじみのある語(料理名やお酒の名前など)もあれば、漢字の音読みでなじみのある語(人名や地名など)、どちらでもなじみのない語などさまざまなケースがありますので、三つの方法が混在してもやむを得ないと思います。
2.ルビがすべて同じ大きさで促音や拗音が用いられていない場合は、発音を考慮して適宜、拗音、促音を使用した読みに直す必要があると思います。
大国防 ダアグオフアン ⇒ダアグオファン
金城 ヂンチヨン ⇒ジンチョン(「ヂ」はてびきp25処理2に従い「ジ」を 用います)
長安街 チヤンアンヂエ ⇒チャンアンジエ
毛沢東 マオズオドン ⇒マオ■ズオドン
広東 グアンドン ⇒グアンドン
水蛇腰 シユイシヨヤオ ⇒シュイショヤオ
府右街 フーヨウジエ ⇒ フーヨウジエ
17.p192 1.ルビが付いた言葉の書き方 (3)
原文にルビがあるとき、それが「読み」なのか、「説明」なのかをどう区別すればよいのでしょうか。
「渋谷一夜物語」に、「シブヤンナイト」のルビがあるとき、「シブヤンナイト」を先に書き、「渋谷~」は後にカッコ内に書くということですが、その場合「シブヤンナイト」は読みと考えていいのでしょうか。
「全脳死」に「トータル・ブレイン・デス」とある場合は説明だと言われました。「序幕」に「プレリュード」、「幕間」に「インターリュード」とついているような場合、どう考えればいいのでしょうか。
【A】
説明かルビかは判断が付きにくい場合もありますが、
ルビは、「ふりがな」ですので、
難読の漢字に読みが付いている場合
いくつかの読みがある漢字の読み方が指定してある場合
漢字で書いてあっても、日本語として馴染みがある外来語と言い換えができる場合
アルファベットで書いてある語にカタカナで読みが付いている場合
などが、ルビ(ふりがな)に当たると思います。
シブヤンナイトは、アラビアンナイト(千夜一夜物語)にかけて書いてあり、この場合、「シブヤンナイト」と読ませたいので、先に書いてよいと思います。
「全脳死」を「トータル・ブレイン・デス」というのは、馴染みのある読みとしてふりがなを振ったのではなく、英語ではこのように言いますという説明になります。
「序幕」に「プレリュード」、「幕間」に「インターリュード」は、そこではルビの通り読ませることを意図しており、「てびき」の例でいえば「約束」にアポイントのルビがある場合と同様な例になります。
18.p192 1.ルビの付いた言葉の書き方 【処理】
岩波少年文庫新版の『ドリトル先生』シリーズ井伏鱒二訳について質問します。
本文中に家の漢字にルビとして、ウチとついた箇所、家そのままルビなしの箇所があります。
先生のウチ こんなウチにはいられない など。
ルビなしの箇所の読みについて、
1.逐語に読みをイエ、ウチを考える
2.ルビの箇所はウチ、ルビなしの箇所はイエと読み、その旨を、点訳書凡例でいれる。
1.の場合は、困難な箇所もあり、点訳者の恣意が入るのではないか。
2.は晴眼者の読みと同じ立場です。利用者さんにも、その箇所の読みを考えていただく。
などと考えました。どのような対処が適切でしょうか。
【A】
岩波少年文庫で、井伏鱒二の訳と言うことであれば、前の版でも同様のルビの処理がされているのではないかと推測します。そして、「家」をどうしても「ウチ」と読ませたいところに一貫してルビがついているのではないかと、これも推測します。
たとえば「我が家」の意であっても地の文にはルビがなくて、会話文にルビがあるなどが考えられます。読んでいて読者に違和感のないようになっているのではないでしょうか?
