参考資料

2 その他

1.

『初めての点訳第3版』には、連続の「メ」の点は、訂正のしるしとありますが、他にどんな意味がありますか

【A】

「メ」の字は、6点すべてを書き、分かりやすいため、いろいろな場面で使用されています。
① 「初めての点訳」にあるように、メの字を二マス以上連続すると訂正の印になります。
② 「てびき」p110にあるように、囲みの記号類の形を例示する場合に、開き記号と閉じ記号の間に二マス程度入れる
③ 点字で記号の形を説明するとき、③④⑤⑥の点の組み合わせてできている記号は、記号の高さが分かりにくいので、記号の前や後ろにメの字を入れる
④ ページ行に原本ページを入れる場合に、メの字で囲む場合もある
などです。そのほか、式の計算などの数字の伏せ字の代わりに使用したりします。
①~③は特に凡例などで断る必要はありませんが、それ以外は点訳書凡例などで断って使用するようにします。

2.

原本で(参照110ページ)などとある時、点訳では点訳書のページに書き換えてよいのでしょうか?それとも凡例や点訳挿入符などで断った方がいいのでしょうか。

【A】

特別に原本のページを示す必要がある場合を除いて、参照ページの記載は点訳ページに置き換えるのが一般的ですので、とくに説明を補う必要はありませんが、巻数を下がり数字で表したり、巻数とページ数をハイフンでつないで書いたりする場合は、その書き方を点訳書凡例で断ります。同じ巻の中のページを指す場合はページ数だけを書き、別の巻の場合は「ダイ3カン 50ページ」のように書いてもよいでしょう。
資料の性質によって、原本ページも知らせる必要がある場合は、記載する順序や囲み記号によって原本ページと点訳ページが区別できるようにして、そのことを点訳書凡例で説明します。

3.

原文で右記や左記とある場合、点訳では上記、後記とした方が良いのでしょうか。それともあくまで原文通りとすべきでしょうか。

【A】

文脈によって判断することになります。
「右に同じ」「左(さ)のごとく」のような慣用的な表現や、文章を指して「~については右記(左記)の通りである」という場合は、基本的には原文通りに書きます。
ただ、表や図の位置を示す場合や、「右ページに述べたとおり」など具体的な位置を示している場合は、点字では「ウエノ」「シタノ」「○○ページ」など、点訳書での位置を示す表現に換えるのが一般的です。
この下のQ&Aには、言い換える場合の注意点がありますので、参考になさってください。

4.

原本で「前ページ」「右ページ」「p123」とある場合に、点訳ページに書き換えてよいでしょうか。またp123が同巻にない場合の書き表し方も教えて下さい。

【A】

原本に記載された「前ページ」が点訳書で前ページでない場合は、点訳書のページ数に置き換えるのがよいと思います。「右ページ」も、点訳書で前ページあるいは次ページであればそのように置き換え、離れる場合はページ数を、指している箇所が別の巻になる場合は巻数とページ数を記載します。
このほか原本で「下の表」とあるものが点訳書で次ページになったり、「次ページ」とあるものが同じページになったりする場合なども、読者が探すのに戸惑わないように適切な表現に置き換え、データ完成時には、ずれを生じてこれらの文言が合わなくなっていないかの確認も忘れずに行います。

5.

NHKラジオ講座のテキストを点訳しています。

偉大な画家 un garan pintor (× 大きな画家)
何もない。→ No hay nada.(× Hay nada)

この×(原本では全角)をどう点訳するか悩んでいます。
(1案)大きな画家は間違い
(2案)大きな画家ではない
(3案)バツ 大きな画家
放送を聞きながら読むということで、3案は単純にバツとしたものです。
こういう講座テキストの場合、一般的な問題集等の場合について、点訳方法をお教えください。

【A】

このような意味で、×、○があった場合、原文通りの位置に、バツ マルと書くのが、基本的な書き方と言えます。
ご質問の場合も、3案がいいと思います。
(バツ■■オオキナ■ガカ)となります。
講座テキストや問題集、参考書などによって、書き方は種々ありますので、一概には言えませんが、1案、2案のように点訳した場合は、原文に書いてある部分と、点訳者が文章化した部分の判別がつきにくい恐れがあります。
たとえば、(「大きな画家」はバツ)程度の文章化でしたら、誤解はないのかもしれません。
原文通りの位置に「バツ」「マル」だけでは、わかりにくい場合もありますので、点訳者が補足することも避けられませんが、その場合は、できるだけ簡潔な補足を心がけることが大切と思います。

6.

イベントの案内などで、項目として日時と並べて「於 大会議室」と書いてあるのは、どのように点訳すればいいでしょうか。
「ダイカイギシツニテ」「ダイカイギシツニ■オイテ」などとしていいでしょうか。

【A】

原文の文脈上不自然な読みとならないように、読むことになります。
「於 大会議室」は、一般には、「ダイカイギシツニ■オイテ」と書いてよいと思います。
類似の表現として「自2019年4月1日 至2020年3月31日」のように書かれている場合もあります。
これも一般には、「~より~まで」と書いてよいと思います。総会資料の決算書などに用いられている場合は、期間を表しているとして「波線」を用いて書いてもよいと思います。

7.

原本に、次のような文章が出てきます。

新聞のチラシに漢字の書き取りをはじめた。昨日はうかんむりで楽勝だったから、今日はまだれに挑戦しよう。「麻、広、廣、??」止めた。簡単なさんずいをやってみよう。「池、海、流、??」、出てこない。さんずいならいくらでもあるはずなのに??