ですので、基本的に、ルビのあるところは「ウチ」で、ルビのないところは「イエ」と点訳してよいように思います。
ただ、この原本に限らず、一般的な処理として考えた場合、やはりその都度適切な読みを選択して点訳することになると思います。点訳は自動的、機械的な作業ではありませんので、そこに点訳する側の解釈・判断が入ってくることはある程度やむを得ないところがあります。迷うところは複数で相談することも必要になります。
語の読み分けが、物語の性質上、または文脈上、大きな意味を持つのであれば、原文でこのような使い分けがしてあることを、点訳書凡例で断ることもあるかもしれませんが、一般的には、点訳書凡例で断ることはないと思います。
19.p193 「コラム35」
萩原朔太郎の詩の中に、珈琲店に「かふえ」とルビがふってあります。この場合、カフェとしてもよいのでしょうか。このころの詩では、促音が小さく書いてないものが多いので、故意に「え」が大きいのかどうか悩んでいます。
また、同じ詩の中に、「ふおうく」という言葉も出てきますが、そのまま書くべきでしょうか。それとも「ふぉーく」と直してよいのでしょうか。
【A】
「かふえ」は「カフェ」と点訳してよいと思います。
「てびき」p193「コラム35」にあるように、ルビには小文字を用いない書き方が多く見られますので、点字では、現代の基本的な仮名遣いに従って書きます。
「ふおうく」は、ルビではないので、「てびき」p25の「外来語・外国語の書き方」に準じて書くことになります。「ふお」は「フオ」と原文のまま書きますが、「う」は、ひらがなで書かれているため長音を用いていないとも考えられます。点字での読みを考慮して、「フオーク」と書くのがよいと思います。
20.p193 2.マーク類の書き方
ツーバイフォー建築を「2×4建築」と書いてある時、読みの通り「ツーバイフォー」と点訳してよいでしょうか。
【A】
「2×4建築」の場合は、「ツーバイフォー」と読みだけを書くのがよいと思います。「×」を「バイ」と読み、かけ算をそのまま表しているとは言えませんので、「2×4」を、「2■カケル■4」と点訳したり、算数記号のかけ算で点訳するのは、適当ではないと思います。
クルマの4輪駆動を表す「4×4」もかけ算ではありませんので、「フォーバイフォー」と書くのがよいと思います。
21.p193 2.マーク類の書き方
「I♡東京」や「I♡TOKYO」などのハートマークは「ラブ」もしくは「LOVE」で点訳可能ですか。(原文では、どちらもIのあとは、ハートのマーク)
【A】
「I♡東京」や「I♡TOKYO」を、文脈から判断して「I love 東京」「I love TOKYO」と点訳することもあるかもしれませんが、その場合も、loveは「ハートマーク」であることを点訳挿入符などで補った方がよいと思います。
22.p193 2.マーク類の書き方
行頭にチェックマークを入れる□がついた文の□の書き方について質問です。
空欄符号、伏字符号は使えないので箇条書きとして□を省略してよいでしょうか。この1ページ後に「チェックリスト」として同じ文をまとめて書いた表があります。ここの書き方としては、見出しの後に点訳挿入符を使い次のようにしました。
「各項目のまえのチェックマークを入れる空欄の省略、便宜上各項目の始めにa.~j.の番号を付けた」というような内容を付記しました。
【A】
前の方は、□を省略して箇条書きにするのがよいと思います。
チェックリストの表の方は、お考えのように《○○ページと同じ文が掲載されています。各項目冒頭にチェックを入れる欄があります。》などのように点訳挿入符で説明するとよいと思います。冒頭に記号や番号を補うのが有効な場合もあると思いますが、単にチェックすることだけが想定されている場合は、番号なしの箇条書きでもよいと思います。
「○○ページ」には点訳書の該当ページを入れます。点訳でも前のページであれば「ゼンページ」でもよいと思います。
23. p193 2.マーク類の書き方
架空の人種が話す会話文で謎の文字が出てきます。
アルファベットの「N(エヌ)」をフニャフニャに曲げたような形です。数多く使用されており、各々の場所で数も異なります(連続して同じ文字が書かれています)。
ゲームの世界のため会話文には点線や棒線が多数出てくるため点訳挿入符で「不明」と入れ凡例に書きました。
会話文なので読点もあり、文字数も違うので「不明」だけでは不十分と校正で指摘がありました。どのような工夫があるでしょうか。
例1.
とりにんげんわ、ことばとすら おもえない きみょーな おとで こたえた。
「≪ふめい≫」
例2
「≪ふめい≫!」
ふりむくと、かぎづめの はえた ひだりてで がけを ゆびさして いる。
例3
「しのん さん、 もー ≪ふめい≫のですか?」
例4
「そーですか…。ぼくわ ばしんぞくに ≪ふめい≫ ことわ ありませんが、 なんとーの ぎよる へいげんを おーだん するなら ≪ふめい≫な じゅんびが ひつよーです。・・・」
のように出てきます。
【A】
例を読むと、点挿で囲んで「フメイ」でもよいかもしれませんが、メの字で表せば、もっとスッキリするように思いました。
基本はメの字3マスで表し、どうしても2語であることが必要な場合は、間にマスあけを挟んで、メの字6マスで書くこともできます。うしろに助詞、助動詞や句読符も続けて表すことができますので、スッキリするのではないかと思います。
もちろん、点訳書凡例で断ります。
24.p193 2.マーク類の書き方
広報の点訳で、広報原文にQRコードがあるという事を説明するために
〇〇〇~。(ここまでが文)
のあとに、そのページのどこどこに関連のQRコードの記載ありと説明をいれる際、原文の句点で改行し、次行二マスあけてから点訳挿入符内にQRコードの記載がある説明文が書かれている場合。(だいたい2行程になっています)
・・・本文・・・・・・・。改行
■■点挿QRコードが~あります。点挿 改行
■■本文・・・・・・・・・・・・・・。
上記のような形です。
本来の使い方とは違うような気はするのですが、表を書く場合は表の中で点訳挿入符で表の形式等の説明を入れて書くので、間違いとは言えないのかと校正せずそのままにしていますが、どうなのでしょうか。
【A】
点訳のままで、間違いとは言えないと思います。
ですが、広報の場合、おそらく毎号に多くのQRコードがあって、説明を入れることも多くなると思います。急速にQRコードの表示が多くなってきましたので、毎回丁寧に説明していると読んでいて邪魔になることもあるかもしれません。
広報の場合は、第1カッコで(ページ右下にQRコード)ぐらいの簡潔な説明の方がよいように思います。
このような説明は、どの書き方が間違いと言うことはありませんが、話し合って毎回決まった説明をするのがよいと思います。
たとえば、短いお知らせがたくさんあって、その全てにQRコードが付いている場合もあります。そのような場合は、見出しの下に(各項目の最後、右下にQRコードあり)のようにまとめてもよいと思います。
25.p194 2.マーク類の書き方 (4)
ポプラ社のPR誌名、 asta* の書き方についてお教え願います。
Astaの右肩についている*は実際には読まないもので視覚的な装飾と考えて点訳では省略してもよいのでしょうか。記号のアステリスクを用いて書くのでしょうか。
【A】
読みは「アスタ」で、「*」は読みませんので、「*」は点訳しないでよいと思います。「*」が付いている場合も付いていない場合もありますし、これは、実際のデザインとしては「アステリスク」の記号では無く、「花」の模様のように見えます。花模様を記号化して書く場合に「*」の記号を用いているようです。
26.p194 2.マーク類の書き方 (4)【処理1】
著作権を意味する丸Cマークや登録商標を示す丸Rマークは、「普通は省略する」とあります。ここで言う「普通」の範囲が分かりにくいので、省略できる場合の一例を示していただけないでしょうか。
また、特に示す必要がある場合の処理の中に、第1カッコを使う方法がありますが、その場合カッコは前に続けますか、それともマスあけしますか。
【A】
この記号は、「省略することを原則とする」とまでは言えませんが、一般にほとんど省略するという意味で書いています。この後ろに「特に示す必要がある場合」とあるように、記号を特に示す必要がある場合だけ書きます。
例えば、「登録商標は、丸Rの記号で示されます」と記号の形を説明する場合や、著作権や登録商標に関する本などで、そのマークが付いている場合と付いていない場合を区別しなければならないような特殊な本の場合は、省略しない方がいいのかもしれません。専門書であっても、薬の名前が列挙してあってそれにすべて?が付いている場合なども、省略しても差し支えないと思われます。
CやRをカッコで囲んだ場合は、(株)などと同様に、その前を一マスあけます。
27.p194 2.マーク類の書き方 【処理1】
音楽CDの小冊子中の英文に使われている記号(マーク)の書きかたを教えてください。
(P)2020 Seiji Ozawa Matumoto Festival
(C)2020 Universal Music Operations
なお、(P)は、丸囲みのP、(C)は丸囲みのCです。
【A】
丸囲みのPは、サウンドレコーディングコピーライトで録音、音源の著作権者、
丸囲みのCは著作権者を表しています。
英語では、記号で書かずに適切な言葉に置き換えて書くことになります。
この2行を点訳する場合は