この様な漢字の書き取りの文章が何度も出てくるのですが、「広」「廣」のように読みが同じ字には点訳挿入符で説明が必要でしょうか。また、「流」の字のような場合、音読みでなく訓読みで「ナガレ」または「ナガレル」と読んでもいいでしょうか。

【A】

漢字を特定できるように書くには、音読みの後ろにカッコで囲んで訓読みを書いたり、送り仮名の部分はつなぎ符類の後ろに書いたり、いろいろ工夫が必要ですが、この場合は、原本の主な流れに漢字の特定が必須なわけではありませんので、推定ができればいいと思います。
このような文章が何度も出てくる場合は、点訳書凡例で、「漢字の説明は、音読み、訓読みのうち推定しやすい方を書いた。また訓読みの場合は送り仮名も含めて書いた。」のように断った方がよいと思います。
また、漢字は説明を書いていることを点訳書凡例で断っているので、(旧漢字)などは、第1カッコで囲んで書けます。また、部首も限定されているので、「麻」が「朝」では無いことなどは断る必要はありません。
アサ、■ヒロイ、■ヒロイ(旧漢字)
イケ、■ウミ、■ナガレル
などになります。

8.

原本に日記が記載されているのですが、その日記の一部が棒線で消されている所があります。そんな場合、どう処理したらよいのでしょうか。
例:今はわからないことの方が多い。わかることの方が多い。
と、ある文章の中の「わからないことの方が多い。」の部分が棒線で消してあります。

【A】

イマワ■指示符類ワカラナイ■コトノ■ホーガ■オオイ。指示符類
点挿 指示符メメ指示符デ■カコマレタ■ブブンニ■トリケシセンガ■
ヒイテ■アル 点挿

のように、取り消し線の部分を指示符類で囲み、その後ろに点訳挿入符で指示符類に囲まれた部分が取り消し線で消してあることを断ればよいと思います。
カギ類で囲んでもよいのですが、特殊な指定ですし、原文にない囲み記号なので指示符のほうが適していると思います。一般書の場合は第1指示符から用いることになっていますが、第3指示符でもよいと思います。
ただ、原文の流れから、この削除部分を省略してもよい場合もあると思いますので、文脈から判断して、適した方を選択してください。

9.

原本に辞書の抜き書きがあります。
「原子」という語句の補記として、「--りょく はつでん【原子力発電】原子炉で発生する熱エネルギーを利用した発電」とだけ説明がされています。
この「--りょく」の、「--」部分は見出し語の再掲ですが、この部分は「棒線を使う、点線を使う、伏字を使う」いずれが適切でしょうか。

【A】

辞書の「--りょく」などは、見出し語と重複する仮名の部分ですので、この場合は、「ゲンシリョク■ハツデン」と書くことをお勧めします。
辞書の点訳では、この方法が定着しています。
ゲンシリョク■ハツデン■--■ゲンシロデ■ハッセイ■スル■~
のような書き方になります。見出し語と語義説明の間は、棒線がいいと思いますが、二マスあけや、見出し語の前で段落を替えて書く場合は小見出し符類などもあると思います。

10.

野球の打順のあとに守備位置をカッコで示しています。この時のカッコの表記を教えてください。
例 1(中)高山
2(三)橋本
3(左)バティス 以下9番まで

【A】

1■■(センター)■■タカヤマ
2■■(サード)■■ハシモト
3■■(レフト)■■バティス

のように書くのが分かりやすいと思います。
必要があれば、最初に、《守備位置は漢字で略記されているが、ファースト、セカンドのように記した》と断ります。

11.

児童書(低学年向けの童話集)を点訳するのにどんなことに注意したらよいでしょうか。童話集なので1話ずつページを替えてもいいでしょうか。

【A】

特に決まりはありませんが、童話集であれば、1話1話異なったお話しですので、ページを替えて書いてもよいと思います。なお、紙を替えるのではなく、ページを替えるので、奇数ページで一話が終われば、次は、偶数ページから始まります。
低学年向けの童話の点訳では、「てびき」p25【処理1】にある特殊音は用いず、読みやすさに注意します。また、注記があっても文中注記符を用いることは避けます。短い童話ですから、1話ごとに仕切りのための線を入れるなどして、注記が入っている語と説明を棒線でつないで入れるなどします。
できれば、記号類も句読符・カギ類・カッコ類・線類・第1つなぎ符くらいで点訳するよう工夫します。
「サピエ」にアップする場合は、その図書の点訳ですので、「保護者の方へ」などがあっても、すべて点訳してアップします。
点字を読み始めた人(児童)や点字習得のために依頼される場合は、18行で、片面だけの入力にしたり、タイトルと本文だけにして、注や「保護者の方へ」などは省略するなどの配慮をすることもありますが、これは個々の対応になります。

12.

絵本の原文に第1カギ付きの会話文が多く出てきます。絵を見れば誰が言っているのかわかりますが、原文だけの点訳では誰が言っているのかわかりません。その場合、会話文の前に点訳挿入符で言った人を入れてから、第1カギで囲んだ会話文を続けるのは、正しい方法でしょうか。点訳挿入符の閉じと第1カギの間のマスあけは一マスでよいでしょうか。

例)「山へ帰ろう」  ※絵では、たぬきくんが言っている。
■■②③⑤⑥②③⑤⑥タヌキクン②③⑤⑥②③⑤⑥■③⑥ヤマエ■カエロー③⑥ ※数字は点訳挿入符と第1カギ、■はマスあけを表す。

【A】

絵本の点訳については、点訳の仕方を一概に決めることはできず、原本の対象年齢や点訳書を読む方の年齢などを考慮して、決定することになると思います。
絵の補足をしないと内容が理解できないような、絵に重点が置かれた本の場合は、第1カッコで囲んで最小限度の情景説明が必要になると思います。
■■(たぬきくんがみんなにむかって)
■■「山へ帰ろう」
のような形で、補足してはどうでしょうか。
「てびき3版指導者ハンドブック」第5章編 p29~p30の「コラム 漫画の点訳」の説明の入れ方も参考にしてください。
「サピエ」にアップする場合は、点訳書凡例を入れて、補足したことを断ります。対象年齢が低い場合は、点訳挿入符などの複雑な記号は使用しない方がよいと思いますし、表現も絵本に合わせて簡潔にします。
プライベートの希望や特別支援学校の依頼などで点訳する場合は、父兄や先生と点訳方法を打ち合わせて、点訳書凡例などは入れない方がよいと思います。

13.