Sound Recording Copyright 2020 Seiji Ozawa Matumoto Festival
Copyright 2020 Universal Music Operations
と書くようになると思います。
ただ、一般には、CDの内容に関するところだけを点訳し、
おそらく小さな文字で書いてある著作権に関する表示は、通常は省略します。
28.p193 2.マーク類の書き方
宣伝パンフレットに「詳細はこちら→」とあり、URLのQRコードがあります。どうすればいいでしょうか。
【A】
最近、パンフレットもそうですが、広報誌などでも、このような表現が多くなりました。
原文通りに「詳細はこちら →」とだけ書いても意味がありませんので、点訳に当たっては、
ショーサイワ■コチラ■→■原文○○ページ右下にQRコードあり
または、単に「QRコードあり」「墨字版にQRコードあり」といれるなど、原文に合わせて、QRコードがあることを知らせるのがよいと思います。
点字資料を読む方が自分でアプリを操作しなくても、周囲の人に検索してもらって情報を得ることもできます。
原文の種類や、同じ情報が原文に掲載されているなど、QRコードの情報が不要と判断した場合は,省略することもあります。
原文の種類や文脈によって判断してください。
29.p193 2.マーク類の書き方
敬語の基礎は、動詞の尊敬形と謙譲形を使い分けること(例、○尊お尋ねになる、
○謙お尋ねする)なのですが、この○尊と
○謙の形がそろっていない動詞が大量にあるそうです。
〈○尊、○謙は丸のなかに尊、謙が書かれています。〉
これを①のように(尊)と点訳して外側のカッコを第2カッコにするのでしょうか。
またその時(尊)の後ろは一マスあけでしょうか。
【A】
この表現はここだけでしょうか、それともこのあと、○尊、○謙 の表現が複数回使用されるのでしょうか?
ここだけの場合は、○尊、○謙の略記は用いずに、
(例、■尊敬形■お尋ねに■なる、■謙譲形■お尋ね■する)なのですが、■この■尊敬形と■謙譲形の■形が■~
と書く方がよいと思います。
このあと、複数回使用される場合は、第1カッコを用い、(ソン)、(ケン)として
(例、(ソン)■お尋ねに■なる、■(ケン)■お尋ね■する)なのですが、■この■(ソン)と■(ケン)の■形が■~■大量に■あるそうです。■■点挿尊敬形が■(ソン)、■謙譲形が■(ケン)で■表されて■いる。点挿
のように断って書くとよいと思います。
なお、第1カッコの中に第1カッコになっても、この場合、誤解を招くことは無いと思われます。
30.p194 2.マーク類の書き方 【処理2】
文章や言葉に続けて、w があります。
「○○○w」、○○○www
○○○(それ草生えるな) などです。
ネット上の表現で 笑い、ワラ と読むらしいです。
また、(それ草生えるな)はすごく笑える時、W がたくさんつながると草が生えてるように見えるところから、きているようです。こんな表現の点訳はどうしたらいいか教えてください。
【A】
SNSなどで、笑 を示す記号として w は一般的になっていると思いますので、特に、注記など必要ないと思います。
一マスあけて(句点があれば二マスあけて)外w と書いてよいと思います。
記号としては、小文字、全角のw のようですので、小文字がよいと思います。
「~ナンテ■外w」
「~ナンテ■外www」
「~ナンテ■(ソレ■クサ■ハエルナ)」
となります。
31.p194 2.マーク類の書き方 【処理2】
<DV顔だと思う人グッドボタン↓↓↓>
コメントの書き込み欄に書かれたものです。
この下向き矢印をどう表現すればよいか悩んでいます。
意味としては、下にあるグッドボタン(いいね)を押してねということかと思いますので、「グッド■ボタン■押して■押して■押して」といった感じでカナ書きにするのがよいのかなと考えますが、そうすると、原本で下向き矢印で書かれていることがわからず、それでいいのかなという迷いが生じます。
文末のマークと考え、「グッド■ボタン■(押して■押して■押して)」と書いた方がよいでしょうか。
点訳挿入符で((下向き矢印3つ))などの説明を入れると野暮ったく感じますし、物語・文章のテンポも崩れてしまうように感じます。
【A】
このような記号が、ここ1カ所でしたら、点訳挿入符で処理をするのが最も確実な方法だと思います。
「グッド■ボタン 点挿 押してほしいことを表す下矢印が3個 点挿」
1例として、このような書き方ではどうでしょうか。
ほかにもこのような記号が出てくる場合は、原本全体の雰囲気に合わせて、それぞれの記号の読みを決めて、点訳書凡例で断って使用するのもよいと思います。
下矢印は「オシ」で「下矢印3個は、数3=オシ」
などになると思います。
32.p194 2.マーク類の書き方 【処理2】
SNSのやりとりの中の >> という記号について
原文は
184:真っ暗:06/16 23:06:13
でも、みんなそうなんじゃない?