幼児向けの絵本『ちょっとだけ』瀧村有子作の点訳についてお尋ねします。
絵に対するお話が1~4行ほどで短いのですが、原本と同じにそれぞれページを替えて書くのでしょうか。それとも行あけをして続けて書くのでしょうか。その場合、お話の中で1行あけをして書かれている箇所もあるので、2行あけて続けることになるのでしょうか。点訳すると改ページとした場合奥付も入れて24ページ、行あけをして続けると12ページになります。
サピエ図書館に登録するものですが、「読んであげるなら3才から、自分で読むなら小学校初級向き」とありますので、子供さんの読みやすさを考慮して両面点訳ではなく18行設定で裏面に改ページマークを入れて表面だけに点訳して登録することは可能でしょうか。

【A】

『ちょっとだけ』は、全体で一つのお話しですので、ページが変わるところでページ替えはせずに、1行あけでよいと思います。ページの中に1行あけの箇所があっても、どちらも1行あけにします。あけ幅の違いによる効果はほとんどなく、ページ替えのところもページの中の行あけも、話の間や切り替えなどを意味していますので、効果は同じです。

ただ、絵本ですので、絵の説明を全くしないで文だけを読むと理解できない部分もあると思います。
たとえば、一人でパジャマに着替えることに「ちょっとだけ成功しました」とありますが、これだけでは、内容が伝わらないので、「左右のボタンがひとつずつずれている」ことを説明するなどの工夫が必要ではないかと思います。
すべてのページには必要ないと思いますが、おそらく「ちょっとだけ」の内容の説明は必要ではないかと思います。
その場合、小学校低学年の読者が、一人で読むのに分かりやすい表現を用いることや、複雑な記号類は用いないことなどの配慮が必要になります。

サピエに登録する場合は、両面印刷、32マス、18行が標準ですので、そのようにするのがよいと思います。
片面印刷、32マス、18行で登録する場合は、裏面に改ページマークを入れると共に、ページ付けも、奇数ページに1,2,3とページを付けていきます。また、サピエの書誌の製作注記にその旨断る必要があります。
そうすると、標準の形で印刷したい施設・団体では困りますので、標準の形でアップしたほうがよいと思います。

14.

原本は77ページの小学低学年向け絵本で、見開きページに絵が書いてあります。絵は本文を読めばわかりますので、説明は不要でしょうか。基本的には説明は入れた方が良いのか入れなくても良いのか迷っています。
挿入するとすれば、各ページの文が終わった後に、行開けせずに説明を点訳挿入符で囲んで挿入し、次行を開けて次の文を書く‥‥を繰り返すでいいでしょうか。

【A】

絵本の点訳では、絵が中心になっていてその絵を見ないと物語の内容が理解できないものか、文章を読めば物語の内容が理解できるのかによって、点訳の方法が異なってきます。
77ページの低学年向けの本であれば、文章が中心の読み物だと思いますし、本文を読めば分かるとのことですので、絵の説明は入れなくてもよいと思います。
どうしても絵の説明が必要な場合だけ、点訳挿入符で説明を入れるようにすればよいと思います。各ページの文が終わったところに入れるのか、該当する文の文末に入れるのかなどは、その絵によって判断してください。

15.

文中に、最高裁第一小法廷平成12年3月9日判決のことを記した文章を(最一小平12.3.9民集54巻13号)と書かれています。続けると意味が分からないので(最■一■小■平■12■3■9■民集■54巻■13号)と点訳してよろしいでしょうか。

【A】

(最一小平12.3.9民集54巻13号)は、語句のまとまりごとに区切って、
(サイ数1ショー■ヘイ■数12■数3■数9■ミンシュー■数54カン■数13ゴー)と書いてよいと思います。
最一小は、最高裁判所第1小法廷、民集は、最高裁判所民事判例集の略記ですので、続けて書いてよいと思います。

16.

両面印刷と片面印刷は、どのような使い分けをするとよいのでしょうか。
絵本の点訳で扉、奥付も入れて、両面印刷で全体が16ページくらいになります。
お子様も対象ですので片面印刷にするとよいのではないかという意見があります。
18行と22行ではあまりページ数で変わりはないと思いますが、いかがでしょうか。

【A】

絵本で全16ページとしても、それをサピエ図書館に登録する場合は、32マス×18行の両面印刷が標準となりますので、サピエにアップするデータは、標準サイズにしてください。
サピエにアップしない場合は、以下を参考になさってください。
1ページ18行と比較して、22行は行間が狭くなり、児童や点字の読みに慣れていない人には読みにくくなります。
18行の方が行間にゆとりがあり、読みやすいですから、点字の読みに慣れていない人や点字を読み始めたばかりの児童には、32マス×18行の設定で、奇数ページにだけ入力し、偶数ページは、一番上の行の一マス目に改ページマークを入れ、空白にします。ページ付けは、データの奇数ページに、1、2、3、4・・・と入れます。
このようにして片面印刷します。
このほか、低学年向けの絵本などを点訳するときの留意点は、「点訳に関する質問にお答えします」の参考資料「2 その他」にもありますので、参考にしていただければと思います。

17.