そうじゃない死に方って、どんなの?
>>168
アドバイス、ありがとうございます
嫌味じゃないです
教えてもらって感謝してます
この文章の前に、168で投稿があり、それに対する >> です。
>> は、「RE」のことだと思います。
「Re:」は「~ついて」で返信メールの件名の前に自動的に付けられる記号で、読み方に決まりはなく、あえて読むとしたら、「リ」や「リー」、または「レ」や「レー」と読まれているとのことですが、無視してしまうと、文意がわからなくなると思います。
点訳書凡例で
SNS等で「~について」の意味で使われている大なりの記号(RE: の意味)は、 ②⑥ ②⑥ で表しました。
のようにしてみましたが、特に注意をひくものではないのに第2星印を使ってよいのか疑問があります。アドレス囲み符号で囲んで、情報処理のようにしたほうがいいでしょうか。他に >> を表す方法はないでしょうか。
【A】
SNS・メールなど用語では、Reply(返信)といわれる記号のようで、responseと微妙にニュアンスが異なるようですが語源は同じのようです。
メールの件名に付く「Re:」や、相手の文面の引用の行頭全てに付く > などと意味は同じようです。今回のご質問には > が二つ重なっています。
これらの処理方法ですが
1.メールの件名にある場合、
2.文が引用されて、全ての行に > が付いている場合、
3.文中に >>168 のように、書く場合
では、書き方が自ずと異なってきますし、>> だけでなく、@を書くものもあるようです。
1.は、外字符 大文字符Re または、外字符 二重大文字符 RE でその後二マスあけて、件名を書いてよいと思います。二マスあけ以外に棒線もあるかもしれません。
2.この場合は点訳挿入符で 《以下、○○のメールの引用》のように断るのがよいと思います。
3.点訳書凡例で断って、(外大Re) (外re) などと、第1カッコで囲んで入れてはどうかと思います。
>> 以外の記号の場合も使うことができますし、分かりやすいように思います。
第2星印などの記号類を用いると、いくら凡例で断ってもその記号本来の用法とは異なりますので読んでいて違和感があると思います。
【新規】p194 2.マーク類の書き方 【処理2】
ネットへの投稿をまとめたと思われる書籍の点訳です。様々な顔文字が頻出していますが、すべて省略して句点や読点に置き換える処置をして良いのでしょうか?
笑い顔一つにも様々な種類があるようで、ニュアンスを伝えるのは非常に難しいのですが、ただ(エガオ)や(ガッカリ)などとするのも違う気がします。
あるいは凡例などで、「顔文字頻出ですが、句点、読点に置き換えました」などと断る必要があるでしょうか。
【A】
原本の雰囲気がわかりませんが、点訳書凡例で 「顔文字が頻出しますが、すべて句点、読点に置き換えました」と断るのも一つの方法だと思います。
笑顔にもいろいろな顔文字が用いられているようですが、それを笑顔はすべて(エガオ)として統一して書くのも一つの方法だと思います。点訳書凡例で「原本には多種多様な顔文字が頻出するが、(エガオ)(ガッカリ)(イカリ)(ナキガオ)の4語に統一して書きました」などと断ってもよいと思います。
わかりやすく、伝えやすい方法を選択して点訳すればよいと思います。
33.p195 2.マーク類の書き方 【処理3】
登場人物が歌っているときの書き方を教えてください。
「♪たーてのいとはあーなたーよーこの・・・」
「(オンプ■マーク)■
「(オンプ■マーク)■■
と、マスあけを迷っています。
他に、オンプマークと書く以外の点訳方法がありますか。
【A】
歌詞を示したり、登場人物が歌っていることを表す、文頭のオンプマークや庵記号は、省略するのが一般的です。
ほとんどの場合、前後の文脈や、リズムに合わせて長音が使われていたりするので、マークがあることを書かなくても、歌詞であることが分かります。
p195【処理3】にあるのは、句読符の代わりに用いられているハートや音符マークを言っています。
34.p195 2.マーク類の書き方【処理3】
《ネスカフェのインスタントコーヒーのCMといえば、なんといっても遠藤周作と北杜夫が有名である。♪ダバダ~♪なCMにより、この二作家の作品を、あこがれの心理で読む若者が、当時は急増した。》
と原文にあります。「ダバダ~」の前後にそれぞれ音符マークがあります。
この音符マークの処理はどのように考えたらよいでしょうか。
【A】
音符の記号で囲まれていますので、カギ類で囲んで「ダバダー」とするのがいいのではないかと思います。前後の文脈と「ダバダー」でメロディであることが分かります。
35.p195 3.数の略記
下がり数字は、まえがきなどのページづけや、索引の巻数などを表す時に使っていますが、アラビア数字と漢数字が混在しているときに、漢数字だということを表すのに使うことはできるのでしょうか?BESの画面上は下がり数字が漢数字で表示されるけれど、本文中で、漢数字を表すために使うことはできないと思うのですが。
【A】
点字編集画面で下がり数字が漢数字で表されるために、本文中に漢数字が出てきたときに下がり数字を使ってしまう方がいますが、それは誤りです。一般に、漢数字で書かれていても、数量や順序を表す場合は、数符を用いて数字で書きます。
法律条文などでは、項はアラビア数字で、それより小さい号は漢数字で書かれていますが、そのような場合は、漢数字の方をカッコに入れた数字にする等して区別をします。このように、アラビア数字と漢数字が混在していて区別の必要がある場合は、レベルの大小によって、なにもつけない数字と、ピリオド付き数字、カッコ囲みの数字にするなど、レベルの違いを正しく読み取れるように工夫が必要になってきます。
上記のような場合以外で、特別に漢数字であることに意味があり、それを区別する必要がある場合は、普通の数字を書いた後で、点訳挿入符で「漢数字」などと入れます。または、本全体に区別する必要がある場合は、点訳書凡例で、「この本では、漢数字を下がり数字で表す」のように断る必要があります。
36.p195 3.数の略記
数の略記についての質問です。「営業時間9時~24時」と「営業時間9:00~21:30 年中無休」と同じ文の中に出てきます。この場合、略記で書かず、9時から21時30分と分かりやすく点訳するのでしょうか、それとも原本に従って点訳するのでしょうか。また、略記を使った場合は必ず点訳書凡例を書くものでしょうか。
【A】
「てびき」は一般書を「サピエ図書館」にアップすることを基準として規則や処理を述べています。プライベートサービスや広報、読者を限定した点訳書などについては、読まれる方の希望などを考慮して決めていただいて構いません。
「サピエ」の読者には、点字の規則に精通した方、読み慣れた方もおられますが、略記や英語などを読むのに不慣れな方も多くおられますので、略記を用いたら、点訳書凡例または点訳挿入符で断る規則になっています。
一般書では、「数9ジ~数21ジ■数30プン」のように書くのがよいと思います。「9:00~21:30」と書かれていることが、文脈上必要だったり、何度も出てくる場合は、点訳書凡例などで断って略記を用います。