子どもの算数に関する本です
10円玉2枚で「何円?」と聞くと、「ニジューエン」と正解、100円玉2枚見せて「何円?」と聞くと「ヒャクニエン」と答えた。
100円玉が3枚、10円玉が2枚、1円玉が4枚あれば、これは「三百二十四」円であって、「百三十二一四」円とは思わない。
700+900で、100が7個と9個で16個なのでとりあえず答えはジュウロクヒャク、それを改めてセンロッピャクに直す。
こんな時のカタカナや漢字で書かれた数はどのように点訳するのがいいのでしょうか。仮名のままか 数符を使う方がよいのか、仮名の場合のマスあけも迷います。

【A】

正しい数の読み方ではないので迷いますが、内容は数字を指しているので、できるだけ数字で書いた方が読んでいて分かりやすいと思います。
最初の「ニジューエン」と「ヒャクニエン」は、数字の書き方で、数20=エン、数102=エンと書いてよいと思います。
2番目の「三百二十四」円は、「数324」エン
「百三十二一四」円は、100が3枚、10が2枚、1が4枚を一つの数字のように言っていますので、「ヒャク数3■ジュー数2■イチ数4」と書いてはどうでしょうか。
「ジュウロクヒャク」は、「ヒャク」を位のように見なしているので、「数16ヒャク」、その後ろの「センロッピャク」は「数1600」と書くのがよいと思います。

今回のご質問には、数字の誤った読み方の特殊な例もありますので、それには当てはまる規則はありません。ですので、読みやすさ、わかりやすさを考えて上記のような工夫をしてみました。

18.

原本で、機械が文章を読みあげる場面です。
「ぷろでゅーす を まかせる」「にんきとうひょう をやる」
とある場合、助詞の「を」の処理は、手引きの規則「付属語は自立語または付属語に続ける」の原則に従うべきでしょうか。あるいは、原本の意図を踏まえ「墨字原文を、その内容に出来るだけ忠実に置換えること」に従うべきでしょうか。
同じような文で、病気の子が、苦しそうに訴える場面もあります。
「私の ために
お ね が い
もう あと そう ながく い き な い
おね がい お ね がい」
このような場合は、どう処理すればよいでしょうか。

【A】

このような場合、一律の処理方法はありませんが、
まずは、本来の分かち書きで点訳し、前後の文脈から十分伝わる場合は、その方法をとります。
それでは、文意が損なわれるような場合は点訳挿入符で補う方法もあると思います。
また、会話文で一音ずつ発音しているような場合で、そこをマスあけして書いた方が、原文の意図が伝わる場合は、そのような書き方もあると思います。
原本の種類や前後の文脈から、読みやすさやわかりやすさを考慮しながら工夫する必要があります。
ただ、助詞・助動詞を語頭につけたり、それだけを離して書くのはできるだけさけたほうがよいと思います。
最初の機械の発音は、助詞の位置が気になりますので、
「プロデュースヲ■マカセル」「ニンキ■トーヒョーヲ■ヤル」と点訳し、必要であれば、「助詞を前後とあけたり、後ろの語と続けて発音している」のように点訳挿入符で説明すればよいと思います。
「私の ために
お ね が い
もう あと そう ながく い き な い
おね がい お ね がい」
この場合は、原文の通りに空白のところをマスあけしても、読みにくくはないと思います。
「ワタシノ■タメニ■オ■ネ■ガ■イ■モー■アト■ソー■ナガク■イ■キ■ナ■イ■オネ■ガイ■オ■ネ■ガイ」

19.

次のように同じ言葉を書き分けている場合、どのように書くとよいでしょうか。

「ふれあい」と「ふれ愛」は違う。仏像の修理修復の第1人者で、京都の愛宕念仏寺の住職だった西村公朝との出会いから20年が過ぎ、僕は「ふれ愛」の意味が少しだけ理解できたような気がしています。大学院生だった僕はふれ愛観音のことを知り、愛宕念仏寺を訪ねました。(略)
でも、当時の僕には「ふれ愛」の真意がわかっていなかったのです。「ふれあい」は福祉系の催し物や施設名でよく使われています。「ふれあい」とは、多数派(健 常者)からの押し付けであるらしいというのが僕の印象です。

ここで「見る」と「みる」の違いを説明しておきます。いうまでもなく、視覚で事物をとらえるのが「見る」です。・・・・・ 一方、「みる」とは全身の感覚を総動員して事物をとらえることです。

というような文章で、その後の文に
「ふれあい」と「ふれ愛」、「見る」と「みる」が何度も出てくる場合、点訳で区別をしないといけないと思うのですが、どのようにしたらよいのでしょうか。そのたびに点訳挿入符をつけるのもどうかと思うので。
凡例でことわって、指示符を使うとか、カギを変えるとかしてもいいのでしょうか。

【A】

ご質問の文の場合は、原文でも、カギで囲まれているようですので、お考えのように、点訳書凡例や点訳挿入符で断って、片方(一般的な「ふれあい」「見る」)を第1カギで囲み、著者がこだわりのある方(「ふれ愛」「みる」)を第2カギで囲むという方法が分かりやすいと思います。

20.

漢字の読み方を説明している原本です。
例えば、
浅 [音] せん [訓]あさ-い
[訓]の送り仮名は「あさ・い」などと書かれています。ハイフンや中点の扱いはどのようにすればよいでしょうか?

【A】

原本の通りには点訳できませんので、書き方を点訳書凡例または点訳挿入符で断って書きます。
《音読みを先に書き、カッコ内に訓読みを書きます。第1つなぎ符の後ろは送り仮名です。》
または、
《音読みを先に書き、二マスあけて訓読みを書きます。送り仮名は第1つなぎ符の後ろに書きます。》
などのように断ります。
セン(アサ③⑥イ)
のようになります。

21.

ハガキ書類などの期限を記す紙面でよく「有効期限   年  月」のように、空白で記入欄を表しているものがあります。この場合は、点字ではどのように表したらよいでしょうか。方法として考えたのは、
(1)伏せ字を用いる
(2)空欄記号を用いる
(3)「メメ」を用いる
(4)年月を記入する欄がある旨点挿にて説明する。
時と場合によって使いわけを行うのもよいかと思っています。

【A】

「有効期限   年  月」の場合、いくつかの書き方があると思います。
1.読み手がそこに記入するための空欄で、記入欄を明らかに示したい場合は空欄記号を用います。たとえば、申請書などの書類で、記入箇所を明らかにする場合です。
2.領収書などで、月日を入れないような場合は、二マスほどマスあけをするだけの場合もあります。
3.本来何か数字が入っているはずの場合、余り用いませんが、伏せ字の××を入れることもあるかもしれません。
年月日・氏名・年齢・性別などを記入する欄があることをまとめて説明するような場合は、点訳挿入符を用いることもあると思います。

22.

料理本を点訳しています。原本は次のようになっています。
ほうれん草・・・一束
A 薄力粉・・・大さじ2
牛乳、生クリーム・・・各100ml
卵(Mサイズ)・・・3個
ベーコン・・・4枚

材料名と分量の間は、点線、棒線、一マスあけ、二マスあけなどのどれがいいでしょうか。原本が点線の場合は点線にしたほうがよいのでしょうか。
Aの部分の書き方も、Aの後棒線を使う、小見出し符を使う、一マスあけて第1カギで囲む(上記の場合卵まで)、Aの後続けて第2カッコで囲むなど、いろいろ考えられますが、第2カッコを使った場合、(Mサイズ)は二重カッコにするのでしょうか。
点訳本の中で統一されていればどのような書き方でもよいと思いますが、お勧めの書き方はありますか。またこのような書き方はしない方がよいということはありますか。

【A】

レシピの書き方は、原本によっても様々ですので、そのタイトル内で統一した書き方になっていれば、よいと思います。
たとえば
7マス目から 料理名
5マス目から 材料と分量
5マス目から 作り方
にして、
材料名と分量の間は、二マスあけにして、材料名ごとに行替えする
A.■点線■ハクリキコ■オオサジ■数2、■ギューニュー・■ナマクリーム■カク■数100外ml、■タマゴ(外大M■サイズ)■数3コ
のように、A.のところは、書き流す。
Aのところで、材料をカッコ類で囲むと、その中にカッコが使われていたりしますので、点線などを用いた方がよいと思います。できるだけ囲みの記号は用いずにシンプルに書きます。
作り方の順番は、数字のうしろにピリオドを付ける形を用いた方がよいと思います。原文の説明のなかにカッコが用いられている場合が多く、そのなかに順番の(1)(2)など出てくると、二重カッコを用いることになり、読みにくくなります。このような表現が全く無い原本でしたら、原本の通りに、順番の数字を第1カッコで囲んでもよいと思います。

23.

原本の中に将棋の棋譜が出てきます。
2二銀と打って、1三の玉へ追い、相手の香筋へ3六桂と打ち
このようにアラビア数字と漢数字がある場合は漢数字をカッコで入れるなどして区別した方がよいのでしょうか。

【A】

将棋の本では、慣習的に行われている棋譜の書き方がありますが、小説の中に出てくる場合は、特殊な書き方はしないで、一般に読むように書くのがよいと思います。マスあけもわかりやすさに重点を置いて、盤上の位置(数字)は続け、駒の種類や動きはマスあけした方がよいと思います。
盤上の位置を示す数字は読む順序が決まっていますので、2二銀と書かれていても、漢数字をカッコで囲んだり、下がり数字を使ったりせずに、数2数2と書きます。
数2数2■ギント■ウッテ、■数1数3ノ■ギョクエ■オイ、■アイテノ■キョースジエ■数3数6■ケイト■ウチ
となります。
先手、後手が出てきた場合は、
センテ■数5数3■フ■ナル、■センテ■ドー■カク
のように書きます。

24.

自動車のナンバープレートはどう点訳すればいいでしょうか。
「~~~色はシルバーで、ナンバープレートは≪群馬331 て 54××≫」
ネットによりますと、「クルマのナンバープレートには4つの情報が書かれています。その4つとは、「地域名」「分類番号(3桁の数字)」「登録種別(ひらがな)」「指定番号(4桁の数字)」です。」とそれぞれに意味があります。
墨字では「て」の前後はあいていますが、全ての間を一マスあけにしてもよいでしょうか。それとも墨字に従って、二マスあけも入れるのでしょうか。

【A】

墨字のあけ幅に関係なく、すべて一マスあけで書いてよいと思います。車のナンバーの一連の要素の書いてあるものですので、必要なところで一マスあけすればよいと思います。
グンマ■数331■テ■数54⑤メ⑤メ
原文にハイフンが用いられていれば③⑥の点を用いて書きますが、原文にはハイフンがないようですので、「てびき」p116(3)の「連続する数字の一部に伏せ字がある場合」の書き方をすればよいと思います。

25.

点訳書○巻○ページ○行を参照してください、という場合の「○行」の書き方について教えてください。データ行ではなく、ページ数を除いた印刷行でよいでしょうか。

【A】

点訳の参照ページは、印刷した場合のページ・行数を書きます。ページ数を書く行は数えません。

26.

会議資料など会議で使用する際に、点字ページのほかに原本(会議資料)についているページを点字で記入する場合はどのように記入すればいいでしょうか。

【A】

一般的には、「てびき」p206「7.欄外見出し」の書き方で、点字のページ行に、原本のページを入れます。
そのほか、目次に点字のページを入れその後ろにカッコで囲んで原本のページを入れたりします。

その会議に、墨字使用者と点字使用者が参加する場合は、墨字の資料に点字のページを書き込んで、点訳資料とともに提供するのが最も分かりやすい方法です。
会議の事務局や進行係の人が、点字のページが書き込まれた資料を見ながら、進行に合わせて、墨字のページに該当する点字のページを知らせることができます。

27.