37.p195 3.数の略記
小学3年生の算数の教科書で、ストップウォッチが示す数字をどのように点訳すればいいのか悩んでいます。
10秒00を示すのに、0:1000と10秒の後に小さい00があります。数0②⑤1000 になるのでしょうか。このように書くと1000秒と思われないでしょうか。ストップウォッチを見て何秒か答える問題です。
【A】
0:01 のようなデジタル表示の場合は、デジタル時計の説明をする要領で、
「ストップウォッチで10秒は、数00②⑤10のように表します。2分5秒は、数02②⑤05となります」のように説明をしてから、「てびき」p195の「数の略記」にある、10:40の書き方で点訳をしてはどうでしょうか。
10秒より短い時間の表示がある場合は、「ストップウォッチでは秒より短い時間も計ることができます。秒より短い時間は小さい数字で書かれていますが、点字では次のように表します。
10秒 = 数00②⑤10②⑤00
2分5秒 = 数02②⑤05②⑤00」
のように説明します。
または、先生や親御さんと相談できるのでしたら、小学3年生なので小さな数字の部分は省略して点訳するなどの工夫をしてもよいと思います。
38.p195 3.数の略記
黒く四角いプラスチックの上部に赤いデジタルの『88:88』という表示点滅した。
この部分の点訳に迷っています。
「数8■数8■コロン」などと表記して、わかるものだろうかと思案しています。
【A】
「88:88」という表示は、種々のデジタル表示画面で、正常な表示ができない場合や準備ができていないときなどに見かけます。時間表示に限ったことではないのですが、「数88②⑤88」(②⑤の点の後ろに数符を付けない)の表記が最も自然な書き方だと思います。
この場合、「てびき」p195 第5章 その5 「3.数の略記」のところで、点訳書凡例などで断るようにという注意がありますので、この箇所ではなく、点訳書凡例で、
数88②⑤88は、数88■コロン■数88と書かれていることを表します。
などと断ればよいと思います。本文の該当箇所に書くと長くなって文の流れを断ち切ってしまいそうに思います。
39.p195 3.数の略記
原文で
防大生の朝は早く、0600には起床します。(防大や自衛隊では「:」なしで時刻を表示します)。
と書いてあります。原文の「0600」は 数符0600と書いて、「:」は「コロン」と言葉に置き変えていいでしょうか。
【A】
数0600では時刻の略記かどうか分かりませんので、日時の略記を用いて 数06②⑤00と書き、(防大や自衛隊では「:」なしで時刻を表示します)。のところで、「:」を「コロン(②⑤の点)」と書いたらどうでしょうか。
数の略記を用いる場合は、点訳書凡例で断わりますので、数の略記を用いたことと、「原本ではコロンは用いられていないが、点訳では②⑤の点を使用して表した。」のように断わればよいと思います。
40.p196 4.原文の誤字・誤植の扱い
地元関係の本を点訳していて、明らかな誤字が多数あります。直してよいでしょうか。
【A】
原本の誤字については「てびき」p196の4.ならびに「コラム36」に準じて処理をしてください。明らかに誤りと思っても、念のため、原本ページと原本表記、それに正しいと思われる表記を書いて一覧にして、点字図書館から出版社に確認をするのがよいと思います。ほとんどは間違いであっても、中にはこちらの勘違いということもあるかもしれません。
地名などの明らかな誤字は、修正して、正しい情報を伝えるのがよいと思いますが、確認を怠らないようにし、慎重に取り扱う必要があります。
41.p196 4.原文の誤字・誤植の扱い
時代小説にはルビが振ってある語句が多くあります。広辞苑など現在使っている国語辞典で調べると、辞書には載っていない読みもあります。例えば以下のような例です。このような場合は、原本のルビ通りに点訳していいのでしょうか。
腰高障子 ルビは(こしだかじょうじ)広辞苑は(こしだか しょうじ)
老中 ルビは(ろうちゅう)広辞苑(ろうじゅう)
九段坂下 ルビは(くだんさかした)広辞苑(くだんざかした)
【A】
現在発行されている書籍類、特に、読み物のルビは、作者自身が拘ってつけたものはほとんどなく、出版所の担当者が読者の便を図って、付けたものです。
固有名詞を含め、ルビの誤りも多くみられます。点訳に当たっては、ルビが付いていても、そのまま鵜呑みせずに、辞書などで調査することが望ましいと思います。
そうはいっても、調査しても不明な場合や、調査できないような市井の人名の読みなどはルビに頼らざるを得ないこともあります。