「ゲーセン戦記」という本を点訳しています。文中 ゲームソフトのタイトルで、
多分「ストリートファイターⅡ」「ストⅡ」のバージョンアップ版であろう「ストリートファイターⅡ’」「ストⅡ’」という表現がでてきます。
Wikipediaで調べたら、例えば「ストII’」は ストツーダッシュと読んでいました。
このダッシュの点訳はどう書けばいいのでしょうか。ダッシュという言葉で表すしかないでしょうか。

【A】

一般文章中では、このような場合は、「ダッシュ」と言葉で書きます。
ストリート■ファイター■外大大II■ダッシュ
となります。Ⅱはローマ数字を使わないで、数字を用いて書いてもよいと思います。
略称の場合は、スト数2■ダッシュ でよいと思います。

28.

今東光の墓所にある柴田錬三郎によって書かれた碑文の書き方についてお尋ねします。字下げして書かれています。

大文頴心院大僧正東光春聴大和尚
今東光大僧正は森羅
万象を学びて文学を
識リ佛門に入りては天
台顕密を光にす
さらに一流画家たり
且大政事家たりき
将に百年稀有の大才
にしてその遺徳を偲
びここに刻みて千載
の感激と為す

昭和53年春佳日
昭和52年9月19日
歿行年80歳
柴田錬三郎書

① 字下げに関しては、新聞記事など見出しのある文章の字下げと同様に枠線で囲み、大文頴心院・・・を5マス目か7マス目から書いてよいでしょうか。
② 碑文は石碑に書かれている通り各行3マス目から書いた方がよいのでしょうか。そうすると本来一続きで書く語が行をまたいでしまいます。文章としての区切り(ここでは光にす)まで続けて書き、そこで改行して3マス目からさらに・・・と書いた方がよいのでしょうか。
③ 日付の書き方ですが、一般的には5マス目から書くと思いますが、最後の歿行年はさらに下げて書いた方がよいのでしょうか。

【A】

枠囲みの中、1行目は7マス目から、2行目以降は1文ごとに行替えして3マス目から書いてよいと思います。日付はこの碑文を書いた日と歿行年の日付とを5マス目から並べて書いた方がよいように思います。以下のようになります。
【7マス目から】大文頴心院大僧正東光春聴大和尚
【3マス目から】今東光大僧正は森羅万象を学びて文学を識リ佛門に入りては天台顕密を光にす
【3マス目から】さらに一流画家たり且大政事家たりき
【3マス目から】将に百年稀有の大才にしてその遺徳を偲びここに刻みて千載の感激と為す
【5マス目から】昭和53年春佳日
【5マス目から】昭和52年9月19日
【7マス目から】歿行年80歳
【行末に】柴田錬三郎書

29.

大塩平八郎の檄文の現代語訳です。最後に次のように書かれています。

天保八年丁酉 月 日  某
摂津・河内・和泉・播磨の村々の
庄屋・年寄・百姓ならびに小前百姓どもへ
(1) 月 日  某はどのように書けばよいのでしょうか。伏せ字を使うのでしょうか。
(2) 最後の摂津・河内…の書き出し位置はどうすればよいのでしょうか。
原本では日付より字下げで書かれています。日付は5マス目から書くとして原本通り日付より下げて書いてよいのでしょうか。それとも3マス目からでもよいのですか。

【A】

(1)この「月 日」は、何月何日かを伏せたわけでも、またこれから具体的に入れるわけでもありませんので、点訳フォーラムQ&A「その他」現在の21.の2番目の例になると思います。間はマスあけでよいと思います。
テンポー■数8ネン■ヒノト■トリ■■ガツ■ニチ■■ボー

(2) 日付を5マス目から書き、最後の人名などを行末に揃えるのは、差出人や筆者など、自分をへりくだって書く場合の書き方です。この場合は最後に宛先が書いてありますので、行末に揃えるのではなく、3マス目から書き、次行以降は二マス下げて書くのがよいと思います。
そうすると、
3マス目から 摂津・河内~
5マス目から 庄屋・年寄り~
5マス目から 小前百姓どもへ
となります。
この場合、日付を5マス目から書くと1行には収まらず、不安定な書き方になりますので、7マス目あるいは9マス目から書いた方がよいように思います。

30.

「僕は東京から京都へ引っ越した」は、点字では「ぼくわ□とーきょーから□きょーとえ□ひっこした」と書き表すのです(□は文節分かち書きのスペースを示します)。
原文にこのようにあった場合、空欄符号で書くのでしょうか。

【A】

このような場合は、□は無視して、点字で正しく書きます。
「ボクワ■トーキョーカラ■キョートエ■ヒッコシタ」ワ、■テンジデワ■「ボクワ■トーキョーカラ■キョートエ■ヒッコシタ」ト■カキアラワスノデス。
(□は文節分かち書きのスペースを示します)は省略します。
そして、もし必要なら点訳挿入符で、《原文ではマスあけの部分に四角の記号が書いてある》といれるとよいと思います。

31.

アンケート用紙の点訳をしておりますが、回答を入れる空白のカッコがあります。
カッコがあるということを伝えれば良いので、カッコの中にそれほどスペースを取る必要はないと思いますが、カッコの中は、何マスあければよいでしょうか。

【A】

点字によるアンケートの場合は、アンケートの設問用紙に直接回答するわけではなく、別の用紙に回答を書いて提出することになりますので、アンケートの設問文だけを点訳します。回答欄は点訳しません。
基本的には、番号と設問文だけを書きますが、文の中に空欄記号が入っている場合などは、空欄の番号が分かるようにして空欄符号を入れます。
その他、別紙の点字での回答と対応するよう番号などに注意しながら質問文を点訳します。

32.

夏休みの小学生2年生から6年生までの希望者26名に基礎的なことを教えていますが、「あついひ」の表記で生徒は「あついひ」と続けて書こうとしています。私は、「あつい」「ひ」と区切って書くと教えるのが正しいと思っているのですが、学校では「複合語」として、続けて書くように指導されているのかなと学校に聞きただすこともできないので、お考えを聞きたくてメールした次第です。文法的に説明するのにはまだ難しいかなとも思います。なお、例文は「初めての点訳第3版」P54のはがきで書く点字の本文の例を参考にしました。

【A】

「あついひ」は、文法的にも「あつい(形容詞)+ひ(名詞)」ですので、複合語ではありません。
ですが、小学生のみならず、中学生でも、高校生でも、「あついひ」は、続けて書く誤りが多いです。短いからのようです。「あのひ」「あおいめ」「どのこ」なども間違いが多いです。
ただ、小学6年生ぐらいになれば、そのような規則も理解できるかもしれませんが、低学年ではむずかしいのではないでしょうか。小学4年くらいまでは、学校でも複合語などは学習していないのではないかと思います。
書く場合は、名前や学校名、学年ぐらいにして、点字を読むことに重点をおかれてはどうでしょうか。そして「点字は、こういう所で区切って書いているんだ」ということを感じてもらえればよいと思います。
または、書きたい文をカナで書いてもらい、マスあけのところを一人一人確認してから、正しいマスあけの文を書くようにすればよいと思います。
なお、「初めての点訳」は、高校生や専門学校生・大学生を対象としていますので、このテキストと同じことを学ぶのは、小学生には難しいと思われます。授業などで用いるテキストですので、意図的に間違えやすいフレーズを載せたりしています。

国土社発行の「手で読む心でさわるやさしい点字」という小学生向けのシリーズがありますが、そこでは、ハガキの例として

おばあちゃんへ
おげんきですか。来月の10月8日に運動会があるよ。
おばあちゃん かならずおうえんにきてね。

という例を載せています。
この程度の文法的にもわかりやすい文の練習をすることも考えられると思います。

33.

私たちの団体では点字の情報誌を毎月発行しています。20~30ページのもので、内容は地域の事、新聞からの情報などです。今までは点訳者に一任のような形で書式のようなものは設けていませんでした。今回、ある程度の書式を作りましょうということになりました。そこで今問題になったことはこの情報誌の最後に点訳者と校正者の名前をいれることになりました。各記事にはどこからの情報なのかを示す出典を必ずつけています。このような場合、点訳者と校正者はどのように書けばよいでしょうか。プライベートではありますが、今後に繋がるような点訳方法があれば教えていただけませんか。

【A】

点訳者・校正者のフルネームを入れられるのでしょうか。
団体としての情報誌でしたら、団体で責任を持つように、まずは、表紙または最後に団体の連絡先を入れることが大切かと思います。
それをなさったうえで、点訳者・校正者名を入れるのでしたら、最後に、1行あけか、または仕切りのための線などを入れて、「今月は私たちが担当しました」のような文の下に、3名の名前を中点でつないで入れるなどしてよいと思います。その際フルネームではなく、名字だけにする、またはイニシャルだけにすることをお勧めしたいと思います。編集後記のようなイメージですね。
あくまでも責任は団体であることをお知らせする意味で、《この情報誌に対するご意見・ご希望は下記にご連絡ください》のように書いて、団体の連絡先を入れるなど念押しするのもよいと思います。

34.

「連合国軍」の切れ続きについて、点訳ナビゲーターと点訳フォーラムの両方に語例があるのですが、点訳ナビは一続き、点訳フォーラムは、国軍の前で区切っています。このように、ヨミやマスあけで両者が異なる場合、どちらを優先した方がよいというのはありますか。
また、「国軍」で検索すると、点訳ナビは「連合国軍」のみ、点訳フォーラムは「共和国軍」など4例(全て国軍の前で区切って書く)あります。もし、上記の質問で点訳ナビを優先するということになった場合、「共和国軍」なども一続きということになるのでしょうか。
実際にでてきたら、優先される点訳ナビで共和国軍を検索し、みつからないので点訳フォーラムを検索、区切って書くのでこれを採用、となってしまう気がするのですが。
現在点訳の際には、圧倒的に点訳フォーラムの方が語例数が多いので、点訳フォーラムのみを検索してしまっています。両者が割れている例が出てきてとまどっております。

【A】

点訳フォーラムでは、「点字表記の語例」を検索することによって、その語だけでなく、類似の語の表記も類推できるよう語例の収載に努めています。
「連合国軍」については、語の成り立ちが「連合+国+軍」(2+1+1)で、「国軍」が多くの国語辞典に見出し語として載っている自立した意味のまとまりですので、区切って書く事としています。そして、「共和国軍」「日本国軍」「フランス国軍」も同じ成り立ちであることを示しています。
このようなことは、他の語を検索してもお気づきになると思います。より多くの語例、点訳で遭遇した身近な語例をできるだけ蓄積し、それらが「てびき」の規則で説明できるような表記にしています。
「点訳のてびき」は、発行までに、案を2度全国に提示して意見を求め、それらを検討した上で、最終的には「全視情協総会の承認」という手続きを踏んで、組織決定を行っています。これに対して、「点訳ナビゲーター」の表記は、その時々の点訳委員会の協議で決めていて、全視情協が組織決定を行ったものではありません。委員の交代によって表記が揺れていく恐れがあります。
「点訳ナビゲーター」の表記は、「てびき」の語例に採用されているもの以外は、あくまでも参考資料となります。
長い目で見て揺れのない一貫した方針で「てびき」に準拠した点訳を行っていくのであれば、点訳フォーラムを拠り所にされることをお勧めいたします。
なお、「点訳フォーラムとは」も合わせてお読みいただければ幸いです。

35.