例に挙げられた「腰高障子」「老中」「九段坂下」は、広辞苑だけでなく、他の辞典で調べても「こしだかしょうじ」「ろうじゅう」「くだんざかした」の読みが正しいと言えますので、調査の通りに点訳してよいと思います。
42.p196 「コラム36」
推理小説で、実在する人物名のルビや漢字が明らかに間違っています。
『アイヌの神謡集』を翻訳した「知里幸恵(ゆきえ)」が、ルビは(さちえ)
アイヌの歌人、「違星(いぼし)北斗」を「達星(たつぼし)北斗」、また、地名で実在する与論島の「大金久(おおがねく)海岸」が(おおかねく)、正しくは「与論町役場」ですが、原本は「与論島町役場」などです。
推理小説では、架空の人名や地名もありますが、実在する場合(確認済)は誤植と考えて訂正してもいいのでしょうか。訂正してよいのであれば、点訳書凡例で断る必要がありますか。
【A】
小説とはいえ、実在の人物をそのまま登場させていて、ルビを間違えているのは気になります。
ただ、無断で修正しないで、施設・団体の長から、施設・団体として出版社に問い合わせるのがよいと思います。
その場合、具体的に、ルビと正しい読みの両方を書き、このように点訳してよいかを問い合わせます。往復はがき、または返信用の封筒(宛先を記入し、返信用の切手を貼って)を同封します。
ほとんど返信をいただけると思いますが、もし返信がなかった場合も、点訳書凡例で断って、修正して点訳してよいと思います。
ですが、もし、出版社からの確認がなかった場合は、修正は人名や地名など確実な箇所だけに止めた方がよいと思います。
43.p196 4.原文の誤字・誤植の扱い 【処理】
冤罪を疑われる事件(狭山事件)を取材した本を点訳しています。容疑者の手記、裁判での上申書の中に言葉の使い方や漢字の間違いがあり、原本に(ママ)と記されています。「てびき」p196 処理を読み、このような本の場合は(ママ)を入れたほうがよいのではないかと思いました。
〈例〉
① 外(「外」の字の上にママとあり)くの国民の間に →「多く」の間違い
ママを使用するのなら、原本のとおり、「ソトクノ(ママ)■コクミンノ・・・」とするべきでしょうか。
②戸迷い(「迷う」の上にママと)ました。→「戸惑いました」の間違い「トマヨイました(ママ)」
③心要ならば(「心」の上にママ)→「必要ならば」の間違い。「シンヨーならば(ママ)」
④狭山事件とに(「に」の上にママ)一体如何なる事件で、→「狭山事件とは」の間違いと思われます。
⑤生活レベルきしや(「きしや」の上にママ)持たないものである →「レベルしか」の間違いか?
⑥手具脛ひいて(漢字の上にママ)→漢字は間違っているが、読みは「てぐすね」なので間違ではない。
「ママ」をいれない場合、点訳者が判断した正しいと思われる表記に直してよいのか。すべてを原文どおりに書き「ママ」を入れる場合、⑥の漢字の当て字には、間違っている漢字の字の説明をいれることになるのか。また、①~③のような漢字の間違いは、そのままの読みを書くと、意味がわかりづらくならないかなどと迷います。
以下のように、点訳者の判断で(ママ)を入れたり、入れなかったりしてもよいのでしょうか
A. ⑥の当て字の場合のみ(ママ)を入れず、①~⑤は(ママ)を入れる。
B.①~③は(ママ)といれないで正しい読みに直し、④⑤のような助詞などの間違いにのみ(ママ)を入れ原文通りに書く。
どのような方法がよいでしょうか?
【A】
容疑者の手記や上申書に誤字が多いという情報は必要と思いますが、具体的に1箇所ずつ誤字と正しい表記を入れていくのは、読みにくくなるだけのように感じます。
1.点訳書凡例で、《容疑者の手記や上申書には誤字が多く、原本ではその箇所に(ママ)と入っているが、点訳では、(ママ)を省略し、正しい漢字の読みを記した。》のように断わり、正しいと思われる読みで点訳する。
その際、点訳書凡例にいくつか例を記載する。
多くの → 「おおく」の漢字が「そと」になっている
必要 → 「ひつ」の漢字が「こころ」になっている
などのように。
2.ただ、漢字の誤字ではなく、容疑者の言葉遣い(発音)の特徴が記してあるところはそのまま書いて、(ゲンブンノ■ママ)または(ママ)と入れるほうがよいかもしれません。このことも点訳書凡例で断ります。
⑤は、これだけでは判断が付きませんが、文章の中の誤字であれば訂正して書いてよいと思いますが、容疑者の発言(話し言葉)であれば「セイカツ■レベルキシヤ(ママ)」と書いてもよいと思います。
文章の中の誤字は、正しいと思われる表記で書き、容疑者の話し言葉の部分は、そのまま書いて(ママ)と入れるという方針ではいかがでしょうか。