点訳をしている時「原文に忠実に」との意見が出されます。原文に忠実。ふと考えてしまいました。点訳での原文に忠実とはどういうことでしょうか。
記号などは原文に忠実がよいのですか。特にサピエに出す本については原文忠実がよいですか。

【A】

「原本に忠実に」は、議論になるところですが、「てびき」第1章のまえがきに書いてあるのは、「墨字原文を、その内容にできるだけ忠実に点字に置き換えること」です。墨字の書き方や記号などを、そのまま忠実に点字で書くのではなく、「内容」に忠実にと言うことですので、そこがポイントになると思います。
墨字の内容を理解したうえで、それに適した点字に置き換えることになります。とくに記号類は、墨字と点字では用法が異なる記号が多いので、墨字・点字それぞれの記号の用法を理解した上で、点訳することが必要になります。

36.

今、団体の中で点訳をし、校正を重ねていき点訳本を作っています。
その中で「原則は~だ」の意見が出てきます。原則を点訳の本を作る中ですべて取り入れて本を完成させた方がよいのでしょうか。
私達が本を読み、点訳する時どうしても点訳者が原本から読み取ったものが点訳本に反映されてしまい、出来上がる点訳本にも違いが出てきます。それをどう考えればよいでしょうか?
点字の原則に対して「~ができる」と「てびき」に書かれていることに対しての「原則」です。原則が一番ならば「~が出来る」と「てびき」に書かれているのはなぜでしょうか。

【A】

「てびき4版」の「~ができる」には、
A.施設・団体としてこちらを選ぶことができる
B.原本によって、または文脈によってこちらを選ぶことができる
の2種類があります。
また、内容としては
C.原本にかかわらず、このような点訳ができるという「できる」
D.原本によって判断する
E.文脈によって判断する
F.「表記法」との整合性から掲載したが、「てびき」としては、お勧めではない
の4種類あります。
「できる」は、「てびき」には以下のページでありますが、上のことを考慮しながら分けてみると
1.施設・団体として判断し、原本にかかわらずその方法を用いる。
p31 【備考】(上の【備考】)
p35 (3)
p187 3.(1) 区切り線  ① 【備考1】
2.「表記法」に記載があるので「てびき」でも取り上げたが、この「できる」
は、殆ど使用しない。または、一般書では使用しないことをお勧めする。
p85 【備考】
p113 【備考】
p114 【備考】
p120 (2)
p124 【処理1】
p129 (4)
p133 【備考】
p143 【備考2】
p148 【処理1】
p170 【処理3】
3.前に書いてある条件を満たせば、「できる」の処理がお勧め。このように
点訳することをお勧めする。
p42 【処理】
p76 【処理】
p106 【処理2】
p108 【処理2】
p116 【処理】
p133 (3)
p149 【処理】(下の【処理】)
p174 1.
p188 ②
p188 ⑥
p194 (4)
p198 (1)
p201 【備考】①
p203 (1)
4.上記以外の「できる」は.原本や文脈によって判断が必要になります。
p24 【備考】:「表記法」に記載は無いが、上記2.と同じ処理。特別な事
情がない限り一般書では用いない。
p31 【備考】:「特に必要があれば」、3.に近い。
p40 【処理】
p115 【備考】
p122 【処理】
p125 (4)
p134 【処理】
p136 (1)
p149 【処理】(上の【処理】):「行末があきすぎる場合」の判断を施設
・団体で決めて用いる。
p149 【備考】
p159 【備考】
p167 【処理2】
p187 3.
p188 ①
p200 (1)
p208 【処理】
また、以下の「できる」は、児童書や、点字を読み慣れていない人へのプライ
ベートサービスなどの場合を中心に考慮することになります。
p25 【処理1】
p117 【処理】
p119 【備考】
p119 【処理】
p119 【処理】
多くの場合、4.の【処理】で迷いますが、「どちらでもよい」というニュー
トラルな意味での【処理】もあり、そのような場合は、日頃の勉強会などで、個々
に判断することになると思います。

【新規】

同じ点訳グループに、家にインターネット環境がなく、BESXの更新が難しいメンバーがいます。セキュリティや使い勝手から、本人も更新を希望しています。インターネットを使う以外の方法で更新することは可能でしょうか。

【A】

点字編集システムの発行元のテクノツールからの回答です。

点字編集システム7であれば、ネット回線をお持ちの方が、弊社のホームページから、更新プログラムをダウンロードして、それを、USBメモリー等にコピーし、ネットに接続のないパソコンへコピーしてインストールするのが良いと思います。

最新の更新プログラムは、次の方法でダウンロードできます。

■更新の確認からダウンロード
1.メニューの中の「ヘルプ」の中の「更新の確認」を選択します。
2.「何らかの事情で再導入したい場合」ボタンを選択します。
3.「いますぐダウンロード」ボタンを選択します。
4.ダウンロードが完了したら「フォルダを開く」ボタンを選択します。
5.ダウンロードフォルダが開きます。
6.「bes○○○update_inst.exe」という更新プログラムが保存されて
いるので、それをUSBメモリー等にコピーします。
7.ネット接続の無いパソコンにUSBメモリーを接続します。
8.上記6番でコピーした更新プログラムを起動して更新します。

■webページから直接ダウンロード
1.下記のページを開いてダウンロードします。
https://ttools.co.jp/product/eyes/BES/download.html
2.ダウンロードボタンを押してダウンロードします。
3.お使いのブラウザーによって異なりますが、例えば右上のほうに
「ダウンロード」の表示を確認します。
4.ダウンロードフォルダを開く「フォルダ」のアイコンを選択します。
5.ダウンロードフォルダが開きます。
6.「bes○○○update_inst.exe」という更新プログラムが保存されて
いるので、それをUSBメモリー等にコピーします。
7.ネット接続の無いパソコンUSBにメモリーを接続します。
8.上記6番でコピーした更新プログラムを起動して更新します。

■Windowsの更新について
Windows自体更新は、インターネット接続が必須です。
通信するデータ量も多いので、公共施設にあるWi-Fiや、ご友人のご自宅のネット回線などに接続して、更新するのがよいと思います。